Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

Spiral Fiction Note’s 日記(2024年7月16日〜2024年7月31日)

7月上旬の日記(2024年7月1日から7月15日分)


7月16日
日付が変わって上旬の日記をはてブと半年前の日記をnoteにアップしたがすぐに眠れずに、radikoで『空気階段の踊り場』をほぼリアルタイムで聴き、それでも睡魔がやってこないので『JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力』を音量小さくしたまま目を瞑っていたが、番組が終わりかけの深夜3時近くにようやく落ちた。


先々週に半年ぶりとかに出社したが、今日も出社してやる作業があったので早めに会社に行こうと思って6時半目覚ましをかけていた。こういう時は寝過ごさないタイプなのでちゃんと起きて準備して7時半前には家を出て渋谷へ。半蔵門線九段下駅で降りて竹橋にあるパレスサイドビルへ。

僕の働いているチームがいる座席があるエリアは8時過ぎなので当然誰も出社しておらず、照明やエアコンがついていなかった。そもそもスイッチというかどこでオンにしたら付くのか知らなかったのでそのままちょっと暗いままで作業に必要な書類をロッカーから持ってきて作業を開始。
途中で冷房が入っていないのでどんどん汗が出てきた。他のフロアの配置と似たようなものだろうと思って室内を探したら照明とエアコンの電源を入れるところがあったのでオン。


13時過ぎには頼まれて作業が終わった。昼休憩を使って帰ってリモートワークをすることにした。
パレスサイドビルから九段下駅に向かう途中の皇居の横を歩いていて武道館が見えるのが好きな光景だ。緑に染まっていた。

出社してからは作業BGMとしてradikoで『フワちゃんのオールナイトニッポン0』を聴いてから、Spotifyで『83 Lightning Catapult』の最新回を。それが聴き終わってからは『アルコ&ピースしくじり学園放送室P』『ランジャタイの伝説のひとりぼっち集団』『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』の先週分をもう一度流していた。
知り合いの社員とかバイトの人も周りにいないし、作業に集中するためではあったけど、他の部署の人が普通に電話してるのかなって思うぐらいデカい声だなってイヤフォンしても聞こえるほどだったけど、よく見たらZOOMか何かでやりとりしていた。
家に帰ってからリモートーワークで作業を再開。帰ってきてから雨が強くはないもののずっと降っている感じになっていたので早めに帰ってきていてよかった。

仕事が終わってから、休憩がてら『アルコ&ピースしくじり学園放送室P』(ゲスト:千代田修平)を聴いた。『チ。』などの担当しているマンガ編集者の人がゲストだったが、アルピーというか平子さんの会話の回しとかが絶妙にうまいこともあって、とても素直に緊張もせずに話している印象を受けた。

『あのと粗品の電電電話』は今週お休みで、そういえば深夜の『あののオールナイトニッポン0』も休みで代わりに『ランジャタイのオールナイトニッポン0』が放送される。
配信された『ランジャタイの伝説のひとりぼっち集団』最新回を聴きながらアイスコーヒーを飲みながらタバコで一服。リラックスできたので夜のルーティンの読書とライティング作業。そういえば今日は本屋に行かなかった。

Cornelius "MIND TRAIN" 


最近は読書する時にはコーネリアスのこの『MIND TRAIN』という曲とアルバム『Ethereal Essence』をよく聴いているけど、非常に心地よくて坂本龍一さんの曲もいいけど、僕のモードとしてはコーネリアスが合う。

 

7月17日
7時前に目が覚めて、寝起きがてらradikoで『アルコ&ピースD.C.GARAGE』を聴いてから『JUNK 爆笑問題カーボーイ』の途中からリモートワークを開始。
昨日は出社したこともあって、一人だけで自分だけしかいない部屋で作業をするというのは本当に気楽だ。『星野源オールナイトニッポン』では星野さんの「音楽の父」である細野晴臣さんの誕生日会に行った話をしていた。YMOでも最年長の細野さんが存命で音楽活動をされていることが彼に影響を受けたミュージシャンたちの指針になっているのもわかるし、星野さんがほんとうに慕っているのがわかるトーク内容だった。
Spotifyで『あのと粗品の電電電話』がお休みで、TVの『あのちゃんの電電電波』もゲストなしの珍しい番組へ送られてきたイラストを紹介する回で、ツアー中ということもあってお休みを取らせようといろんなところが動いているのだろう。
『あののオールナイトニッポン0』も休みで、「ANN」ポッドキャストをレギュラーでやっているランジャタイが代役がてら『ランジャタイのオールナイトニッポン0』が放送。いつも通りのランジャタイのトーク松本人志の名前をはっきり出している芸人って彼らぐらいじゃないかな、他にもいるんだろうけど、無意識に名前を出している感じもする。
今の「ANN0」は月曜日がフワちゃん、火曜日があのちゃん、水曜日が佐久間信之さん、木曜日がマヂカルラブリー、金曜日が三四郎と鉄壁のメンツになっている。誰かが一部に昇格か辞めない限りは新しいパーソナリティーという感じではなさそう。
ポッドキャストも含めて、トム・ブラウン、ランジャタイ、ヤーレンズ辺りが時期候補だと思うが、すでに二組芸人がいるから難しいだろうし、あのちゃんか佐久間さんが一部に昇格するとか、誰かが何らかの理由で動かない限りはこの布陣で行くと思う。

昼休憩で外に出たら、ちょうど来月のヤーレンズDr.ハインリッヒのライブチケットが先行で取れたと一緒に行こうと話していた友人からDMがあった。どちらも生で観たこともないし、ネタは多少ぐらいなのでどんな温度なのかほとんど初のものを体験できるので夏のお楽しみ。
書店の新刊コーナーで今日は芥川賞直木賞の発表日だなって思ったけど、結局候補作で読んでいるのは朝比奈秋著『サンショウウオの四十九日』だけだった。読んだ感想としては受賞するんじゃないかなって思っていたけど夕方過ぎにはこの作品と松永K三蔵著『バリ山行』の二作品が芥川賞を、直木賞一穂ミチ著『ツミデミック』が受賞したのをSNSで見た。『バリ山行』はちょっと気になっている。

東急の地下のスーパーで買ったとうもろこしと枝豆のかき揚げ、この組み合わせ大好きだが食べているとどうも鼻の奥に何かあるような違和感が出てきて思いっきり鼻を噛んだら咀嚼して潰れた黄色や緑色が飛び出してきた。
他の店舗のものはもう少し小ぶりというかかき揚げの大きさがまとまっている気がする。たぶん、東急のは粒が大きいのだろうか、鼻の奥に詰まった感じのものを一気に排出する、それはとても心地いい。

リモートワークの作業でたくさん読まないといけないものがあったので、ぐったりした。一つの長い作品をずっと読むのは作品にもよるけど心地よい疲労感があるんだけど、短いものをいくつも読んでいくとわりと作品の内容とかにかかわらず何かが急激にすり減っていく。この辺りの塩梅はずっと変わらないし、年齢を重ねていくとより減らされていく気がしている。

東村 ほめられようとか評価してもらおうって気持ち、ホント薄いですもん。編集者さんに「もっと丁寧に描け」とか「こうやらないと売れないぞ」って散々言われてきたけど、言われれば言われるほどもっと雑にしてやれって宮崎人の意地で……。

永野 その自分を客観的に見て笑ってるみたいな。

東村 そうそう。永野さんが世に出てきたとき、同じノリを感じました。破壊衝動とまではいかないんだけど、そういう感覚ですね。

永野 めちゃくちゃわかります。ただ、散々宮崎の話で盛り上がってなんですけど、最近若いひとたちが宮崎芸人としてほがらかに出てきてるじゃないですか。あれはちょっと許せないです。何がマンゴーだ、かぼちゃの県だろみたいな。上京したんだったら、一度は屈折した気持ちでセンター街を歩かないとダメですね。

過剰で異常。東村アキコ×永野、宮崎が生んだ奇才2人の「おもしろ」のルーツと「ど真ん中にいかない」意地

永野さんが編集長として気になる人と対談する企画、宮崎県出身者同士の世代も近いからこその話になっていた。
二人に共通するある種の過剰さみたいなものが話の中でも近しいものであるのもわかる。マンゴーではなくかぼちゃの県だ、という部分に非常にある世代より上で上京してきた人の県民性を感じる内容だった。

毎日、2、30ページぐらい読み続けている『異族』はどんどんおもしろく感じられるようになっているが、着地する方向性がいまいちわからないが青いアザを持つものたちという仲間意識を持っている主人公格の青年たちにさらに同じアザを持つものが加わるという展開。聖痕的なものが特別であるはずの印が実は作られたものなのかもしれない、誰かの手の上で踊らされているのかもしれない、という感じがしてきてより僕は物語に惹かれている。
多重人格探偵サイコ』に出てきた犯罪者たちの瞳にはバーコードがあった。犯罪者たちはそれを特別な印、聖痕のように誇っていたが、バーコードとは作られた工場製品であり特別ではないことが物語が進んでいくと明かされていった。原作者の大塚さんはあえてそうしていたと思うが、聖痕を自らの誇りにすること、他者とは違うという自意識を昂らせる装置にしか過ぎないという批評でもあったのかもしれない。

U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS「たのしみ」リリースライブ、発売から3年4カ月後に開催決定 

夜作業をしていたら友人からナタリーの記事のURLがLINEで送られてきた。U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESSのライブを8月にやるけど、どうするっていうお誘いだった。
このアルバム『たのしみ』もリリース時に購入して聴いていたし、友達とも環ROYのライブに行ったりしていてまた環ROY鎮座DOPENESSのラップ聴きたいねって話をしていたが、コロナ前に観たけど何年も観れていなかった。夏だから祭り感覚で楽しみたい。

 

7月18日
起きて可燃ごみを出してから午前中は予定がなかったので、横になったままradikoで『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』を聴いていたら寝てしまった。8時前に目覚ましが鳴ったので、もう一度最初から聴きながら朝の読書などルーティン。関東でも梅雨明けしたらしいとニュースが出た。酷暑の夏が本格化してしまう。

ラジオで佐久間さんが大根仁監督が手がけたドラマ『地面師たち』関連で主演の豊川悦司さんや綾野剛さんとNetflixの宣伝番組をやったという話をしていた。このドラマ気になっているのだけど、大根さんが手がけるとなればきっと伊賀大介さんが衣装なのだろうなと思って調べたらやっぱりそうだった。
佐久間さんのフリートークでは予約していたお店に作家の川上さんと後輩のプロデューサーの祖父江さんと一緒に行って食事をして、次の予約が7ヶ月後になるという話をしていた。その前は3ヶ月後だったのにお店が人気になっていてどんどん予約が取りにくくなっているらしく、もう「良いお年を」とお店の人に言った後にもう一件がてら佐久間さんの仕事部屋で飲みながら大根さんの映画『サニー』を観ていたらしい。
作家の川上さんたちはこの3年ぐらいの間に大病をされていたみたいで急に「この年になると何があるかわかりませんよね。だから、7ヶ月後の予約だって、俺たち何があるかわかりませんよね。佐久間さん祖父江さん僕らにできるのは美味しいごはん屋さんの次の予約だけですよ。楽しい次の約束をしていきましょうよ」と言って佐久間さんちょっと泣いてしまったという話をしていた。
気が許せる人や大切な人とは次に会う約束をしといたほうがいい。その日までなんとかやっていけるから、いつか会えなくなるから、次の約束を守れなくなる日が来るから、だから会う約束をなにかに理由付けて会えるうちに会っておこう、そういうトークだった。
ランジャタイとかが屋のツーマンライブチケットを発売日に取ろうとして取れなかったとラインした数時間前に友達は亡くなっていた。もしかしたら、先行抽選で取れてたら、なにか変わってたのかなと思ったりしたし、変わらなかったのかもしれないとも思ったこともあった。ランジャタイのラジオを聴いて生き延びている僕は毎週笑ってしまう。関係性が続くのは縁と運、あと努力もいる。年齢を重ねるとどんどん難しくなる。

