Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

Gotchツアー『Can’t Be Forever Young』ファイナル@クアトロ


 仕事を早上がりして専門の友人である青木と渋谷で待ち合わせていつも通り宇田川カフェでお茶をして近況などを話す。青木とは十年前に映画の専門学校を卒業して一番多く会っている友人であるしライブはたいてい彼と行っている。アジアンカンフージェネレーションのライブも初期といえる頃から行っていたりする。彼らの初の武道館が終わって客出しの際のSEとしてOasis『Whatever』がかかったのは印象深い。あの武道館のTシャツはまだ家にある。
 アジカン好きだしGotchのソロツアーだし観てみようぜという事で早々とチケットを取っていた。ソロアルバムはレコードで買ったけど、そこにはバックアップとしてのCDも付属していたから聴けた、うちにはレコードプレーヤーがないから。人生で初めて買ったレコードなんじゃないだろうかアルバム『Can't Be Forever Young』って。


『The Long Goodbye』Music Video / Gotch


 
 青木から専門同級生なアニメーターの横山(@yoko979)くんの描いたポストカードをみせてもらった。うめえ〜。細田監督や貞本さんの影響をどこかしら感じられるが、アニメの背景作画をしているだけあって背景が本当にすごい、奥のほうの小さく描かれている坂道の感じとかもだけどやっぱり絵が描ける人ってすごいなあ、僕は全くダメすぎて羨ましすぎる。


 クワトロに行って19時に開演。オープニングアクトは大阪のバンドのミラーマンというバンドで僕はまったく知らなかったがどこかエレカシ的な叫びというかソウルを感じさせるヴォーカルに重厚なギターの演奏だったりして、僕から見えたヴォーカルとギターの一人はおかっぱだったけどそういうモチーフなのかな、ちょっとサカナクションの山口さん的な雰囲気もあったけど逞しそうなバンドだし勢いもあるからメジャーデビューアルバムが七月に出るみたいなので気がついたらブレイクしていくかもしれない。


 それから本編の開始でGotchとバンドメンバー登場。
 ギター:佐藤亮 (ex.the chef cooks me)
 ギター:井上陽介 (Turntable Films)
 ベース:戸川琢磨 (ex.COMEBACK MY DAUGHTERS)
 ドラム:mabanua
 キーボード:シモリョー (the chef cooks me)
 コーラス&パーカッションetc:YeYe


1.Humanoid Girl
2.The Long Goodbye
3.Can't Be Forever Young
4.Stray Cats in the Rain
5.Aspilin
6.Route6
7.Blackbird Sings at Night
8.Only Love Can Break Your Heart (Neil Youngのカバー)
9.Great Escape from Reality
10.Lost
11.Nervous Breakdown
12.A shot in the Arm (Wilcoのカバー)
13.Sequel to the Story
14.A Girl in Love
 

encore
15.Wonderland
16.Baby Don't Cry
↑バンドメンバーとセトリは(http://rocknrollisnotdead.blog.fc2.com/blog-entry-58.html)より



 アジカンのいつものバンドとは違うある種の温かさというかアジカンという大看板ではなく後藤正文という個人としての音楽を鳴らしているように感じられた。Gotchバンドのメンバーとの調和も素晴らしくて楽しかった。
 『The Long Goodbye』好きだったので早々に聴けてよかったな。MCでは昨日のライブで「どうもありがとう」っていうのが「ごまなっとう」に聞こえたってツイッターで書かれていたらしくそれを何度もネタしていた。まあ、Gotchらしいっちゃらしいのか。そこで滑舌いいよとかカッコいいみたいな歓声あったら前だったら「うっせーブス!」のイメージが未だにあるんだけどねw


 普段はバンドをやっているミュージシャンがソロアルバムを作る時にどこか打ち込みを取り入れながらもギターやベース、ドラムやコーラスにキーボードなんかを入れることでいつもとは違う音楽をやっているとちょっと伸び伸びしているような感じを受ける。観ていてだいぶ前に観たスマパンビリー・コーガンがソロアルバム出した時のAXでのライブがちょっと浮かんだ。その前座というかオープニングアクトSyrup16gだったけど。
 

