バイト先の社員の女の子が先月いっぱいで仕事を辞めるというので何冊か本をピックアップしてあげた。
基本的にはどれも僕が読んでいる本だけど。新刊の所に伊坂幸太郎『砂漠』の文庫があったので入れといた。
05年に実業之日本社から出たハードカバーで読んでいた。その後そこのJノベルズみたいな新書サイズになって出ていたはずだが、新潮文庫で出ていた。
伊坂さんは新潮社でデビュー作『オーデュボンの祈り』で作家としてのスタートを切っているし、新潮から出た作品は多いので新潮社が版権を移したんだろう。
小説として単行本として出ている『オーデュボンの祈り』『ラッシュライフ』『陽気なギャングが地球を回す』『重力ピエロ』『アヒルと鴨のコインロッカー』『チルドレン』『グラスホッパー』『死神の精度』『魔王』『砂漠』『終末のフール』『陽気なギャングの日常と襲撃』『フィッシュストーリー』『ゴールデンスランバー』『モダンタイムス』『あるキング』『SOSの猿』『オー! ファーザー』までは読んでいて先月出た『バイバイ、ブラックバード』だけまだ読んでない。ということに気付いた。
『オーデュボンの祈り』が00年の12月に出ているので作家として伊坂さんは今年の12月でデビューして十年なのにこれだけの作品を出して支持されているのだと思うと驚きを通り越して感嘆せざるえない。
僕はよく読んでいる作家さんとかのwikiを見るとつい何歳の年にデビューしたのかが気になってしょうがない。人を気にしてもしょうがないのだが僕の性なのか。あと一年と九ヶ月で三十路になる。2010年も半分が終わった。
夏はすぐに終わっちゃうなあ、どこにも行くつもりはないけど。この二ヶ月はできるだけ籠って追い込めるかやってみるつもり。
夏は引き蘢ると言っても仕事を辞めるとかはしないで休日にあんまり出かけたり人と会うのを控えようってだけだけどね。
高校の時みたいに生きる事とか死ぬ事とか何をするのかとかそういう青臭い事を真剣に考えて書いたらどうなるのか、自分の枠や殻からはみ出せるかもしれないし、壊れてしまうかもしれないけど。
壊れるほどの自分なんてまだないような気もする。
「自分たちさえ良ければいいや、そこそこ普通の人生を、なんてね、そんな生き方が良いわけないでしょう。俺たちがその気になれば、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」『砂漠』帯より
↑これってたぶん登場人物の西嶋の台詞だと思うんだけど、彼は明らかに五年前に読んだ時にサンボマスターの山口さんだと思った。口調や発言がね。
五年前にサンボマスターのセカンドアルバム『サンボマスターは君に語りかける』が出ていてそれをBGMにして読んでた。
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そのアルバムが出た当時に『これで自由になったのだ』という曲を聴いてバイトを夜バイトを辞めた。朝は辞めようとしたら一ヶ月休んでいいから籍は残しとけと言われた。
それでその年の三月はバイトをしなかった、家でシナリオを書いていた。あとはジムに行ってひたすら走った。いろんなことを忘れたかった。バイトとか生活とか人間関係とか気にしたくなかった。
シナリオを書くって休んだけど、しばらく人生を休みたかったんだと今なら思える。ストレスがマックスに溜まっていたし、未来が怖くて、ずっと叫びたかった。映画の『リリィ・シュシュのすべて』みたいに田園で発狂するみたいに叫びたかった、怖かった。
でも、音楽や映画に助けられた。
山口さんの『これで自由になったのだ』を聴いて、明日上司を殴って会社を辞めて自分のしたいことする気になったらこの曲の意味があるみたいな発言にかなり背中を押されてバイトとか辞めたことを思い出した。
言葉の持つ力を普段は忘れてしまう。
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↑というのを昔mixi日記に書いていた。
サンボマスター『これで自由になったのだ』
この頃とはいろんな事が確かに変わった。成長していない自分はいるし、その頃とは変わった意識もあるし視野も少しは広がった。社会も変化して変わり続けてる。
僕は人に逃げろとか平気で言う。逃げた方がいいと本能的に感じているときは逃げた方がいいと思うのはこの時の経験とかドラマの『夢のカリフォルニア』を観たからだと思う。
逃げたりしたらその分後からその支払いがやってくる。結局は逃げれない、でも体制を立て直して、体力や精神的に安定させることができたら上手く対処できる可能性が高いと思うから。
この二ヶ月でやることの一つはこの時に書いたシナリオを新しく小説にすること。今の僕なりにできる書き方で全然違う作品に書き直したい。この数年思っていた書きたいことの要素がこの作品の設定や登場人物ならに合うし書けると思えるから。
優しい日だまりみたいな、
握ると笑みが零れる愛しい手みたいな、
雨上がりの後の水溜まりに映る空みたいな、
草むらの懐かしくくすぐったい匂いのする風のような、
ひとりぼっちで見上げた夜空で燦然と輝く星の美しさような、
優しい時間が、優しい音色が、優しい色彩が、 この世界にはあるから。
重力を振り切って、色彩を咲かせる、音色が産声を上げる。
優しい日々を越えて行く。
さあて、真夜中の戯れ言は終了。
「俺たちがその気になれば、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」
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