この数日でNetflixで最初の一話しか見ていなかったA24制作のドラマ『BEEF』を一話ずつ寝る前に見ているので、見終わったらちょうど『地面師たち』が始まる感じなので久しぶりにドラマにハマれるかもしれない。
フジテレビで始まった宮藤官九郎脚本ドラマ『新宿野戦病院』はすでに三話まで放送されたがいまだにTVerでも配信されているが一話も見ていない。前作のTBSドラマ『不適切にもほどがある!』は何とか最初から最後まで見たのだけど、こちらはまったく食指が動かない。
「ふてほど」の時にも思っていたけど、僕にとってのクドカン脚本ドラマというのは主演が長瀬智也であることが大事だったということ。長瀬さんは『俺の家の話』の作中で死んでしまう役だった、そうやって彼は芸能界から消えた。引退していった。だから、『新宿野戦病院』も長瀬智也のいないクドカン脚本ドラマ、いや僕らがずっと見続けたクドカンドラマではもはやないのだ。


昨日夜に坂口恭平著『生きのびるための事務』と木山捷平著『落葉・回転窓』を読み終わった。
前者は事務の話でもあるが、坂口さん的なプチ啓発要素もあって生き方や働き方に悩んでる人には響くだろうし、こういう発想だからこそ坂口さんはアーティストなんだなって思えるものだった。
後者は木山の後編の短編を集めたものだが、高齢になってから事故に遭ったり怪我をしたりして治療目的でいろんな温泉などに行っていて、場所ごとの思い出を短編にしている感じだった。
こちらが読み終わったので木山さんが満州にいた時のことを書いた中編『長春五馬路』を読み始めた。最初の一節を読んだが木山の分身である主人公が42歳ぐらいで今の僕とほとんど変わらないけど、中年のおじさんというよりはおじいさんに近い感じになっている。
1940年代の40歳というのは今の60歳ぐらいの感じなのだろうか、その分身が旦那がいなくなった27歳の女性に所帯でも持とうかと軽くいうシーンがある。この辺りの会話のテンポややりとりは市井の人を描いていた彼らしいなと思う。

16時前に家を出て渋谷まで歩いて副都心で池袋駅まで行き、グランドシネマサンシャイン池袋へ。18時から受付で半から日本最大級のIMAXで完成披露試写会だった。この前『オッペンハイマー』を観にいた時も早く並んでいた人たちがグランクラスみたいな上映料金プラス3500円ぐらいの席の前後に案内されていた。受付したら席が示されているチケットを渡されるのでちょっと早めに行っておいた。
オッペンハイマー』の時はちゃんと宣伝会社の人たちが試写にきた人たちを並ばさせて混乱しないようにしていたが、この日はハピネットファントム・スタジオの作品だからそこが仕切ればいいのに全然できていなくてちょっと並んでいる人たちの文句や機嫌の悪さが出ていて嫌だった。
A24の作品は日本だとハピネットファントム・スタジオが取り扱うことになっていて、期待値もある映画なので、その辺を宣伝会社同士でしっかり連携すればいいのになって。ただ立って話しているおじさんやおばさんや若いスタッフも誘導とか下手すぎた。

本国アメリカでは4月に公開されてA24史上最高のオープニング記録を樹立したアレックス・ガーランド監督『シビル・ウォー アメリカ最後の日』をIMAXの大画面と大音量で体験。
テキサスとカリフォルニアの同盟からなる「西部勢力」と政府軍の間で内戦が勃発して、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。
ベテランの戦場カメラマンのリー・スミスキルスティン・ダンスト)と同僚のジャーナリストのジョエル(ヴァグネル・モウラ)は14ヶ月メディアの取材に答えていない大統領に直撃インタビューするためにベテランで二人のメンターであるサミー(スティーヴン・ヘンダーソン)に相談し、バージニア州にある前線となっているシャーロッツビルへ向かう。そんな中、リーに憧れている20代前半の戦場カメラマン志望のジェシーケイリー・スピーニー)も一緒に同行し四人の旅が始まった。

―― 確かに西島さんに何か相談しようとは思わないですね。

西島 ここら辺も僕の作品の弱点だと思います。個性であり最大のウィークポイントです。

―― そういう意味では共感を得ないんですかね。

西島 「共感できなさすぎて逆に共感」とかはあると思うんですけど、それは大多数をなさない。だから女性ファンは少ないですよね。おもてなしの態度、ホスト力が足りない。インソムニア(*)だけは女子人気があったはずなんですけど、彼を使って恒常的なおもてなしの空間が作れていない。

(*)ティムの部下である「ストレイ・ドッグス」の一員。「まどろみを知らないスナイパー」で絶対に眠らないらしい。ロバート・キャパを尊敬しており、彼のようなカメラマンになりたかったが結局諦めた過去がある。ヒカルに対して、「君は優秀なスナイパーになれる」と称賛している。カメラマンとスナイパーという視線の先に対しての行為、戦争での立ち位置として『ディエンビエンフー』シリーズではこの相違関係は非常に大きな存在と批評性を持っている。

分岐した先にあった本当の終わりに向かう漫画『ディエンビエンフー TRUE END』――未完、と二度の打ち切りというバッドエンドからトゥルーエンド、そしてその先に/漫画家・西島大介さんインタビュー(vol.5)

一流のカメラマンは一流のスナイパーになれるというのを『シビル・ウォー』観ながら思ってた。西島大介さんにインタビューした時にそのことに近いことを書いてる。カメラも銃も加害性と暴力性がある。僕たちはスマホで世界を自分や他者をひたすら撃ち殺し続けている。新自由主義グローバリズムによりゾンビになったことに気づかないまま、笑顔で撃ち続けている。

終盤はずっと銃声が響いている状況になっており、大画面で首都ワシントンD.C.ホワイトハウスが銃弾によって破壊していくさまは作り物という感じがしなくて、やけにリアルだった。
リーというベテランの戦場カメラマンから若者であるジェシーへバトンタッチ、継承する物語でもあり、ジェシーはある出来事の後に車内で吐瀉してしまうシーンがあり、前から言っているように吐瀉するシーンがある映画はいい作品が多い。一時体が否定すること、その後に彼女は成長するためにそこを乗り越えていくことになる。
ストーリーとしては二時間もなく、何となく本当は三時間以上あったのを端折ったんじゃないかなって思えなくもない。話の進み方を見てももうちょっと大きな出来事があってもおかしくない展開だった。
前に試写で観た『憐れみの3章』に出演していたジェシー・プレモンスが今作でもちょっとおいしい役所で出演していたが、主演のキルスティン・ダンストと彼は夫婦なので夫婦共演というのも一部の映画好きにはうれしい話題にはなるのかもしれない。
トランプ元大統領の銃撃があったこともあるが、彼が二度目の大統領になったらこんなアメリカになっていても不思議ではないと思えるもので、そういう意味でもアメリカではリアリティが格段に違うんだろう。これがどう日本に伝わるのか、今はもう伝わらないだろうし、アニメ一強になってしまった日本の映画業界では若い観客は海外の実写映画に興味を持っていない。現実逃避にかけては日本はサブカルチャーの進化と発展と共に磨き続けたのが現在だから仕方ないのだけど。


先週も試写でお会いした映画監督のSさんと今回も同じ回を観にきていたので、そのまま一緒に帰ってニコラへ。二週連続会って飲むというのは僕にしてはとても珍しい。

 

7月19日
目が覚めると微妙に体が熱い、体温計で計ってみると37℃台だった。喉もちょっと調子がよろしくない。これはもしかしたら夏に流行するとニュースなどになっているコロナ「KP.3株」に感染しているのかも、と不安に思いつつ朝のルーティンをしようと思ったけど、とりあえず無理はしないで時間まで横になっていた。
いつも通り家でリモートワークなので、仕事を始めた。昼ごはんを食べてから風邪薬を飲んで少しだけ仮眠したが熱は下がっておらず38℃台に入っていた。
この数年でも高熱を何度か出したけど、コロナ検査しても陽性ではなく扁桃腺が腫れたことによるものだった。今回も喉が少し痛いから、コロナよりはそちらの方がまだましだった。
病院に行くかどうか悩みながら作業を続けていると夕方になってしまっていた。近所の病院も閉まっていくし、金曜日だから土日はやっていない。仕事終わりでドラッグストアに行き、風邪薬や経口保水液などを買いに行った。外に出れないというほどではないが、やはり体が熱いので、土日は家から出ないでじっとしていた方がよさそう。もしコロナだったら五日から十日は外出を控えて部屋にいた方がいいみたい。
節々も全身ではなく右肩だったり左足だったり痛いけど痛みが移り変わっていっている。家に帰ってから39℃を越えてきた。風薬を飲んでから首や脇に凍らした保冷剤を挟んで熱を下げて、を何度か繰り返した。熱はちょっと下がってきたので少し楽になった。コロナだと高熱が数日続くみたいだから、朝起きて熱が下がっていたら風邪か扁桃腺が腫れたものだろうし、また熱がぶり返したらコロナの可能性もあるので、それが続くならさすがに病院かなあ。

 

7月20日
夜中に一度目が覚めた時に汗をかいていたので着替えて、買っておいたキューピーコーワαチャージを飲んで風邪薬を飲んですぐに寝た。起きると身体の熱さはほとんどなくなっていて、体温計で計ったら37℃に下がっていた。節々も特に痛くないし、頭痛もしていない、喉の痛みもほぼない、ただ声はちょっとかれているような感じぐらいに落ちついていた。

古川日出男×坂田明×向井秀徳、ライブ映画「平家物語 諸行無常セッション」が9月上映


去年2月に草月ホールで行われた「MATSURI SESSION 古川日出男×向井秀徳」の時にこの映画のチラシが入っていて「2023年初夏公開」と書かれていた。夏を過ぎても何の音沙汰もなく、公開しないのかなって思っていたが、ちゃんと公開されるみたいでよかった。
僕は7年前に竹林寺でこのセッションを観ている。単行本『平家物語 犬王の巻』が出たばかりで『平家物語』も『犬王』もアニメ化されていなかった。
アニメ『平家物語』はオリジナルキャラの語り部である少女「びわ」が、現代語訳をした古川さんに近い立ち位置で脚本と構成が素晴らしかった。アニメ映画『犬王』はグラムロックオペラみたいになっていて、犬王であるアヴちゃんの女王蜂のライブも、竹林寺での『平家物語諸行無常セッション』も観ていたから、どうしても物足りないし、なんでもできるアニメなのになんでそうしたんだろうと思ってしまった。でも、その二作品で古川さんの作品を読む人や興味を持つ人が増えたのが一番良かった。