 また、このメンバーでやりたいって言ってたからもしセカンドが出るならホールツアーとか本当にやってみてもらいたいな。ソロでの創作は孤独だってGotchが言ってた。バンドでも創作する時は孤独であるだろうけどそれとはまた違う孤独だろうからこうやってバンドメンバーとツアーして作り上げていくのはやっぱり楽しいし新しい曲作ったりしてよい環境なんだろう。それがアジカンにフィードバックされるだろうし。


『LOST』Music Video / 後藤正文

↑この曲はスゴく好きだし諸々あって沁み入るので聴けて本当によかった。



 ライブ終わりの帰り際に観にいらしてた古川日出男さんご夫婦を発見してご挨拶をさせていただいた。『別冊カドカワ 総力特集 Gotch』で古川さんがアルバム『Can't Be Forever Young』について書かれていたので今日のファイナルいらっしゃるんじゃねえかなって思ったらいらしたっていうね。ちょっとだけ夏開催の『ただようまなびや』の話もしてもらった、夏楽しみ。
 「大盛堂書店で開催した僕の選書フェアでは古川さんからご自身の5作品についてコメントをいただいたのを僕が代筆してポップに書いたけどいつか了承得て公開できたらいいな。」って昨日ツイートしたばっかりで古川さんに今日会ってオッケーもらうのが僕の引きの強さだな。
 大盛堂書店のフェアのコメントのお礼をして古川さんの自作のコメントをネットで公表させてもらっていいか聞いてOKしていただいた。好きなものが繋がってる喜びを感じた。


 そんなわけで大盛堂書店さんで5月いっぱい開催させていただいた碇本学選書フェアですが、40タイトルのうち5タイトル選ばせていただいた古川日出男さんの小説に関しては書店でのPOPコメントを古川さんご本人にお願いしていただいたコメントを僕が代筆してました。古川さんから了承得たので公開します。



ボディ・アンド・ソウル
昨年末に刊行した創作論『小説のデーモンたち』の10年前の古川日出男がこの内側に存在している、もはや僕には生涯書けない(し書きようがない)「奇蹟のフィクション」です。



『ベルカ、吠えないのか?』
さいわい仏語・英語・伊語・韓国語にすでに翻訳され、もうじき露語訳も刊行されます。イヌたちはみな各国の言語で「うぉん」と吠えています。



『聖家族』
これを書くことで作家・古川の第1期は終わったわけですが、しかし、ここから全てが始まっているのだとも感じます。永遠の母胎のように。正直、(声をひそめて言いますが)どこか「自伝」です。



『ドッグマザー』
愛おしい本です。2012年春に出したばかりなのに、もう「手の届かない」聖域に飛んでいってしまった気がする。ほんとうに気高い小説だなと、僕は、著者の身であるにもかかわらず思います。



『冬眠する熊に添い寝してごらん』
戯曲なんですけれど、まあ小説です。なにかもう完全に小説の領域に片足(片足以上)突っ込んでいます。蜷川さん演出で上演された舞台は4時間弱ありましたが、この「完全版」をステージにのせるとなると、まあ5時間半かなあ。



 8月は郡山に行って『ただようまなびや』に行こうと思います。僕にとって古川さんという作家はやっぱり指針であり、僕にとっては勝手に師匠だと(思わせてもらってるし)尊敬し憧れている。だけど物書きとしての資質も素質も物事に対してのストイックさとかもなにもかも違うのはわかっているから僕は僕なりの持っているのをいかに肥大化させてそれを僕特有の武器にしていけるか、そしてそこに古川さんから受けた影響だったり、僕が好きなものをミクスチャーさせていけるかだとやっぱり思う。そうやって前面に出ていけるようにしないといけないしそうじゃないときっと戦えないだろう。


古川日出男、「聖家族」を読む

キャント・ビー・フォエヴァー・ヤングLP

キャント・ビー・フォエヴァー・ヤングLP

ボディ・アンド・ソウル (河出文庫)

ボディ・アンド・ソウル (河出文庫)

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

聖家族(上) (新潮文庫)

聖家族(上) (新潮文庫)

聖家族(下) (新潮文庫)

聖家族(下) (新潮文庫)

ドッグマザー

ドッグマザー

冬眠する熊に添い寝してごらん

冬眠する熊に添い寝してごらん