だれもヒューマンガスには逆らうことができない ― 偉大なヒューマンガス
監督:製作:脚本:編集:エバン・グローデル
キャスト:エバン・グローデル、タイラー・ドーソン、ビンセント・グラショー、ジェシー・ワイズマン、レベッカ・ブランデス
ストーリー
世界滅亡を夢見る若者たちの友情、愛と憎しみを幻覚的なビジュアルとサウンドを駆使して描く異色の青春映画。働く気もなく恋人もいないウッドローとエイデンは、映画「マッドマックス2」に登場する悪の首領ヒューマンガスをヒーローと崇め、映画に描かれた滅亡後の世界を夢見て、ひたすら戦闘用改造車のチューンアップと搭載する火炎放射器づくりに明け暮れていた。やがてウッドローには恋人ができるが、その恋人に裏切られると、怒りと絶望から狂気へと駆り立てられていく。(映画.comより)
公式サイト
http://bellflower-jp.com/
試写会に当たったのでシネマート六本木に行って来た。本編の前に監督のエバン・グローデルと小説家の樋口毅宏さんのトークショーがあった。
Beastie Boys - "Ch-Check It Out" - [Live on The Late Show with David Letterman 6-14-04]
故アダム・ヤウクさんに見出された新鋭監督、訃報に「とても悲しい」
http://eiga.com/news/20120509/14/
↑これね。樋口さんは映画批評家の町山智浩さんが絶賛してて気になってたらしく試写で観てかなり気に入って宣伝の人とかに想いをぶつけたらこういうトークに呼ばれたらしい。僕も終わってしまったけど『キラ☆キラ』で町山さんがこの作品について話されてて脳内に残ってたのだった。
未見なのですが『マッドマックス2』の世界を知っているとさらに楽しめる作品のようですが観てなかったけどすごく楽しめました。
ヒーローではなく悪役に幼少期を得て大人になりかけ中二病的にそこに魅力を感じて留まったような主人公と友人の二人。『仮面ライダーBLACK RX』のシャドームーンの方がカッコいいじゃんみたいな事なのでしょう、たぶん、おそらく、きっと。それぐらいしか僕は思い浮かばなかったんだが。
オマージュ的な要素も入ってる作品はそのオマージュネタを知っている方が作品の奥深さを感じれるんだろうけど去年観て爆笑して大好きな『宇宙人ポール』もそうだったけども元ネタ知らなくても監督の作り手のオマージュ作品への愛情が入りまくってるからそういうの知らなくてもそれすら通り越しちゃってどうしようもない想いが受け手に伝わってくる。
無職なんだろうけど野郎二人が暮らしてて火炎放射器とか炎が出る車を改造してたりとどこまでも中二病ちっくな主人公と友人のコンビ。友人の彼へのある種の奉仕や思いやりはもはやBLな感じすらする。で、彼女ができました〜、諸々あって裏切られました。で、ブチギレました〜な展開。
主人公が驚くほどもボコボコになりますね。なんでこんなに体中に傷があるんだみたいな台詞で吹いちゃった。なんで最初に付き合った子にって想うんだけど、さほど可愛いとは思えずに何となくヤンチャな女の子、その後に付き合う感じになるこの方が可愛いしおっぱいもあるんだけどその辺のモヤモヤというか心に抱えてしまうものってのは他人にはどうしようもなく、わかることもできないのだが心情としてはわかってしまう。
セックスしてる描写も何度か出てくるのにどうも童貞くさい気がしてしまうのは中二病的なことだけじゃないだろう。割り切れないというか裏切られても大人な対応ができない彼の雰囲気がそう思わさせるんだと思う。
バーで少しクレイジーな女の子と出会ってなんでか翌日デートしてテキサスまで行く事になったぜ。で帰ってきて想いを伝えていちゃいちゃしてて、ああセックス気持ちいい〜、あれおいおい何やってんだよお前ら。これはどういうことだ〜。なんで俺を裏切ったんだあ〜、チクショーって暴走したら事故って全身ボロボロだしさあ。友人がイカしてる車を改造車にしてまるでマッドマックスみたいな世界じゃん、俺はヒューマンガスになるんじゃあ。あれあの子とこんなことにムフフ、ああでもあいつのことがあ、事件諸々ありつつ友人もそこに巻き込まれつつチッキショーって具合で火炎放射器を持って・・・。
最後の方は過去と現在が混同しちゃうみたいなあれ今どこだ?これって夢?あれ違うか現実か、みたいな。元カノが主人公にやらかすこととかすげえと思った。あの復讐返しみたいなあの行いは本当に嫌すぎる。
樋口さんも言ってたけどこれはすげえ童貞くさいっていうか中二病的な世界なんだけどわかっちゃうなあっていう。中高悶々としてたモテなかった人とかドストライクで来ると思うわ。
で、観てて思ったのはこいつら誰一人働いてる描写ないんだけどどうやって飯食べてるの?っていうw
でも面白かったんだよなあ、こないだの『ドライヴ』に似たある種の狂気みたいなものがあって。たぶん、どっちの監督も真面目な人なんだと思う。真面目でまっすぐな想いがあって突き進むと狂気的なものを孕んでしまう感じがして。
公開は六月からみたいだけどきっと多くの人に支持されるだろうな、『ドライブ』同様に好き嫌いが別れるだろうけどこの二つは今年観た中でもかなり好き。
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