映画もテレビシリーズも空前の豊作! 2024年年間トップ10【宇野維正のMOVIE DRIVER】 


昨日寝る前に見ていた宇野さんの動画。トップ10の下位の方はドラマシリーズが多くて、取り上げられているドラマで僕が見ているのは『シュガー』のみだった。この作品に関しては大好きか認めないかのどちらかだと思う。僕はめちゃくちゃ好きなドラマだった。起きてから体調も落ち着いたけど、家にいた方がいいだろうから、自分の観た映画2024年上半期ベスト5を考えてみた。

上半期
1:『哀れなるものたち』
2:『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章&後章』
3:『異人たち All of Us Strangers』
4:『パスト ライブス/再会』
5:『ミッシング』


午前中からお昼にかけて横になったままで、『きしたかのタピエロ』『JUNK バナナマンバナナムーンGOLD』『三四郎オールナイトニッポン0』を聴いた。
三四郎ANN0」は7月19日放送だったので小宮さんが「ナイク!」と冒頭から言い出して、そこからナイキ、スニーカーの話になってその中でも名前のカッコいいものをあげていく流れになっていった。
リスナーからもカッコいい名前のスニーカーとその名前を盛り上げるようなキャラ付けがされたメールが集まってきた。エルメスなどのブランドものは敵の四天王的な扱いになっていったりした。
前週の『プラダを着た悪魔』続編に関するトークみたいにテンションが高くてまさにラジオスター・三四郎ノリだった。いつも通りのわりとすぐに忘れてしまうけど、聴いている時は最高におもしろいトーク

体自体はだいぶ楽になってきて、喉用のトローチを常時舐めつつ、うとうとし始めたら無理せずに寝るということを繰り返していた。高熱も続かないし、新しい変異株のコロナの症状も出ていないので一安心だけど、無理はしないで部屋にいた。

 

7月21日
8時過ぎに起きて熱を計ると36℃台になっていて、喉もほとんど痛みがなかった。なんとなくいつもの状態が100%だとすると85%ぐらいな気分。完全に治った訳ではないけど、熱が高かった時に比べると節々の痛みもないし日常モードに戻りつつあった。

「ごめんごめん」と事実を認めた佐久間だったが、上杉を番組にオファーしない理由について、「ホントのこと言っていい?」と切り出すと、「番組の司会じゃなくて、バラエティプロデューサーとして思うことね。もちろん、“推しフジコ”にしたから、上杉のことを推そうと思って企画は考えたんだけど、まず1個は、“待ってる”って言ったじゃん。“待ってる”人に仕事は来ない」とズバリ。

 続けて、「もう1個は、半年間上杉の企画を考えた。YouTubeとか。でも上杉は、いろんなところに気を使いすぎて、尖った部分とかいびつな部分がなくなってて、お前の企画が思いつかない」と伝えた。佐久間のストレートな物言いに上杉は思わずうなだれ、話を聞いていたオズワルド・伊藤俊介も「これ、芸人だったら死ぬぞ!」とびっくりだ。

 佐久間は「例えば僕のYouTubeで最近ブレイクした福留光帆さんって方とか、そういう人とか、みんないびつなわけよ。いびつな人の企画はとっかかりがあるから思いつくんだけど、上杉は今、全体的にはすごいキレイな丸になってる分だけとっかかりがなくて、他の人との差がなくなってきちゃってるから、思いつかなくて、今までお声かけてないっていうのが2つ目」。

 さらに佐久間のダメ出しは続き、「最近の上杉は、何をやるにしても制作者と大人の正解を探してるから、ちょっと面白くなくなってきてる。それが俺がバラエティプロデューサーとして、何とか上杉の企画を考えたいが、今まだ思いついてない理由」と話すと、上杉は思わずカメラから目をそらし、涙を流した。

佐久間宣行、女子大生タレントに“ガチでダメ出し”をして泣かせてしまう 「芸人だったら死ぬぞ!」と驚きの声 - クランクイン! 

この土日はもう無理はしないと決めていたので、起きてからTVerで先週は石丸が出ていて見なかった『オールナイトフジコ』を見た。佐久間さんが出演者の女子大生へバラエティプロデューサーとして真面目に話していたことが彼女だけではなく、僕にも見ているいろんな人に響くものだった。
確かに「待っている」人には仕事は来ないよなあ、自分にも当てはまることだった。と思いつつも去年ぐらいから関わっているライター仕事は自分の手を離れていて、他の人たちの領域で進んでいてどうしようもないことばかりでどうしようもない。他の仕事を自分で取りにいくしかないこともわかっている。問題は今年に入ってから声をかけてもらった仕事は諸問題で始める前に進められなくなったものもあるので、今年はなんかタイミングとかが悪いのかなって思わなくもない。それでも動くならどうするか、と考えていた。


夕方まで中上健次著『異族』に続きを読んでいて、「完結篇」というところまで。あと200ページほど、終わり化が近づいてきた。体調もよいし少しは外に出ようと思って駅前のドラッグストアに行くついでにTSUTAYA書店で気になっていたデルモア・シュワルツ著/小澤身和子訳『夢のなかで責任がはじまる』を購入。この作家のことはまったく知らなかったのだけど、小澤さんが訳されているし、SNSでもわりと推している人たちが信頼できる人たちだった。
河出書房新社から刊行されている海外文学の装幀は好きなものが多いしカッコいいものもある。それに対して日本文学のものは僕には刺さらないものばかりなのが不思議だ。いわゆるエモさみたいなものやイラストがメインのものが多いというのもあるけど、その意味で一般的なものからズレてるのが僕の方だろうからもうどうしようもない。

夜はライティング作業の一環で校閲が入ったもののデータが送られてきたので最初から最後まで読んだ。自分のケアレスミスが多くて申し訳ない気持ちになるが、句読点の入れる場所とか単語や言い回しなどチェックされている部分が勉強になる。
ちゃんとした文章になっているし、読みやすい。同時に最初にあったその人独自の言い回しみたいなものはどうしても薄れていくので、その辺りの塩梅が難しいところだった。
この作業に関しては始まったのが今年からなので年内に形になるのでありがたい。去年からやっているものがいつになっても形にならず、原稿のことではない諸事情があるのもわかっているので急かしにくいというか、編集者からなんら連絡がないのでこちらとしては何にもできない。結局、刊行されないと原稿料とかも入らないし、仕事しましたとも言えないからこの辺りのジレンマみたいなものが地味にダメージくらい続ける形になってくる。
編集者からフリーランスの現状が理解されていないと思うのはこの部分で、ずっと塩漬けされ続けている間はこちらには一銭も入らないし、発売が伸びた分だけ原稿料とか執筆料をあげてくれるわけでもない。空白が伸びれば伸びる分だけこちらの生活は圧迫される。

 

7月22日
6時過ぎに起きてニュースサイトを見たらバイデン大統領が大統領選から撤退し、ハリス副大統領が事実上、後継指名されたと知る。黒人初でアジア系初の女性がアメリカ大統領になれば、いろんなものが変わるだろうという期待してしまう。
先日、死に損ないかけたトランプ元大統領と彼女は戦えるのか、その知名度や人気がわからないけど、バイデンのままでいくよりはいいんじゃないかな。日本の政権与党としては安倍元首相とも懇意にしていたトランプが勝ってくれた方がいいのだろうけど、そういうものが全部吹き飛べばいい。

可燃ごみを出しに行って、熱を計ったら36℃台なのでひとまず安心。うがいしたら喉の奥の方から嫌な色した痰が出てきたので治りかけの状態にはなってきたはず。
朝の読書もしないで横になっていたらもう少し眠れそうだったので一時間ほど寝てからリモートワークを開始。いつもの月曜日の作業をこなしていく。
お昼に外にご飯を買いに出たら確かに暑かったが湿気はあまりなくて、まだなんとかなりそうな気温だった。
今週発売の『AERA』のレギュラーコーナー「現代の肖像」で燃え殻さんが取り上げられているというのをSNSで見たので立ち読み。しっかりと取材されていると思える内容だった。知っている編集者Mさんと一緒にデビュー作の小説を作ったことは大きかったんだなと改めて思った。
燃え殻さんの執筆業をやる前のテレビ関係の会社での営業の仕方など結果が出る前でやり続けるのとかはご本人に会って話しているとあまりわからない、普段は見せていない粘り強さだったりして、本が売れない時代に新作を出し続けていける、読者が待っている作家になっている要因の一つではあるのだろうなと頭が下がる内容だった。
家に帰ってからしばらくして微妙に体が熱いかもと思って計ったら37℃を越えていた。ぶり返すと嫌だなって思ったので薬を飲んで横になって仮眠をちょっと取った。それだけでも熱は下がったし、体も違和感なかったのですぐに作業に戻る。

今日は空いている時間にライティング作業関連で止まっているものに関して、連絡して今どこまで進んでいるのか、誰が作業中なのかを確認した。それで何かが急に進むわけではないけど、どこにボールがあるのかがわかっているだけで心持ちが全然違う。

仕事が終わってから熱はなかったけど、少し背中とか右腕の付け根あたりが少しダルい気がしたのでご飯を食べて薬を飲んで横になった。家ではいつもBOSSブランドのクラフトボスブラックというペットボトルのコーヒーを飲んでいる。ずっと机とかの上に置いていて常温になっているのだけど、飲んだら水みたいに感じた。
あれ、味がしてないような? 
他の味がある飲み物を飲んでもどうも味がしていない。これはコロナの後遺症とかで出るというやつなのか、どうなんだろう。タバコを吸ってみたがいつもと違うタバコの匂いもほぼ感じないし、口の中も苦味みたいなものがない。これは味覚と嗅覚がダメになっているのを認めるしかない。やはりコロナに罹患してるんだろうな、と思ったので起きたら近所の内科に行って検査を受けることにした。

『83 Lightning Catapult』最新回が更新されたのでそれを聴きつつ、横になっていたらすぐに寝てしまった。

 

7月23日
深夜の3時に目が覚めた。トイレに行ったりうがいをしたり、熱を計ったりした。ペットボトルのコーヒーを飲んだけどやはり味がしない。
ちょうど放送が始まった『フワちゃんのオールナイトニッポン0』をradikoで聴きながら目を閉じて寝落ちするのを待っていた。上海に行っていたフワちゃんのトークはテンションが高いけど、耳障りにはならず普通に聴いていた。
住んでいるエリアにも最近は海外の旅行者らしき人が増えてきているけど、電車やバスに乗るにもお店で会計するにも海外みたいにクレジットカードやスマホ決済が当たり前ではないので、ちょこちょこトラブルは起きているんだろう。でも、海外に行くときはそのエリアのこと調べていきそうなものだし、現金オンリーみたいな場所があるみたいなことも考えてない人がそこそこいるのかもしれない。
スマホが普及する前なら地球の歩き方みたいなガイドブックを読んでからその国へ渡ったりしていたと思う。その時の方がみんなお金の支払い(昔なら小切手にしたり)とか国ごとで違うのが当たり前だったから前準備していた。スマホが普及するとそういう部分が端折られてしまって、スマホがあれば多少なんとかなるという考えが逆に現地でのトラブルを呼ぶこともあるんだろうな、とフワちゃんの上海滞在記を聞きながら思ったりしていた。

