Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『ゆずこの形見』

 窪さんがオススメしていたので伊藤たかみ著『ゆずこの形見』を読んだ。急に誰かがいなくなる。残されたものはその事について考え続けるし空白をどうするか、でも生活は続いていく。窪さんの小説の軸でもあるものがこの小説でも書かれていた。
 ただ、確かにここで書かれているのは男性の思い出の消化の仕方というか現実を受け入れていくかという心の微細なものが書かれていて、ウィットな感じもして時折笑いそうになるんだけどそのどうしようもなさとかは僕にももちろんあって、ああ、忘れないで忘れていくってこういうことだよなって。
 どちらも失った後と失っていく過程を描いている。どうしてそんなことをみたいなことをしないと意味だったり無意味な自分だけのなにかがその空白を鮮明にして零れ落ちなかったものだけ残る。
 いつか跡形なくなっても残るものが積み重なって人生と共に経過し風化し自分とともに消えていく。確かに出てくる原さんとは酒飲みたいと思えた。



 大盛堂書店のイチオシ文庫の窪美澄著『晴天の迷いクジラ』についてフリペ書いてます。渋谷に寄ったらぜひ。書いているのはわりとこの曲と通じてるというか最近よく考えること。


『LOST』Music Video / 後藤正文

ゆずこの形見

ゆずこの形見

晴天の迷いクジラ (新潮文庫)

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キャント・ビー・フォエヴァー・ヤングCD

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