Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「私たちがやったこと」

 レベッカ・ブラウン柴田元幸訳「私たちがやったこと」を途中まで読んで放棄していたが後半のわりと長い「よき友」、短い「悲しみ」を読了。柴田さんが訳だったので買った作家さん。
 この人はシアトルを拠点に作家活動を続けていて、レッテル的にはレズビアン作家ということになるらしい。確かに読むと出てくる恋人の関係性は男女ともとれなくもないが、女性同士のカップルにもとれたり、ゲイ・レズの友人関係などが出てくるものが多い。「よき友」は恋人を失ったゲイの男性の友人であるレズの女性との関係、彼もまた行ってしまった恋人と同じような病から入院してそれから・・・というストーリー。


 時折レジをしているとまあ感覚というか空気感、なんだろうな、この人はゲイだなって人がいる。いつも来る時に一緒の男性との空気感が友達ではない様子なのがわかるし、一人の時もしぐさや話し方が男性的ではないから。たぶん、四十近いのかなと思われる齢。よしながふみきのう何食べた?」みたいな生活なのかなって想像したりもするけど。その人のレジが終わった後に想像してしまうのは勝手に脳内が作り上げるストーリー。


 僕は本質的には異性愛も同性愛も違いなんかないだろうって思っているのだが、彼らは、あるいは彼女らはこの国では結婚ということができない、いつかできるようになるとしてもすぐにではないだろう、そんなにものわかりのいい国でもないし。でも一緒に、普通に結婚した男女と同じように生活していくわけだ。
 僕の中で浮かんでくるのは年老いたゲイカップルがいて、一人はもう介護ないしでは生きれない、だからもう一人は介護をする。老人が老人を介護する、限界はくる、その時に介護していた方が倒れて、共倒れになるかもしれないし、介護疲れや楽にしてやりたいという気持ちで殺してしまうという光景。遅かれ早かれ数十年や二十年とかしたらそんなニュースがテレビから聞こえてくるとも思う。


 僕の年齢もそうだけど親が老人になっていっているのでそういうことが無意識化でも現れてくるのかもしれない。今考えている話には母親の介護に疲れ果てた息子が母から「もういいから」と言われ山に捨てに行ってそこの土地から逃げて都会で出会う人たちとの関係で彼は地元に戻って山に向かう話、ようするに「姥捨て山」の現代版みたいなのを考えていて、それが彼らに繋がったのかもしれないなって思う。



 夕方に「ゴッドハンド輝」の再放送を見てしまった。普段はバイトで「めちゃイケ」と被るので録画しないので見たこともなかったのだが、あれ?渡部篤郎さん出てるんじゃんっていうことから見てしまった。物語も最終回の前みたいだったけど。水川あさみの顔は好きだが、鎖骨が出てたけどなんかセクシーな感じがして、別に鎖骨フェチじゃないけど。
 渡部篤郎さんは影のある役も多いけど、こういう紳士で信念を曲げない男をやるとカッコいいな。で、巨大な力に負けそうになっても信念を曲げない時に仲間に向けて笑う顔が凄く勇ましくて優しい。


 園子温監督「愛のむきだし」では主人公・ユウの父親の神父役だったけど、すごい「愛のむきだし」アタックをされまくっていた。そういえばレストランのエキストラの時に見て、なんかピリピリしてた空気があったなあ。初日の舞台挨拶で見たときはめっちゃカッコ良かった、オシャレだったから。「ケイゾク」での演技もいいんだけど伊丹十三監督の映画「静かな生活」がねえ、あれ観た時衝撃的だった。この人の演技はやっぱりタチが悪いほど巧いって素人でも思った。


 伊坂幸太郎「重力ピエロ」にも出演。原作読んだ人ならわかるだろうけど渡部さんはどう考えても彼を演じるだろう。キーマンとしての彼を。ある意味では「家族」を描いたこの作品の「悪意」そのものである人物を。
 吉高由里子の役も小説読んでる感じとしてはいいかな、弟の「春」を演じる岡田将生次第でこの映画だいぶ違うだろうけど。でさっき見たら春君の岡田が所属しているスターダストプロモーションに渡部さん移籍してた。やっぱり力あんなあ、映画でも儲けてるしスターダスト。ほんとにダストな部分が板東英二さんしかいない気がしてきたよ。「やりすぎコージー」の「板東英二都市伝説」はぜひDVDで出して欲しい。