8時過ぎに起きたので、9時前には近所の内科クリニックに。週末に熱が出たこと、すでに熱はないけど昨日から味覚と嗅覚がないのでコロナの検査をしたいことを伝えた。
そんなに待たずに順番が来て、誰もいない部屋で待っていたら抗原検査のキットで鼻の奥に麺棒みたいな細長いものを両穴奥に突っ込まれて、その後20分ぐらい待っていたら最初に問診してくれた先生がやってきた。
陽性のラインが見えるか見えないかぐらいですごく薄く出ていて、ほとんど治りかけだからそこまで気にしなくてもいいという話だった。味覚や嗅覚の方も普通の風邪でもなることはあるし、一週間とか時間経てば戻ると思いますということだった。
コロナ陽性になったのは初めてだったが、症状的には軽症だし深刻ではないので助かった。昨日の夜の時点でたぶんコロナだろうなと思っていたので、今日の昼からだった『ナミビアの砂漠』試写も担当さんに連絡してキャンセルしてもらったし、水曜日の夜に飲みに行く予定だった人にも連絡してキャンセルしてもらった。木曜日の夕方から行く予定の上映会とトークイベントも行かない方が良さげ、場所がそこまで広くないので大事をとって。
今週は基本的にはリモートワークして、外出しないで人にできるだけ会わないようにするウイークになることが決定。

火曜日はSpotifyで『アルコ&ピースのしくじり学園放送室P』(ゲスト:戸田真琴)、『ランジャタイの伝説のひとりぼっち集団』、『あのと粗品の電電電話』が配信されるので軽いご飯を食べて横になって聴いた。
「アルピー放送室」は三回に一回ぐらいはアダルトビデオ関係の人がゲストになってきているような、トークイベントとかに出る人も多いだろうし、多くの人が興味ある話だから最後まで聴いてもらえるというのは大きいのかもしれない。戸田さんは書籍を一冊読んだことあるぐらいだけど、デビューがAV女優だったけど、そこから違うジャンルに飛び出していくバイタリティも感じるし聡明な人だと思うので執筆や映画監督としても活躍できそうだなって思ってたけど、前編後編と二回になるぐらい話が尽きないのはやっぱりすごいし魅力的だな。
「ランジャタイひとりぼっち」はPOISON GIRL BANDの阿部さんとの思い出話。やめて今はマグロ漁船に乗っているらしい。POISON GIRL BAND自体は王者になったりはしなかったけど、二人が話すように後輩たちや次世代には多くの影響を与えたコンビだった。芸人の口からそう言われると、腑に落ちるような気持ちになる。実際にPOISON GIRL BANDは「M-1グランプリ」とかで数回しか見たことがないので僕にはそこまで判断できないけど、ミュージシャンズミュージシャンみたいな存在だったんだろう。
「あの粗品」は一週休んで再開。粗品のライブにあののバンド「I`s」が対バンで出た後の収録みたいでバンドや音楽の話をしている。カプ推し的な売り方も「あのANN0」での二人の号泣でやるのもどうだろうね、みたいな距離感で話していて、そういう素直さみたいな部分も好感が持てる。


処方箋をもらいに調剤薬局に行ったついでに書店で大根仁監督によるNetflixドラマ『地面師たち』の新庄耕さんの原作小説を買った。寝る前に60ページほど読み進めたが、『ハゲタカ』同様に社会はエンターテイメント作品だった。これは確かにおもしろい。
先に解説の大根さんの文章を読んだが、テレビ局も映画会社も不動産部門を持っていたり、大手のスポンサーだったりするので企画を各プロデューサーに送っておもしろいと言ってもらえても映像化が、ということを書かれていた。こういう作品はステークホルダーになっていない配信系かNHKぐらいしかないということになる。
モテキ』ドラマ以降、大根作品はずっと伊賀大介さんが衣装を手がけているが、スタッフを調べたら今作も伊賀さんだった。盤石の体制で、ネトフリだからこそできる映像、予告編を見る限り、このドラマはかなりすごいものになりそうだ。

 

7月24日
熱はない、咳も出ていない。体調はいつも通りと言えなくもないほど普通だ。起きてからはradikoで『アルコ&ピースD.C.GARAGE』『JUNK 爆笑問題カーボーイ』を聴いていたら、リモートワークの時間になったので作業開始。
昨日よりはちょっとだけ味覚があるような気がするが、いつも通りでは全然ないのがアイスコーヒーを飲むとわかる。
「爆笑カーボーイ」で太田さんが都知事選に出馬したSF作家の安野貴博さんと番組で共演した際に、ハヤカワSFコンテストで優秀賞を受賞してデビュー作となった『サーキット・スイッチャー』を事前に読んでいった話をしていた。安野さんの妻が文藝春秋の編集者という話は聞いたことがあったけど、彼女は太田さんの小説を読んでいてやりとりをしたエピソードを話していた。
太田さんは小説を読まれているし、自分がおもしろいと思った作品についてはラジオなどでかなり熱量をもって話されているので信用できる。音楽とかにしても若い世代が聴いているものもちゃんと聴いた上で好きか嫌いかみたいなことを言われている、その感覚がちゃんと年齢よりも時代にあったものに向いているのもすごい。

作業中は『星野源オールナイトニッポン』『あののオールナイトニッポン0』を聴いていた。「星野源ANN」でBIMの曲がかかって、すごく気になったのでSpotifyで見つけて何度か繰り返して聴いてみた。この曲すごくいい。

BIM - DNA feat. Kohjiya, PUNPEE 



「あのANN0」は収録回、来週もツアーファイナル近いということで収録みたい。仕方ない。ツアーが終わると通常通りなのだろうかと思わなくもないけど、たぶん予想では追加でデカいところ、武道館とかありえるんじゃないかなって想像している。
今回のツアーは初日の渋谷クワトロが取れなくて諦めたけど、最終日のZepp DiverCityは行けばよかったかもと後悔しているので、追加で初めての武道館ライブをあのちゃんにはやってほしい。

休憩中に外に出たら空がもくもくとした灰色に覆われていて、風も出てきたので暑さはあまりなくて歩くには気持ちいいぐらいになっていた。
中原一歩著『小山田圭吾 炎上の「嘘」 東京五輪騒動の知られざる真相 』が出ていたので購入。

夕方ぐらいになってからアイスコーヒーを飲んだら苦味が戻ってきた。やった。匂いも感じるようになってきたので徐々に通常モードに回復しつつある。これで大丈夫だと言いたいけど、感染してから治りかけて後遺症が出たり、肺炎になる人もいるみたいなのでそこを何とか越えて通常モードになれるといいのだけど。今日まではライティング作業はしないことにして、明日から自分の作品の執筆モードに戻していく。
TVerで『水曜日のダウンタウン』をほぼリアルタイムで見ていたが、きしたかのの高野さんが後輩の芸人が楽屋泥棒をしてしまうのをモニターしている時に見てしまって、それが他の芸人たちにもバレてしまうというドッキリ、後輩芸人の裏の顔を見たら先輩芸人はどうするかというドッキリだったが、後輩との関係性もあり付き合いも長い高野は、彼が財布から金を抜いているときに「芸人として終わったな」と小さく口にして、その衝撃から吐きそうになってしまっていた。
最終的にモニターしている時に撮影している映像を楽屋でみんなが確認のために見るときに、抜いている場面が映し出される前に「自分で言え」と彼に言っていたり、バレた瞬間にはその頭をお笑いではなく本気で叩いて引導を渡していた。悲しみで泣いている高野を見ているだけで泣けてしまった。VTRを見ているバカリズムが「いい先輩だな」と言っていたが、本当にそうだと思った。

 

7月25日
6時過ぎに起きて可燃ごみを出して、熱を計るが36℃台で落ち着いているし、アイスコーヒーも味がしている。ちょっとだけ咳は出るがひどいほどではない。
寝転んだまま『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』をradikoのタイムフリーで聴いていたら寝てしまっていて、目が覚めたら8時過ぎていた。

9時に開店する代官山蔦屋書店まで散歩へ、そこで途中で寝た『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』を最初から聴きながら、もちろんマスクをして。気温は30℃を越えるかどうかぐらいだったと思うけど、多少風があったので酷暑で外無理という状態ではなかった。
「佐久間ANN0」は前番組の乃木坂にゲストで出ていた写真集を出した子とパーソナリティーが冒頭にちょっとゲストみたいな感じで出演。たまにこれあるんだけど、一番いらないというかせっかく佐久間さん秋元康臭消しているのになあと思ったり、アイドルとのトークも盛り上げることもないので番組の外でやってほしいと思ってしまう。
小説の新刊コーナー見ても特に反応するものも出ておらず、帰りにサミットで惣菜を買って帰るだけで人とも話もしないで帰った。

本日からNetflixで配信が始まるドラマ『地面師たち』の原作小説の残りを読み終える。100億円の土地買収の詐欺の最後の方はちょっと端折ったような、気がしたけど、契約にこぎつけるまでのドラマが大事だし、その後の主人公の一人である拓海の実家が火事になった原因である父親が騙された医療ブローカーとハリソン山中の関係性の方にクライマックスは展開していくのでしょうがないと言えばしょうがない。

ドラマが配信始まるのを待っていたが昼過ぎにはまだ配信は始まっていなかったので、昨日買った中原一歩著『小山田圭吾 炎上の「嘘」 東京五輪騒動の知られざる真相 』を読み始めた。
著者である中原一歩さんが事件の当事者である小山田さんにインタビューをしているだけでなく、事務所や学生時代の友人などかなりの人数を取材して、炎上した元になったかつての同級生へのイジメがどこまで本当のことで、どこから本当のことではないのかを丹念に洗っている。また、この問題は東京五輪の音楽を手伝ったことで表面化して大きな問題となったが、その前にもこの件に関して表沙汰にしてちゃんと釈明をする機会はあったこと、だが、それがなされてなかったことなど時系列でもわかるようになっている。ミステリー小説を読んだようなバラバラのピースが噛み合っていき、一つの図形や絵になっていくのを見るような快感すらあった。
問題としては小山田さんの過去のイジメ発言の炎上において、それを取り上げたら様々なメディアは当事者たちにすらちゃんと取材をして裏どりすらしていなかったことも明らかになってくる。メディアと言っても大小それぞれあるけれど、ネットのとばし記事ならまだわかるとしても大手の出版社やテレビ局などの媒体ですら小山田圭吾のかつての雑誌での発言の裏どりをしておらず、誌面に書かれた言葉を真実として取り上げて断罪している。
今回の書籍では小山田がなぜ当時そのような発言をしたのかという背景や時代や雑誌社や編集者との関係性、フリッパーズギター解散後の彼の心情などから、当時の関係者に何が本当は起きていたのかちゃんと確認をして事実が明らかにしている。
メディアの問題は大きい、取材して裏どりしていないことを報道して炎上にさらに薪をくべてしまった。そして、その後間違いなどに関しても謝罪も検証もしてない。
ロッキング・オンの当時の小山田へインタビューをしている編集者だった山﨑洋一郎(現・代表取締役社長)は著者からの何度にも渡る取材依頼を断っていて不誠実さしか感じられない。小山田のイジメ発言は調べてみるといくつかの時系列がごちゃごちゃになっており、さらに言っていないことも言ったことになっている。だとすれば当然ながらその文責は彼にある。その意味でも山崎は取材で答えるべきだし、その上で実際に言っていないことを言ったこととして誌面に載せたならば、そのことに対して謝罪なり名誉の回復に努めないとならないが、そのことをまったくしていない。
山﨑洋一郎に影響を受けている人は知り合いにもいたりするが、僕はまったく受けていないので、これを読む限りでは信用できる人ではないと思ってしまった。

