十一月十日
『水道橋博士のメルマ旬報』第一回が配信になりました。
水道橋博士が「編集長」に就任して、過去、メルマガ史上に無い規模と内容と熱量でついにメルマガに登場。本人の毎回3万字を越える日記『博士の異常な日常』、岡村靖幸との対談『博士が愛した靖幸』以外にも8人の豪華執筆陣(どんどんと増殖中)による連載。とにかく目指すのは『大人のコロコロコミック』『子どもの文藝春秋』超大ボリューム。空前絶後のスケールでお届けします。
※11月中にお申込み頂いた方には11月発行の2回分を無料でお届けします。
(12月1日以降は無料期間なしの1ヶ月単位の有料購読となります。)
http://www.webdoku.jp/premium/merumaga/page/s_hakase.html
僕は『碇のむきだし』というタイトルで連載させていただいてます。皆様よろしくお願いいたします。第一回は園子温監督『BAD FILM』についてです。この連載を始めさせていただいた流れの起点にあったのは園さんなので。タイミング的にも『園子温 監督初期作品集 DVD-BOX(SION SONO EARLY WORKS: BEFORE SUICIDE)』が発売しましたし何かに計画されていたかのような意図すら感じなくもないですが。僕のはたぶん一万文字ぐらいだと思います。
次回は25日配信です。よろしくお願い致します。
同日は昼に友達と会ってから夜は下北沢B&Bで『古川日出男
『MUSIC』文庫化記念トーク&リーディングショー「その顔(かんばせ)を巻いて vol.1」』に行ってきた。古川さんが二時間ずっと話を一人でして、それは『MUSIC』という作品がどう生み出されたのか、どういう感じで始まり一度全てを書き上げたものをやめて今出されている『MUSIC』になっていったのかを語る。その中で登場猫のスタバが話しているver.を朗読されたり発売されたものの最後の非常にノリに乗っているシーンの朗読もありかなりクローズな空間の中で濃密なものがあった。
質問みたいな時に一番前に座っていたから今日の感想は?って古川さんにあてられて僕は古川さんの朗読を聞いていると異様に汗が出る事と朗読を聞いてからだと古川さんの文体が染み込むようで内部に浸透するような気がすると話した。
実際初めて僕が古川さんの朗読を聞いたのは『古川日出男ナイトvol.6』@ABC六本木店でたった四年、もう四年、されど四年、北京オリンピックからロンドンオリンピックを得て、その間僕はたぶん、あの日『ベルカ、なぜ吠えないのか?』の朗読とスティーブ・エリクソン『アムニジアスコープ』を朗読した古川さんのリズムの中に小説の何かを感じた。
だから僕は小説を書こうと思えた、ピアノを奏でるように。僕はピアノは弾けないけどそれはイメージの具象で、だから僕は執筆するのにペンやエンピツで文字を書かない、いや書けない。キーボードで打つそのリズムの中に何かを見いだそうとしていて。古川さんは手書きにしようと思っているとB&Bのイベントで言われていたけどそれは僕には全然無理なことで。文章リズムとキーボードで文字入力するのは僕には回路として必要だなと、思う。ただ今はそんな感じで。
来月の8日には同じく下北沢B&Bで古川日出男×黒田潔『舗装道路の消えた世界』刊行記念リーディング/ライブ・ペインティング&トークショー 「その顔(かんばせ)を巻いて vol.2」があるから行くつもり。
http://bookandbeer.com/blog/event/20121208_paved_road/
古川さんがイベントで言われていたのは来年五月とかそのぐらいに『ロックンロール二十一部作』が刊行されることとそれを書き上げている最後の十日ぐらいに次の作品の冒頭だけ書き始めてそれは東京・東北・京都を書いてきた古川さんが日本をきちんと語るためにはもっと潜らないとダメだってどこまで遡れば日本がこうなったのかが、だから書き出して二年ぐらいしたら出せると思うと言われたのは平安京の小説だった。
古川日出男が物語る、小説で書く平安京、想像ができなくてワクワクする。二年後、二年なんてあっという間だ。
昨日はO-NESTでLetting Up Despite Great Faultsのライブを。最初にアルバムのジャケがよすぎてジャケ買いして二年ぐらい経ったのかな、初めてライブで観れた。
↑この溢れ出す物語感とか最高にツボ。ジャケ買いや装丁買いは何か奥底にある自分の好みと呼応するからたいていそういう時は外れがない。