 もう仙台サーガとすら呼べる伊坂ワールドの中でも一番の長編「ゴールデンスランバー」も映画化。伊坂さんが一番信頼しているとも言われている中村義洋監督で主演・堺雅人竹内結子で。このコンビはまんま監督の「ジェネラル・ルージュの凱旋」だ。「重力ピエロ」の役どころと被る気がしなくもない、アイドルは吉高由里子でいいと思う。どちらも同じことを物語の中でしてるから。
 あとは「グラスホッパー「魔王」「砂漠」「終末のフール」「モダンタイムス」が映像化されてないか、「オーデュボンの祈り」もか。「グラスホッパー」はコミックチャージでコミックしてたぐらいだからどうせ角川が映画化するだろうなあ。



重力ピエロ 公式
http://jyuryoku-p.com/main.html
 

 昨日夕方に小説読み終わって仮眠したら久しぶりにかなり前見たことのある夢と同じようなのを見た。渋谷かどっかの街で数人で歩いていて僕ともう一人が一緒にいた連中と違う道を歩いていると連れ去られる。僕らはフェスに行く途中だった。連れ去られた場所は出版社で、夢の感じだとロッキングオンみたいな、でそのビルには収容所があって僕は独房にいれられる。


 で出窓みたいなのがあって、そこから廊下が見えて通り過ぎる看守や出版社の人たちが通り過ぎる、でずっと「出せ」って叫んでいると立ち止まった看守じゃないような男に「それはムリなんだ」みたいなことを言われて、いつになったら出れるのかって聞いても期限はないんだと返答される。で叫ぶのをやめて座り込んでしばらくしたら目が覚めた。期限は夢から覚めるまでらしかった。こんな感じのとこにだいぶ前にも収容された夢を見た覚えがあって。夢で二度も収監されるって。


 こんな夢を見るのはなんでだろうって思うと前にスヌーザータナソウこと田中宗一郎がRIJでフェスTをみんなが着てるって、あれって宗教服か戦闘服みたいに見えて気持ち悪いって発言があってそれが起因しているような気がする。毎年行ってるし。その発言以降フェスでもタオルは買うけど、アーティストTシャツも買うけどフェスTシャツはどうも買えなくなってしまった。


 「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」のシネマハスラーは「グラン・トリノ」を配信。こないだ観たばかり。大絶賛してますね、宇多丸さん。クリント・イーストウッドという監督であり役者の存在について、古き良きアメリカ映画の本当の終焉と彼が結びついている話とか、確かに映画自体は何かを受け渡す物語だったし、それが人種とか関係なく繋いでいくというのはクリント・イーストウッドが後はお前らに任したよって言ってるともとれる。とにかく熱い、そしていつもよりだいぶ長い。


 昨日のほぼ日の「今日のダーリン」でも糸井重里さんも「グラン・トリノ」を今の僕には最高点の映画になったと書いていた。このお二人だいぶ話が合うと思うんだけどね。


「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」公式
http://www.tbsradio.jp/utamaru/cinema/index.html


 そういえば休憩中に深夜の本屋で「野性時代」に連載中の古川日出男「黒いアジアたち」を立ち読み。まだ序章って所。今のところは豚と豚の先祖である猪が対になっている感じ、あと海と森が。カリマンタンが出てきたかな、この物語すごく長くなりそうな気がする、アジアの神話的な感じにするのかもしれない。

私たちがやったこと (新潮文庫)

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きのう何食べた?(1) (モーニング KC)

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重力ピエロ (新潮文庫)

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野性時代 第67号  62331-69  KADOKAWA文芸MOOK (KADOKAWA文芸MOOK 69)

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