本当は夕方から早稲田に行って古川さんの小説を元にした短編アニメーション『とても短い』上映会に行くつもりだったけど、今日でおそらくコロナ発症から一週間で行われる場所も大きいとは言えない劇場なのもあって、行くのを諦めた。
来週有楽町よみうりホールで開催される『夏の文学教室』には時間的には10日以上経っているので行けそうなので、今日は我慢する。

配信ドラマ『地面師たち』は17時ぐらいから公開されたのでとりあえず二話まで視聴。原作小説とは違う要素はいくつかある。刑事の辰(リリー・フランキー)は定年間近で一人で行動していたが、ドラマでは29歳の女性刑事の倉持(池田エライザ)が相棒というか勉強のため一緒に行動をしている。ハッカーというかITやキュリティ関連をパソコンで意のままに操作できるニンベン師の長井(染谷将太)も小説のキャラクターよりはかなり違うキャラクターになっている。
ドラマにする際に起きる変更点はどうしても出てくるし、何を描くのか、それをするために必要な要素は膨らませて、話やエピソード的に切らないと無理がある部分はカットしたりキャラクターの設定などを変える必要がある。それをどこまでうまくできるかでドラマの出来がだいぶ変わってくるし、原作があれば原作との違いが明確になってしまう。
うまく脚色するためにこの物語が何を描いているのか、テーマが監督がはっきりしていればいい。二話までだと違和感はあまりないし、長井と主人公の辻本拓海(綾野剛)の出会いなんかは小説のいいエピソードを描いていると蛇足になってしまうのだろうと思った。あと拓海は仕事が終わると山などに一人で登るという場面が小説にはあったが、ドラマにはない。代わりにハリソン山中(豊川悦司)のハンティングに一緒について行ったりすることで、そちらのエピソードをハンティングに寄せて消化しているように感じた。そちらの方が動物を殺す殺さない、命を奪うかというドラマのテーマに通じる面がわかりやすく映像にできるからだろう。

中上健次著『異族』を読了したので、やっとガブリエル・ガルシア=マルケス著『百年の孤独』へ。昔何度か挑戦して最後まで読み終えたことがなかったんだけど、今回驚くぐらい読みやすい。死んだはずの男が普通に現れたり、同じ名前の登場人物が何人出てこようが話はおもしろいし、すごく読みやすい。昔とは確実に何か違う。
文庫版は翻訳自体が変わっているわけではないので、明らかに自分が小説を読む力がついたんだと思う。前に読んでいたのが『異族』だったから、読みにくいというのを経ていることもあるだろうけど、何年か前に読んでいた時よりも多くの小説を読み、批評とかエッセイとかも読んできたから、読者としてのレベルが知らないうちに上がった。そうやって読めるようになる小説は確実に存在していて、たくさん読んでいく中で、どうしても読めないものや読み進められなかった作品がある時期に再挑戦すると驚くほど読めるということが今まで何度かあったが、今回もその驚きに近いものを感じた。
最初の120ページぐらいを一気に読めてしまった。正直めちゃくちゃおもしろい。

BOOKSTAND映画部!」のレビューコーナー「月刊予告編妄想かわら版」2024年8月号が公開されました。8月は『赤羽骨子のボディガード』『ブルーピリオド』『フォールガイ』『ラストマイル』を取り上げました。

 

7月26日
一度、目が覚めたものの、8時過ぎまで寝ようと思ってすぐに目を閉じた。しっかり眠れた。体はもういつも通りと言えるほどに回復している。たまに出る咳も痰が絡んでいないし、肺が痛いということもないのでひどくはなりそうにない。
今日の夜はLIQUIDROOMアニバーサリーの一環として毎年この時期に行われているライブがあった。たぶん2011年ぐらいから毎年このアニバーサリーライブに出ているZAZENBOYSのライブに恒例行事のように来ているのだけど、今日のチケットも取っていた。しかし、熱が出たのが先週の金曜日だし、コロナが発症してから七日から十日は人にうつす可能性があるので、あまり人が多い場所には行かないほうがいいらしい。
LIQUIDROOMに行って二時間ほどのライブを楽しんで帰るというのは思いの外、体力がいる。そして、ソールドアウトしているのでフロアはパンパンだろうから咳が出たりすると感染力は弱まっているとはいえ、やっぱり罪悪感みたいなものが出てしまいそう。だから、夜はライブ行かないことに午前中には決めていた。
来週は舞台も観に行く予定もあるし、それまでに体調が悪化したり、後遺症が出るような行動はしないに限る。今後のために今週は大人しくして我慢する。そう言い聞かせる。

リモートワークを開始。この仕事の形態になってから数年経つが、コロナや体調悪い時には本当に助かるし、他に人がいないから移してしまう危険もないし気兼ねなく作業も進められる。

昼休憩で外に出たのでタイトルと装丁デザインを講談社のサイトで見ていて気になった東辻賢治郎著『地図とその分身たち』を昼休憩の時に駅前のTSUTAYA書店で購入。東辻さんが訳されているレベッカ・ソルニット著『ウォークス』からの流れということもあるけれど。
この書籍もエッセイなのだけど、最近エッセイが以前よりも増えているような気がする。いいエッセイの書籍がたくさん出ているということなのだろうし、こういう大手の出版社ではなく個人出版の人たちが作っている書籍もエッセイが多いから、質も良くなり量も増えているのかもしれない。
いわゆる独立書店、セレクト系の書店では個人出版している人たちの書籍も取り扱っているし、その勢いが知り合いの人たちの文フリなどの参加を見ても感じるのだけど、小説を書く人はあまりいなくてやっぱりエッセイの方に比重が向けられていると感じる。
大きな物語がなくなって、誰かの物語ではなく「私」個人の物語にみんな興味が移っていき、そちらの方がリアリティが持てることと個人的な出来事や日常を描くエッセイと独立書店が増えていることはリンクしているんだろう。あと小説を書いたら、編集者のチェックと確認、さらに校閲者による校閲がないと商品のレベルにまで磨かれないということがあるのだろう。自分で小説を書いてチェックして校閲ができる人はいないだろうし、誰かに頼むにしてもそれはやはり素人がどうこうできるものではないから、自費出版でもどうしてもハードルが上がってしまう。そのことは関係しているように思える。

先週の木曜日(7月18日)に20キロを歩き通せる肉体に戻し、今週の水曜日(7月24日)には最高気温が36度ほどに達するなかでもノンストップで10キロ歩けるように仕上がっていることを確かめた。最近の急冷グッズの進化は凄い。もちろんそうしたグッズに私は助けられるのだけれども、恐いのはゲリラ豪雨だ。私は、あと少しで、計画しつづけた行動に入る予定で、しかし体力だけではクリアできない。雷雨が訪れたら逃げ場のない場所を、私は歩きつづけるだろう。やや恐い。だけれども〈死〉に近い領域に臨む必要があるから、私はそれをやるだろう。

古川日出男の現在地』歩いている、見ている、感じている 2024.07.13 – 2024.07.26 東京・埼玉

仕事が終わってから古川さんのブログがアップされていたので読む。長距離を歩ける体づくりをされているということは、『ゼロエフ』のようにまた長い距離を歩いて取材をされるのだろう。
「あと少しで」とあるが、この酷暑に歩き続けるのは危険だから、9月とかもう少し先だといいんだけどなあと思ったりはするけど、古川さんは決めているスケジュールのために行動をしているので、実際に歩くことが始まる時には少しでも暑さが和らぐ時が続いてほしいなと思う。

毎週金曜日夜のルーティン的になってきたSpotifyポッドキャスト『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』最新回を聴く。
下ネタとか多い番組だが、前にも出てきた女性用セルフプレジャーアイテムのirohaの話をしていた。リスナーの女性たちも持っていて使っているというメールを送ってきたりしていて、スポンサーとかについてくれたりする可能性もゼロじゃない気がする。二人のキャラクターとか人柄がわりとオープンだからこそ、そういうのが言いやすい雰囲気ということもあるんだろうな。

来年2月に東京ドームで開催されるCreepy Nutsのライブのチケットの先行申し込みをしていたものが、僕も一緒に行く予定の友達も取れていた。支払いはお願いして今度チケ代を払うことにしたが、行けるのは決まった。
僕にとって人生初めての東京ドームだ。たぶん、最初で最後になると思う。築地跡地に新しいドームを作るという話も出ているので、おそらくそちらに新しいドームができるだろうから今の東京ドームはこの先何十年もあるというわけではない。
でも、来年2月に予定があるからそれまでは生きれる、というか楽しみがあるからなんとかやっていけそうだなって思う。Creepy Nutsのライブに関しては『のびしろ』と菅田将暉と一緒にやった『サントラ』を聴きたい。

 

7月27日
寝る前にスマホを見ていたら、昨日発売の朝日新聞に古川さんの文芸時評が掲載されていたことを知った。朝日新聞デジタルに有料加入していたらいつでも読めるのだろうけど、入っていないし、毎月最終金曜日にこの時評目当てで買っていたけど忘れてしまっていた。
今までに一度だけ買い忘れて、第二回目か第三回目だけない。今回もそうなっちゃうかと思ったのだけど、朝日新聞を取り扱っている販売店に行けば前日のものなら残っていそうだなと思って家の近所の販売店だけを調べて眠った。
起きてから朝のルーティンをしてから9時前に家を出た。radikoで『三四郎オールナイトニッポン0』を聴きながら歩いていたが、放送していた深夜にはパリ五輪の開会式があったらしく、生放送でそれが見えない三四郎にラジオをリアタイしながら映像で開会式を見ているリスナーからのメールで近況が伝えられる形になっていた。
TVerでテレビは見れるが、こういう大きなスポーツイベントなどは配信していなかったりする。スポンサーだったり放送権の問題なのだろう、東京五輪は反対だったし見るつもりなかったから開会式も閉会式もどの競技に関しても見ていない。ニュースで時折流れてくるものを見たぐらいだが、なんの感慨も感想もない。今回のパリ五輪も興味はなかったし、見る環境もないので普通に寝ていた。
三四郎の二人は映画『TAXI』や『レオン』などのネタを話しながら開会式でありそうなことを話していたりして、毎回思うのだけど二人はそれなりの十代二十代ぐらいに観た作品を観ているし、いい意味でミーハーというか話題作も観ているからこそ、こういう時にネタにしても多くの人が知っていたりなんとかわかるワードを出せるというのは大きいなって思う。