シューゲイザーな音だけどもちろん轟音とポップさを兼ね合わさせてて踊れるし激しいし声もいいし。ボーカルの人はアジア系だけどなんかその四人の混合っぷりがアメリカだなあって。観てていろんなイメージが浮かんできたので自分の書いてた事に活かせると思う。ライブ中に体は音に反応しているのに意識だけは白昼夢を見るように脳内にいろんな映像だとかイメージがどんどん展開してくるあの感じはなんていうんだろうか、僕はそういうのがよくある。
リズムと何かが呼応して浮かんでくるイメージは宙に浮いている物語の破片を掴めるような感覚、あるいは錯覚、古川さんが前に浮かんでる物語の破片に呼ばれて掴む話をされていたんだけどたぶんそれに近いか似てる気はする。
Letting up Despite Great Faults - "Our Younger Noise"
今日は休みだったのでTOHOシネマズ渋谷で三池崇史監督『悪の教典』を朝イチで観に行ってきた。
出演:伊藤英明/蓮実聖司、二階堂ふみ/片桐怜花、染谷将太/早水圭介、林遣都/前島雅彦、浅香航大/夏越雄一郎ほか
解説・目的のためならば殺人もいとわない教師の姿を描いた貴志祐介の問題作を、「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」「十三人の刺客」の三池崇史監督が映画化。伊藤英明が主演し、自身初の悪役に挑んだ。生徒から慕われ、学校やPTAからの評価も高い高校教師・蓮実聖司は、教師の鑑ともいうべき表向きの顔とは別に、他人への共感能力をまったく持ち合わせていない、生まれながらのサイコパス(反社会性人格障害)という隠された顔があった。いじめ、モンスターペアレンツ、セクハラ、淫行など問題だらけの学校で、自らの目的を達するため、蓮実は躊躇なく殺人を繰り返していく。しかしある日、ほんのささいなミスを犯してしまった蓮実は、それを隠匿するためクラスの生徒全員を惨殺することを決める。共演に二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、山田孝之ら。(映画.comより)
蓮実こと生徒からハスミンと呼ばれている先生の過去の事もある程度は語られている。14歳の時に両親を、アメリカに渡ってからのことなど。完璧なサイコパスなハスミンが生徒を皆殺しにしていく。客観的というか冷静すぎる視点で容赦なく生徒は殺されていく。彼の行動を不審に思った吹越さん演じる先生と彼からその事を聞かされた染谷くんは行動を起こそうとするが。
この作品はそういう人たちハスミンの本来敵になるであろう彼らも容赦なく片付けていく、普通ならこういうサイコパスと戦う彼らは最後まで生き残り生徒たちと団結してなんとかハスミンを倒すのが王道なのだが主役はサイコパスのハスミン。完全に隔離され把握されている生徒たちに勝ち目はない。容赦なく生徒たちは殺されていく。
ハスミンはアメリカ時代もだが14歳との時に犯した事件の前にも何かやっていた事を吹越先生が調べている。彼は生まれ持ったサイコパスであり、観客は当たり前だが彼に感情移入はできない。
ただ観ていて思うのは彼のようなハーバードとか出てるような超秀才で人をうまく誘導し操れるような人間が会社だったり学校のようなある種閉じられた世界で実権を握り、巧みに他者に自分を信頼させこういう実験を行なうことはありえるのだろう。観ていて納得できるのはこういう奴いたら手に負えない、というか倒せようがない、逃げるしかない。
サークルクラッシャーとかと次元が違うがある集団を壊滅させることができる人間で優秀で普段から隙を見せない人間には勝ち目はない。最後に彼はミスを犯し、最初の頃のある伏線から繋がることである意味で負けるがそれでも次のゲームを開始する。エクセレントの上をいく単語についての冒頭がそこに繋がり次のゲームの開始をしらせる。
三池監督ならではというかあの容赦ない感じはやはり三池さんだからなのだろうなって思った。だが最後にスタッフロールでかかるのがエグザイルのセカンドユニットかなんか曲でマジで関係ねえしなんでこの選曲って思ったけど。
学祭の準備だからって一クラスだけ残って準備しているってのはまあご都合的な部分もあるけど。三池作品だと『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』『46億年の恋』とかかなり好き。
これから付き合うかもみたいな二人が走り出して、唯一ハスミンの敵になれるかアーチェリー部の男子みたいな部分でのあの容赦ない感じとか見ててもはやすげえな一貫してるなあって思った。
三池崇史作品って冷たいというか暴力性とかすごいのになにか客観的で冷めてる視線で冷たくて凍傷みたいな徐々に冷たさで傷ついていく。でも何か残る温かい自分の部分や場所で自分は生きてるって感じるような。
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