Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『戦火の馬』

 昨日は恵比寿のバーで友人のイゴっちが初DJをするというので20時に行ったら客僕だけじゃんって感じでマスターと会話をしながら酒飲んで暴れるような若いヤツがいなくなっててそれはそれで寂しいなあとか安い店に行って少し大人びたような場所に大学生とか行かないのかもしれないっすねえみたいな会話をしてやっぱりボーダーか!なイゴっちのDJを聞きながらビールビールビール。


 スーパーカーが流れてくるりだったから「次はナンバガしょ!」って言ったら次は本当はサカナクションだったけどナンバガかかった。
 でサカナクションになったりして前にLifeのイベントの終わりに会った事のあった小林君とLifeとか社会学系の人達の本とかまどマギとか東京と地方でそういう文化やジャンルの消費が違うかみたいな話をしててこないだ観た『ヤング≒アダルト』の事を思ったりしたりして。


 恵比寿までチャリで行ったから帰りも。空気が少ないなって思ってたけど朝起きたらパンクしてるっていう。それで朝は歩いて渋谷まで行ってTOHOシネマズ渋谷でスピルバーグ最新作『戦火の馬』を観に行った。


 初回だったけど客層は9割方老人といってもいいでしょうシニアだらけで僕とか一番若いぐらいな感じ。『連合赤軍 あさま山荘への道』観に行った時もシニアばっかりだったけどあれは自分たちの若い頃の事件を確認しようと思う人が居るんだなって思ったけど老人は戦争ものが好きなのか、でもこの作品第一次世界大戦の頃の話だからなあ、第二次ならわかるんだが。



監督・製作: スティーヴン・スピルバーグ
原作: マイケル・モーパーゴ
脚本: リー・ホール / リチャード・カーティス
キャスト・ジェレミー・アーヴァインエミリー・ワトソン



ストーリー:農村に住む少年アルバートジェレミー・アーヴァイン)の愛馬であるジョーイが軍馬として騎馬隊に売られ、フランスの戦地に送られてしまう。敵味方の区別を知らないジョーイの目に、戦争は愚かさで悲惨なものとして映るだけだった。一方そのころ、アルバートは徴兵年齢に満たないにもかかわらず、ジョーイと会いたいがため激戦下のフランスへ旅立つ。(シネマトゥデイより)




 まずね主人公のアルバート岡田将生みたいな顔ですね、それで彼の足が悪くて酒飲みな親父が井上順さんを太らせて悪くした感じね。でお母さんが風吹ジュンさんね、似てるよね。


 畑を耕すための馬を買いに行った親父が人目惚れみたいな感じでジョーイを高い金を出して買う、競りの時に競うのが農場主だったりして。で収めないといけないものもあるしすげえ高いかね出してて家族ピンチ!になって岩だらけの農地をジョーイをしつけしたアルバートが農場馬じゃないけど耕してカブを植えて育って行くけどまあ世の中そんなにうまくいかなくて、第一次世界大戦が勃発し軍も馬とを戦争で使うからetc.で親父が軍に馬をって感じで、まあその時の少尉だっけながいつかこの馬をアルバートに返すよみたいな絆も馬から生まれてジョーイは戦地に行くわけですがその少尉の愛馬として戦場を駆ける。

 冒頭のこの辺りが丁寧に描かれてますね。でも戦争によってジョーイは戦場にアルバートも後にジョーイを追って戦場へ志願していく。
 物語はジョーイが動いて行く場所とジョーイという素晴らしい馬の事を気にかける人々の間で展開される。


 少尉たちの奇襲の後にはドイツだっけな、そこの軍馬になったり、馬使いが上手い兄弟に世話されながら、彼らが逃げ出すと今度は祖父と住んでいるエミリーの元に、そこからやってきた軍隊(フランス軍かな?)に奪われ丘の頂上に大砲を引く馬として、そしてその大砲がぶっ放された街にいるのは志願して兵士になったアルバートがいたりして。そして激化する戦争の軍と軍の間でぼろぼろになったジョーイを両軍の敵対する兵士が助けて連れ出した場所にはアルバートがいるが戦争が終わり冒頭の場面のように競りに賭けられるジョーイを大金で競り落とすエミリーの祖父とアルバートが出会う。そこで祖父がアルバートがジョーイを育てた事がわかるあるキーアイテムが出てくる。そしてアルバートは。


 まあ、流れとしてはそんな感じですね。そのキーアイテムの使われ方とジョーイは人々が勝手にしている戦争のために転々とするのが伏線といいシナリオが非常に素晴らしいなと思った。