20分もしないぐらいで販売所に着いたが、最初誰もいなくてどうしたものかなと思って待っていたら配達から帰ってきたスタッフの人が現れたので、前日の朝日新聞をくださいと言って一部売ってもらった。次回以降ももし買い忘れても翌日にここにくればなんとかゲットできることはわかった。
家に帰るとかなりTシャツが汗ばんでいた。往復で40分も歩いていないしまだ午前中だというのにここまで汗だくになるとお昼以降にどこかに出かけたいという気持ちにはならない。


昨日の文芸時評を読んでみた。最後に取り上げられたのが古川さんも選考委員である「群像新人文学賞」を受賞した豊永浩平著『月ぬ走いや、馬ぬ走い』だった。発売した時期に買っていたがまだ読んでいなかった小説だったが、このタイミングで読めという事だろうなと思って、夕方までに読むことにした。
十四章ある構成だが、それぞれの語り部は年齢も性別も時代も違う、だがそれらが重なり合って地層のように沖縄の歴史が膨らみ始めていく。いわゆる多数の語り部による、多数のヴォイスの物語であり、古川さんが現代語訳した『平家物語』にも近しいものを感じた。
平家物語』は琵琶法師たちが弾き語って、語り継いでいったものだが、それぞれの琵琶法師たちは自分なりの源平合戦での逸話や挿話を組み込んでいった。琵琶法師たちは聞き手たち、オーディエンスが求めるものや彼らを惹きつけるようにベーシックなものにそれぞれの味を足していき、語り継いだものたちもさらにそれに自分のヴォイスを重ねていった。最終的にそれが定本として一冊に綴じられることになるが、その時点で複数のヴォイスが入り込んでいた。古川さんは現代語する際にそのことを強く感じたと言われていたし、実際に読んでみるとこの物語には単一ではない、複数の何十、何百人という声があることがわかる。
『月ぬ走いや、馬ぬ走い』にはそういうものと近い複数の声から沖縄を描いている小説であり、著者の声ではなく彼らにある種憑依されるように書かれたようにも感じられる質の小説だと感じられる。
文學界』『新潮』『すばる』『文藝』とほかの文芸誌の新人賞受賞作に近いものがないわけではないけど、読んでいくとすごく『群像』ぽさが漂っていた。なんなんだろうな、この感覚。村上龍に通じるものがある(戦争を描いていること、生と死、そこには理不尽な暴力があり、性的な欲求が朽ちていく肉体の近くに充満している。そういう部分が村上龍の初期の作品に近いと思う部分ではある)が、『群像』から世に出た作家たちの物語にこの作家には呼応するものがあるということなのかもしれないし、時代ごとの編集長でカラーは変わるけれど、何十年と続く媒体に宿るものがその感覚を呼び起こしている気もする。
老舗の店がずっと継ぎ足して使い続けている秘伝のタレみたいに、元々は同じような作り方だったものが、時代を越えて異なる環境の中で他とは違う味わいになる。継ぎ足すことをやめた瞬間それは終わる。文芸誌も休刊や廃刊したらそうなる。出版社の始まりにその文芸誌があるなら、意地でも止められない、やめた瞬間に会社のアイデンティティと歴史がなくなる。

隅田川花火大会2024】伊集院光&佐久間宣行「勝手にテレ東批評」裏生配信! 


今年も隅田川花火大会をテレビではテレ東で放送しているが、去年に引き続き僕はYouTubeでの裏配信をリアルタイムで見ていた。
去年は佐久間さんとアルコ&ピースの酒井さんだったが、酒井さんは事務所の先輩の有吉さんとお酒の CMに出ていることもあり、テレ東の隅田川花火大会はアサヒビールがスポンサーなのでその関係で出れないと佐久間さんがラジオで話をしていた。で、今年は『勝手にテレ東批評』に出ている伊集院さんと佐久間さんとテレ東のアナウンサーの池谷さんという組み合わせ。テレ東の本番の方に出ているオードリーの春日さんも途中でゲスト的に出演したり、アットホームな番組で見ていて楽しかった。
僕自身は花火大会というものにほとんど行ったことがなくて、08年か09年ぐらいに『文化系トークラジオLife』関連で隅田川だと思うけど花火大会に行ったような記憶がなんとなくある。たぶん、行ったはず。
それ以外だと2019年の豊洲で開催された「STAR ISLAND」ぐらいだった。誘ってくれたのは亡くなった友達だったけど、なんで行くことになったのか覚えていない。多分、僕がこういう場所には自分からは行かないので、お誘いしてくれたのなら行こうと思ったんだと思うけど、ちょっとバブリーな雰囲気で新鮮だったのを覚えてる。彼女とは豊洲のチームラボプラネットTOKYOにも行ったりと、なんか豊洲隅田川方面という東京湾に近いところでの思い出がある。

【MV】Creepy Nuts - のびしろ(NOBISHIRO) 

 

7月28日
寝る前まで見ていたNetflixドラマ『地面師たち』は最終話の七話に入ったところで停止していたので、起きてから続きを。原作小説を読んでいたし、実際に起きた事件を元に作られているので最後にどうなるかというのはある程度わかっているわけだが、それでもスリリングな場面は見入ってしまう緊張感があった。
映像化して一番違うのはやはり定年間近の刑事である辰の役割だろう。小説ではかつて逮捕はしたものの、証拠不十分で釈放することになった地面師のリーダーであるハリソン山中が事件に関わっていると刑事の勘から独自に動き出していき、拓海の家族の事件なども調べていくことで事件を解明していく手がかりを得ていった。
ドラマ版では辰の部下というか二課に新しく配属されて彼のもとで仕事を覚えていく倉持の役割が大きなものになっていた。辰は作中でハリソンが語る『ダイハード』の逸話になぞられるような展開が起きてしまい、倉持がその意志を引き継ぐ形になっていく。ドラマを見ながら思ったのは大根監督が映像化する際に浮かんだキャスティング、そしてドラマとしての全体像的にこの作品にはほぼほぼ女性がメインどころにいないことを補完する意味でも倉持というキャラクターを作ったんじゃないかなということ。
小説の辰の役割をドラマでは辰と倉持に分けている、性別も違うし年齢も離れている。リリーさんはもちろん役者としても絵になっていたが、池田エライザが倉持という役割をすることで、拓海やハリソンと対峙する時にはより映像的にばえていい画面になっていた。そういうことまで自分で映像化する時には考えられていたんじゃないかな。
小説は続編が新刊コーナーに並べられていたし、正直続編が作れる終わり方をしているので、日本だけでなく世界的に視聴数が増えてヒットすれば続編もまた作られる可能性がある。芸人のアントニーが思いのほかいい役所でちょい役ではなく、最後の方までしっかり出ていていい味を出していた。

ドラマを最後まで見終わってから、読み終わった本を近くのBOOKOFFに持って行って売ってから、昼ごはんを買って洗濯など家事を済ます。先週末に熱が出て火曜日にコロナ陽性判定が出たが、人にうつす可能性もほとんどなくなっているが、今日までは予定を入れずに人に会う約束もキャンセルしていた。時折咳が出ることがあるが、それ以外は健康そのもののと言える状態にまで戻ってきた。
家でradikoのタイムフリーで『オードリーのオールナイトニッポン』『ヤーレンズオールナイトニッポン0』を流しながら、『百年の孤独』の続きを夕方まで読んだ。

セブンイレブンにアイスコーヒーを買いに行って戻ってから、また『百年の孤独』に戻ろうと思ったが、先日中上健次の『異族』も読み終わったし、買っているが読めていない他の作品もこの機会に読み始めようと思って、彼のwikiを見ながら発表順にするか、「路地」シリーズに関係あるものがいいか考えていた。
『岬』『枯木灘』に続く三部作の最後になる『地の果て 至上の時』をこの夏で読むことにした。買ったままでずっと読めていなかったから、このタイミングなら読めると思った。

夜は自分のライティング作業を一週間ぶりに再開。章の構成を変えて、それぞれの章ごとに登場するキャラクターの配置なども整理した。前よりも全体像がわかりやすくなった気がする。

Zazen Boys - チャイコフスキーでよろしく Live at 日比谷野音 5.26 2024 


ZAZEN BOYSの武道館ライブまで三ヶ月を切った。無事に開催されること、それをちゃんとこの目で見て、耳で聴いて、全身で揺れたらいい。

 

7月29日
有給を使っていたのでお休み。6時台に一度起きて可燃ごみを出してから8時過ぎまでもう少し寝る。起きてからちょっとして近所の整骨院に行って体をほぐしてもらう。
先々週の金曜日以降にコロナ陽性になってしまったこともあり、あまり外に出ないで家にいる時間が多くて、散歩に行ったりと体を動かす時間が少なかったので硬い体がいつも以上に硬くなっていた。先生にほぐしてもらいながら、暑いけど体を動かさないといけないなあと思うものの、この暑さはやっぱり外に出るのは危険すぎるのでジレンマ。

昼過ぎまでライティング作業をしてから渋谷へ。暑いけど多少風が吹いていたので助かった。絶対に歩けないというほどではないが、タオルも持参して汗をかいたらできるだけ早く拭いて、Tシャツがびしょびしょにならないようには気をつけた。
半蔵門線永田町駅有楽町線に乗り換えて有楽町駅で降りて、駅前のビッグカメラへ。七階にある読売ホールへ。今年一発目のライブはここでの向井秀徳アコースティック&エレクトリックを観ていた。


「夏の文学教室」に古川日出男さんが講義で出演するというのでこの初日だけ、チケットを取っていた。前にもこの文学教室には来た記憶があったが、開始前にスタッフの人も言っていたがコロナパンデミック期間中は開催されていなくて、2019年から5年ぶりの開催ということらしかった。
お客さんは基本的には初期高齢者ぐらいに見える世代の人が多かった。高校生や大学生ぐらいの若い人たちも来てはいたけど、老人が多いというのは見渡す限りの印象ではそうだった。おそらく僕ぐらいの四十代や三十代の平日のこの時間には働いている人たちがどうしても少ないのは仕方ないというか、当然だろう。

第59回 夏の文学教室〈異文化を問いなおす-、ことばの冒険、ちがいの発見〉

一時間目は『A・ウェイリー源氏物語』を現代語訳している森山恵さんの講義「英語訳『源氏物語』を翻訳して」から。この現代語版訳を読んでいないけど、グスタフ・クリムトの絵を使っている装丁は豪華絢爛な感じで印象的だなと思っていた。森山さんがA・ウェイリーがどういう人なのかを丁寧に話されていたので、僕のようにまったく知らなかった人もなぜ彼が日本の『源氏物語』を英訳することになったのかもわかる話だった。森山さんは話し方はゆっくりで余裕があって、落ち着いている雰囲気でどこか華やかな感じのする人だった。
二時間目は島田雅彦さんによる「転生を促す装置としての小説 安部公房生誕100年に寄せ」の講義。なんというか島田さんが話しているのを直で見たのは初めてだったけど、非常にフラットというか人の関心を集めるのがうまい話し方だし、若い頃にデビューして文壇にいた貴公子らしさ、色気のある人の振る舞いなんだろうなって感じるものがあった。安部公房とも対談して、その後に一緒にお寿司を食べに行ったというエピソードから入ったがまずそれが強すぎる。で、この人は中上健次とかと文壇バーで飲んでケンカとかしているようなかつての若者なので、その手のエピソードの強度が高いし、こういうところに来るような文学好きな初期高齢者的な人たちからすれば羨望の的なのだろう。
安部公房の話やエピソードはおもしろかったけど、(異世界)転生の話が終盤になってしまったのでそこの話をもう少し聞きたかったかな。


三時間目は古川日出男さんによる講義「劇的なるものと三島由紀夫」だった。三島由紀夫が最初に手にした文芸作品はオスカー・ワイルドによる戯曲『サロメ』であり、三島自身が最後に市谷の自衛隊駐屯地で割腹自殺して最後に介錯されたということから、三島由紀夫という作家の最後と最初にあった「生首」の話と「劇的」なものについて古川さんらしいアプローチだった。
戯曲『サロメ』終盤の古川さんによるセリフ読みも圧巻だった。古川さんの朗読を聴いたり、見たことがない人たちが多いと思うけど、あのパフォーマンス見ちゃうとビビったろうな、やっぱり役者が違いすぎる。なぜ三島由紀夫が『サロメ』に影響を受けたのか、自身の手でその舞台を演出したのかという講義での話に圧倒的な説得力をもたらしていた。
『新潮』2018年10月号に掲載された古川日出男戯曲『ローマ帝国三島由紀夫』は発表時に読んでいたし、岸田國士戯曲賞最終候補にもなった作品だったが、単行本化はされておらず、おそらく受賞していれば新潮社から刊行されたのではないかと思うのだけど、『LOVE』で三島由紀夫賞を受賞している古川さんはこの戯曲だけでなく、『金閣』というトリュビュート作品も書いているし、三島由紀夫に関する作品も多い。
今回の講義で僕自身は作品で触れていたものが、もう少し立体的に見えてきたし、三島の介錯された後の「生首」と『サロメ』における最後のシーンでの預言者ヨナカーンの「生首」が重なることで、劇作家としての三島由紀夫像が輪郭を僕の中にも強く結ばれた。


三時間目が終わって千枝さんと話をしていたら、『おおきな森』刊行後に古川さんにお話を聞かれていた法政大学の波戸岡景太教授と息子さんがいらして、四人でもろもろ終わった古川さんに挨拶をしにいってちょっと立ち話を。
今日は三島由紀夫についての講義だったこともあり、ちょっと前に刊行された『京都という劇場で、パンデミックというオペラを観る』に「二島由紀夫」というキャラクターが出てくるので書籍を持ってきてサインをしてもらおうと思っていた。「nishima」と入れてくれているのも古川さんのにくいサービス精神でありがたい。
そういえば、三島由紀夫のことについて、大江健三郎著『新しい人よ眼ざめよ』に三島の生首についての話があると講義で言われている時に、三島由紀夫大江健三郎も五文字で、古川日出男も五文字という共通点があって、三島と健三郎に「三」が共通しているが、古川日出男という文字を縦ではなく横にして見たら「川」が「三」になるから、自分の名前にも二人同様に「三」という文字が入っているという話もされていた。そういう言葉遊びみたいなものって、けっこう他人から見たらどうでもいいように思えることでも、本人にはかなり大事なことだったり、いい意識というか繋がりを感じるものなんだと思う。そういう話も聞けてよかった。


1日(木曜日)にTOHOシネマズ日比谷で観に行こうと話していた友人が仕事が忙しくてスケジュール的に難しくなってしまったので、帰りにTOHOシネマズ渋谷にてショーン・レヴィ監督『デッドプールウルヴァリン』を鑑賞。
「さよなら20世紀フォックス」みたいな話になっていた。第四の壁を越えてくる存在であるデッドプールが「マルチバースなんか失敗だった!」と露悪的に言うシーンとかは正直笑ってしまった。それでも、デッドプールにとってたった九人の友達を救いたい、それだけが俺の世界なんだ。だから、ウルヴァリンに救い方を教えてくれというところは非常に熱かったし素晴らしい場面だった。
コロナパンデミックやハリウッドのストライキがあり、さらにフェーズ5のヴィラン役の逮捕や降板があったり、スーパーヒーローものの乱立と映画だけではなくドラマシリーズなど多作してしまったことによって飽きられてきたり、などなどMCUは栄光の時代が終わり、少しずつ斜陽に向かっている感じがあった。
今回のデッドプールMCUの参加、かつて20世紀フォックスで作られていた『X-MEN』シリーズの人気ヒーローだったウルヴァリンが彼とバディを組むというサプライズ、この新基軸はMCUシリーズが置かれている状況を打破する一作のように思えるのだが、実際のところこの作品はフェーズのどこかに属しているわけでもなく、来年二月に公開する『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』に繋がっているわけでもない。今年はMCU関連の劇場公開作はこの一作なので中継ぎのようだが、中継ぎ的な物語にはなっていない。
デッドプールが「マルチバースは失敗だった!」というように、多くの人が離れるきっかけにもなってしまっているマルチバースという概念、そこに文句を言えてしまう存在。ある意味でガス抜き的な効果はあると思う。物語としてはマルチバースをうまく使うことで展開している話なので、所々それって辻褄合ってるんだっけ?と思うところもある。
実際にマルチバースをやってしまうと、あらゆる可能性における自分(デッドプール)が登場するのは予想されることであり、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』で観たようなシーンも出てくることになる。また、「20世紀フォックス」時代の『X-MEN』に関係するヒーローたち(出演者たち)も登場するので、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』的なサプライズもある。過去作を観てきた人には充分楽しめる一作だろうし、僕はその辺の作品をまったく観ていないので、知ってる人はニコニコしてるんだろうなってぐらいの気持ちで観ていた。
不死身なデッドプールウルヴァリンのアクションは最初は見どころがあったが、慣れちゃうと「どうせ死なないしなあ」という気持ちがアクションシーンへの関心を薄れさせてしまう。その辺がもったいなかったと思った。でも、マルチバースへの言及も含めて、MCUを延命させたわけではないけど、マーベルへの興味を観客に持続させることはできた作品になったと思う。


家に帰ってきたら『三四郎オールナイトニッポン』公式ファンクラブ「バチボコプレミアムリスナー」オリジナル会員証カードが届いていた。「バチボコプレミアムライブ in 日本武道館」が今年下半期一番のお楽しみ。

この日記を書きながら、Spotifyポッドキャスト『83 Lightning Catapult』最新回を聴いた。リスナーからのメールが「夫の拍手がデカすぎる」という悩みだったのだけど、確かに舞台とか観に行った時に異様にデカい音で拍手してる人いる! 
リスナーの旦那さんはそこで一番デカい音を出したいという自己顕示欲がある人だったが、そういう場所で無意識でバカデカい音だったら気づくはずだろうから、基本的には拍手がデカい奴は自己顕示欲強めのやつってことでいい気がする。
いい音は出したいけど、デカい音出したいとは思わないから、そういう人って傍目から見たら普通なんだけど、どっかズレているというかこだわりが変な方向に向かってるんだろうな。

 

7月30日
普段はリモートワークしていない火曜日だけど、昨日お休みにしてもらったので今日は出勤というか朝からリモートワークを開始。
昨日、川島さんと有吉さんのラジオも聴いちゃっていたので、作業用に流すもので聴くものがない。Spotifyで音源を流していたりしていたが、途中でYouTubeフジロック24に出演していたSyrup16gの動画があったのでそれを大きめの音にして聴いた。
五十嵐さんちょっとふっくらした感じ、ベースのキタダマキさんがいぶし銀みたいな渋さが増していた。ドラムの中畑さんは若く感じるけど、メンバー全員50歳越えてると思うとなんだか不思議な気持ちになる。
ロックを続けていくこと、聴き続けること、僕が20代から聴いているわけで、三人が50代に入っているのも当然なんだけど、精神と肉体の乖離は30代後半ぐらいから始まった気がする。どこかで若いと思っているけど、もう中年だしおっさんでしかない、そのギャップや「35歳問題」のように未来がどんどんなくなっていき、ありえたかもしれない可能性について考えてしまう。だからこそ、マルチバースは人ごとではないということもある。

作業自体多くないので、いつ通りに作業をして仕事を終えてから、Spotifyで火曜日配信の『アルコ&ピースのしくじり学園放送室P』(ゲスト:戸田真琴)、『ランジャタイの伝説のひとりぼっち集団』、『あのと粗品の電電電話』を聴く。
戸田さんゲスト回は後編で、前回の続きだった。彼女が書いた文章は読んだことがあるので、映画とかどんな映像を撮っているのか気になる内容だった。でも、声の質なのか笑い方なのか、エロい話をしていてもそこまでエロさが際立たない、なんか丸みを帯びているように感じられた。それがいいのか悪いのかはわからないけど。
「ランジャタイ」はいつも通りで集中していないとなんの話をしているかわからない、でもラジオぽさはあるし、もう一回聞き返したくなるタイプのトーク
「あの粗品」は対バンした後の話の続きでもあるが、ネットニュースに対して言っていないことを書かれたりすること、ヤフコメを持ってきてニュースソースに使っていることなんかに対して怒っていた。確かにネット記事は新TwitterことXとかSNSYouTubeなどの発言を持ってきて作っているものが多いし、クリックさせるために内容とは真逆だったり、本人が言っていないことをタイトルに持ってきていたりする。それも炎上しそうな方がクリック数が増えるから、余計に事実ではないことを大きな文字にする。クリックしない人や実際の元になったSNSやラジオでもYouTubeでもいいけど、読んだり見たりしないから嘘の見出しが事実のように受け取ってかくにんしない人も多い。そのためデマだけが広がっていく、そのなんの苦労もなく嘘をついているだけになっているネット記事が儲けるという最悪なことが起きているのも事実。
当事者であるあのちゃんや粗品が文句を言うのは当然だろう。そんなものを信じてる奴はロクでもないし、簡単に嘘に騙されてしまう自分ということを意識した方がいいし、知り合いなら指摘してあげるしかない、それで聞かなかったら縁を切るしかない。そんなものを信じる人と関わってもロクなことにはならないから。

 

7月31日
今日も有給を使っていたのでのんびり7時過ぎに起きた。朝のルーティンしながらradikoで『アルコ&ピースD.C.GAGE』『JUNK 爆笑問題カーボーイ』を聴いた後に、燃え殻さんの『BEFORE DAWN』(ゲスト:「けもの」の青羊)を。来月、燃え殻さんの『それはただの夏』が文庫版になるのだが、その小説のインスパイア元が青羊さんの『ただの夏』だったこともあって、ゲストという流れだった。

BEFORE DAWN | J-WAVE | 2024/07/30/火 26:00-27:00 

燃え殻さんにインタビューしたのが2020年で、その頃はまだ『それはただの夏』は『yomyom』で連載中だった。インタビューには掲載していないが、この小説についても聞かせてもらった。その後、単行本が2021年に出た際には献本してもらったりしていた。その小説がもう文庫になるというと月日経つの「はやっ」と思うし、ニコラで開催した燃え殻さんと青羊さんも一緒に出たイベント以来ということだったので、コロナパンデミックになってから会っていなかったみたい。『それはただの夏』にインスパイアされた青羊さんの新曲も初オンエアされていたし、二人だからこその会話の流れだしテンポで耳に優しい放送だった。