 エミリーからジョーイを奪うフランス軍?の大佐に祖父がその馬だけは孫が大事にしてるから頼む連れて行かないでくれって言うんだけど「戦争は人から大事なものを奪っていくものだ」っていう。
 スピルバーグはメインの人物じゃなくて脇役の人にメッセージを込めてたりするんだなって思った。これは『プライベート・ライアン』同様に人々に戦争の悲惨さと戦争なんかカッコ良いものじゃなくて最悪なものだっていうスピルバーグの意志が伝わってくる。


 そこに馬が駆け抜けてアルバートとの関わりが上手く展開してる。これ元々は児童小説で舞台でされていたものらしいので映画化に関してかなりスピルバーグ的な戦争映画になっているんじゃないだろうか、スピルバーグ第一次世界大戦を描いたのは初めてらしい。



 ジョーイという馬がやっぱり凄い。走る姿がカッコいいんだけどよく映画で撮れたなって思った。
 昔竹原に誘われてディープインパクトの最後の試合?観に行ってアホみたいに人が観に来てて三時間ぐらい身動き取れなかった記憶があってマジで馬とか見ても感動とかしないし興味なかったけどディープインパクトが勝っても「ああ早く帰りてえ」って思ってるだけだったけど今作では感動して何度か泣いた。


 今年公開の作品だと『ヒミズ』に次いで響いた作品。


 スピルバーグ作品ほとんど観てないのに近いんだけど『A.I.』以来じゃないかな、劇場で観たの。人間がいなくなった世界でロボットが母性を求めてるのを観てマジ糞かって思った記憶しかない。でも製作総指揮作品『グーニーズ』は僕の大好きな映画だったりはする。


 今作は観に行く前から僕が大好きで影響を受けている小説家の古川日出男さんの直木賞候補作になった『ベルカ、吠えないのか?』に近い作品なんじゃないかって思って期待してた部分があった。小説の方は第二次世界大戦が終わって残された軍用犬の一族とその後の冷戦終了時までをその犬たちの視線で書いた作品でやろうとしてることは近いと思ってたから。



内容紹介・キスカ島に残された4頭の軍用犬北・正勇・勝・エクスプロージョン。彼らを始祖として交配と混血を繰りかえし繁殖した無数のイヌが国境も海峡も思想も越境し、“戦争の世紀=20世紀”を駆けぬける。炸裂する言葉のスピードと熱が衝撃的な、エンタテイメントと純文学の幸福なハイブリッド。


 途中から思ったのはスピルバーグなら古川さんの『ベルカ、吠えないのか?』が映像化できるじゃんっていう。


 歴史の中に馬なり犬なりを持ち込んでその中で動かせていくのは物語としてはすごく難しいと思うんだけどノンフィクションをフィクションの中で精巧に精巧を重ねて作家の力で体系化させ物語に純度を上げていくその精度の質が高ければ高いほどに素晴らしい物語になっていく。


 古川日出男原作、スティーヴン・スピルバーグ 監督『ベルカ、吠えないのか?』めっちゃ観たい。あと最近葛西臨海公園から脱走したペンギンの事を考えている。


葛西臨海水族園からペンギン“脱走” 旧江戸川で目撃
http://bit.ly/AmXXcI


 ニュース知った時にこれ古川日出男さんなら小説に出来るネタだ! って思った。
 ペンギンよ東京湾クルージングして故郷であるフンボルト海流が流れ込む南アメリカの沿岸地域を目指すんだ!って感じで。


 『ベルカ、吠えないのか?』の後継として『フォン、泳がないのか?』って感じで。でもいつか僕がF.H.S(フルカワヒデオシンドロームとしてアジカンの『N.G.S』<ナンバーガールシンドロームの略>的なニュアンスで)で『フォン、泳がないのか?』書いてみたい。


 帰りに伊坂幸太郎新刊『PK』を買う。『群像』に掲載された作品二編ともう一編の小説。伊坂さん講談社から出してるイメージないけど『魔王』『モダンタイムス』な続編的に繋がってるやつと『チルドレン』や山下敦弘さんとのコラボな『実験4号』とか何冊も出てた。ただ『群像』で書いたのがここ最近だったってことかな。上記の作品全部うちにあった。

 『魔王』『モダンタイムス』なシステムと個人の話は好きです。

戦火の馬

戦火の馬

  • 作者: マイケルモーパーゴ,Michael Morpurgo,佐藤見果夢
  • 出版社/メーカー: 評論社
  • 発売日: 2011/12/01
  • メディア: ハードカバー
  • クリック: 12回
  • この商品を含むブログを見る
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

PK

PK