昼前に家を出て『あののオールナイトニッポン0』を聴きながら、渋谷へ。副都心線池袋駅で降りてそのまま地下通路で東京芸術劇場の地下一階に。置いてあるイスがほぼ埋まっていた。おそらく今日の当日券を求めてやってきた人たちなのだろう、平日の14時からの舞台なので当然ながら年齢層が高くなるのは仕方ないが、毎年観ている者としては明らかに客層の雰囲気が違った。
僕も以前の公演の時に当日券を取ろうとして五時間ほど並んだことがあったが、今回は先着順ではなく、抽選券を渡されて当たった人のみが当日券を変えるというシステムになっていた。そのため、当日券を取ろうとする人の人数が増えているという面もあったのかもしれない。

NODA・MAP 第27回公演『正三角関係』を東京芸術劇場プレイハウスにて鑑賞。 
2007年の妻夫木聡広末涼子主演だった第13回公演『キル』をNODA・MAP (野田地図)では初めて鑑賞して、間が空いて2015年の第19回公演『エッグ』、2016年の第20回公演『逆鱗』、2017年の第21回公演『足跡姫~時代錯誤冬幽霊~』、2019年の第23回公演『『Q』:A Night At The Kabuki』、2021年の番外公演『THE BEE』、2023年の第26回公演『兎、波を走る』と今回で八回目となる舞台。

今回の舞台の発表とともに主演が嵐の松本潤だとわかった瞬間に「これは終わった」と思った。嵐ファンが死に物狂いになるのは目に見えているのでチケット争奪戦になるだろうと。野田地図はメール登録で無料会員になれて、毎回の舞台開始前に会員先行があり大抵それで取れる。というか今までチケットが外れたことがなかった。『フェイクスピア』は取れたけど、チケットの支払いを忘れてミスって観れなかった。
何年も前に上演された蜷川幸雄演出&古川日出男戯曲『冬眠する熊に添い寝してごらん』の主演がKAT-TUN上田竜也だった際にも、なんとか一枚取れたけど、旧ジャニー関係が出演するとチケットが恐ろしく取れにくくなることは身に染みて分かっていた。
しかも嵐の松本潤となれば、倍率どうなっちゃうのよと思ったけど、いつも通り普通に会員先行で友達の分も合わせて取れたのでホッとしていた。

以下はネタバレを含むので、これから鑑賞予定のある人は見ない方がいいかも。来月発売の『新潮』に戯曲『正三角関係』掲載されるので(これもいつもの野田地図舞台公演する時のパターンだが)、読めばネタバレも何もないのだけど。


今作のメインは松本潤長澤まさみ永山瑛太であり、長澤まさみは番外編『THE BEE』で、永山瑛太は『逆鱗』で観ており、二人は野田地図の舞台は今回で二回目だった。
エンターテイナーである松本潤が主演ということなら、Queenの楽曲をモチーフにした『Q』のような路線かと思ったが、実際に観てみたら『エッグ』『逆鱗』『兎、波を渡る』の系統だった。
『エッグ』は架空の「エッグ」というスポーツを描きながらも、実はそれは戦時下の満州における人体実験だったことがわかる内容だった。
『逆鱗』は人魚がいる水族館の話として展開していくが、その人魚とは実は人間魚雷であり、水族館のスタッフ=兵士たちは行きだけの燃料しかない人魚に乗ってアメリカへ向かっていく、しかし、その時戦争が終わったことがわかるがもう引き返せないということが最後に明かされる内容だった。
『兎、波を渡る』はある脱兎とアリスという娘が行方不明になってしまったことで彼女を探す母親がメインであり、母親が娘を探しにやってきた遊園地で物語は展開されていく。脱兎は38度線を越えてきた特殊工作員であり、本当の名前を「安明進」と名乗る。アリスとは北朝鮮に拉致された日本の少女であり、母親は拉致された娘を探し続けていたことが明かされるという内容だった。
これらは一見すればエンタメに見るが、そこには戦争(戦時下、戦後)と日本で起きた事件や事柄がその裏側にあり、物語としても二層になっている。俳優たちはその二つの物語を行き来しながら、やがて物語はそれらが混ざり合った世界で観客にある種の現実の光景を見せつけてくる。ほら、あなたたちが目を逸らしてきたことだよ、と言わんばかりに。

今作はドストエフスキーの小説『カラマーゾフの兄弟』に物語がなぞられており、花火師の家系である唐松三兄弟が物語の軸になっている。それぞれ母親が違う三兄弟、長男の唐松富太郎(松本潤)は花火師、次男の唐松威蕃(いわん:永山瑛太)は物理学者、三男の唐松在良(ありよし:長澤まさみ)は教会の料理番(キリスト教徒であり聖職者に近い立場)という風に職業も違うが仲は良い。長澤まさみは唐松在良だけでなく、唐松富太郎と父の唐松兵頭(竹中直人)が奪い合う「グルーシェニカ」という花街の遊女の二役を演じていた。彼女が(聖≒性)職に関する役割を担っているのもこの作品の大きなポイントになっていた。
花火師は自分の作った花火玉にその時自分が一番好きな女の名前をつけるという話が出てくる。物語では空襲サイレンが時折鳴り、みんなが避難するシーンが何度かあり戦時下だということがわかる。それもあって花火師にとって大事な火薬は軍に取り上げられている。そのため花火を作ることができない状態である。そんな中、父の兵頭が隠し持っている火薬の名前が「グルーシェニカ」であり、息子の富太郎が求めている火薬でもあった。
冒頭近くの裁判シーンでは、火薬に女の名前をつけているのはある種の比喩的なニュアンスだとされていたが、実際に「グルーシェニカ」という女性は存在していた。
父と息子が奪い合うのは花火=「グルーシェニカ」という女性である。ここがかなり観ていてややこしい、最初は比喩かなと思っていたら、実際にその女性がいる。さらにずっと地味な宗教的な雰囲気を感じさせる服装をしていた在良である長澤まさみが一瞬で服装を変えて艶やかな遊女となる、そう「グルーシェニカ」が現出する。
また、物理学者の次男である威蕃はソ連のある組織と一緒に新型爆弾を作っていた。戦争を終わらすために、それをニューヨークのマンハッタンに落とす計画があった。だが、作中で8月6日に広島に新型爆弾が落とされたことが伝えられるが、それは自分たちが作っているものとは違う爆弾という嘘がつかれる。威蕃が作っていた新型爆弾の着火装置を花火師である兄の富太郎に作らそうとしていた。そのためには父殺しの罪に問われている兄を無罪にしなければならない状態に置かれており、裁判官たちもお国の命令であり無罪にしようと動き出すものたちもいたのだが…。そして8月9日を物語は迎える。

火薬を用いる花火師、火薬は花火であれば夜空を彩るものになるが、使い方によって武器になって多くの人々の命を奪う。物語が進んでいくうちに舞台は長崎であるということ、唐松在良が働いている教会は浦上天主堂だということがわかってくる。その瞬間に鳥肌が立つ。確実にこの物語のクライマックスで長崎に原爆が落とされることになるのがわかってしまう。
唐松富太郎が父・唐松兵頭を殺したかどうかという裁判をメインにしながらも、神を信じるもの信じないもの、宗教と科学などのモチーフが絡み合いながら、野田秀樹特有の言葉遊び、ダジャレがやがて大きな意味と展開を連れてくる。
空を見上げると満開に咲き誇る花火を作ってきた男、あの日長崎の空を見上げていたものたちが見た景色、野田秀樹らしいといえば野田秀樹らしい、野田地図がずっとやってきたことでもある。
二層にも見える物語を役者たちがどんどん移動しながら、やがて大きな結末を迎える。あまりにも舞台だとしかいえない演出も見所であり、ラストの全てが黒になってしまう世界へ変わる場面なども舞台的な装置と観客の想像力でそう見えるようにしている。
また、二役を演じる長澤まさみの早着替えとも言える聖者であり性者が一瞬で入れ替わる衣装チェンジも素晴らしい。『THE BEE』でも観たが、長澤まさみは異常なまでに舞台映えする俳優だった。背もありスタイルもいい、手足が長いので遊女の華やかな姿も見入ってしまう。圧倒的なものを持っている。
そして、驚くほど安定感のある永山瑛太は三人の中ではどこか地味な役割であるが、物理学者としての彼の計算式などが舞台上に出てくる辺り、そこからファットマンが出てくる流れになくてはならない存在となっていた。
第一線でずっとアイドルをやってきた人間にしかないというか、トップアイドルの持つ華やかさと色気というものを改めて感じさせる松本潤の佇まい。役所としてはワイルドさが際立つのだが、純粋さがないと難しそうだった。そういう絶妙なバランスがある人なんだなって観ながら感じた。目が離せないというか、どうしても目で追ってしまう存在感というのは天性のものなんだろうし、中村勘三郎さんとの繋がりもあってずっと野田秀樹舞台に出たかったことが叶ったからこその責任感も座長としてあったんだろう。
松本潤が唐松富太郎という花火師を演じるということ、花火は夜空に咲く。しかし、普段そこに浮かんで光り輝いているのは星々である。つまりスター、松本潤はスターだろう、これは間違いない。しかし、その彼が夜空に打ち上げる花火を作る花火師をやるということ、彼が求める「グルーシェニカ」とは火薬であり愛しい女性である。今作では唐松富太郎の作った花火は打ち上がらない、しかし、岡山行きの列車に乗ったはずの彼が戻ってきた浦上天主堂で黒焦げになってしまった弟のロザリオを見つける。神に祈っても祈りは届かない、しかし、弟の祈りは確かに存在したことを知る。

脇役で言うと池谷のぶえさんがめちゃくちゃおいしい役所だったし、野田秀樹さんと竹中直人さん村岡希美さん小松和重さんとベテラン勢もそれぞれ見所があった。
そして、アンサンブルとして出演している多くの若手俳優たち、昔のパンフでアンサンブルに参加している人を見ると今や映画やドラマで主役級になっている俳優さんもいたりする(例えば石橋静河)。今回もそういう人が出てくるかもしれないと思わせるものがあった。


NODA・MAPのパンフは毎回同じ判型なので鑑賞のたびに集めたくなるし、内容もビジュアルも素晴らしい。最後のページには実は次回公演の情報が毎回掲載されていて、“2025年夏「」”、“NODA・MAP次回公演2026年 春 新作”とあった。
来年の舞台は今までやったものの再演なのかもしれない。実際に『Q』は初演の3年後には再演している。なんだろうな、『フェイクスピア』あたりだと観れてないからうれしいのだけど。


帰りに一緒に鑑賞した友達とニコラへ。コロナ陽性になってしまって二週間ほどこれていなかったので久しぶりだった。
お子さんを迎えに行った友達が帰った後におかわりしてタバコを吸いながら一服していたら、雨が降り出した。

今回はこの曲でおわかれです。
曽我部恵一 & Junes K - Breath [Official Video]