Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『ひそひそ星』@東京フィルメックス

 東京フィルメックスオープニング作品として園子温監督の最新作であり25年ぶりとかの自主制作作品『ひそひそ星』が上映されることになり期待して観に行った。
 高円寺で行われていた個展『ひそひそ星』でも作品は上映されていたが大きなスクリーンで観たかった。フィルメックスでは園さんの映画でいうと『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』を最初に観た映画祭であり、どれも国内で最初の上映だったはずだ。





監督・脚本/園子温
出演・神楽坂恵遠藤賢司、池田優斗、森康子ほか


園子温監督が2014年に設立したシオンプロダクションの第1作として、自主制作で完成させたモノクロSFドラマ。園監督が1990年に執筆した脚本を、妻である女優・神楽坂恵を主演に迎えて映画化した。類は数度にわたる大災害と失敗を繰り返して衰退の一途にあった。現在、宇宙は機械によって支配され、人工知能を持つロボットが8割を占めるのに対し、人間は2割にまで減少している。アンドロイドの鈴木洋子は、相棒のコンピューターきかい6・7・マーMと共に宇宙船に乗り込み、星々を巡って人間の荷物を届ける宇宙宅配便の仕事をしていた。ある日、洋子は大きな音をたてると人間が死ぬ可能性のある「ひそひそ星」に住む女性に荷物を届けに行くが……。共演にミュージシャンの遠藤賢司、映画「at Home アットホーム」などに出演する子役・池田優斗。(映画.comより)



 上映後のQ&Aのときに来年五月シネマカリテで公開ということが発表された。最初に日劇の11階だっけなエレベーター着いた瞬間に園さんと『リアル鬼ごっこ』のプロデューサーの谷島さんたちがいらしてちょっと笑ってしまうというかタイミングよすぎて。挨拶だけしてあとは園さんのマネージャーであり懐刀の船木さんにご挨拶したらワタリウム美術館の和多利ご夫妻がいらしたのでご挨拶して、たぶん『ひそひそ星』が公開される頃にまた園さんの作品とか展示されるんではないだろうかと思う。
 メルマ旬報チームにもなったヌードモデルの兎丸愛美さんも友達と観に来てたり、『非道に生きる』編集の綾女さんやアンカーズチームなパン生地くんや映画監督の田中佑和さんもいたり、園さん関係や関連の方々もやはり『ひそひそ星』には注目してるんだなって思った。終わった後に栗原類斎藤工もいて園さんのことを彼らも好きなんだなって思ったのだった。


 個展で断片は観ていたといえ一作として観るのは初だった。かつての『部屋』『桂子ですけど』の時代に脚本は書かれて(最後は今回追加されたらしい)それらの作品と連なるものがあるものが福島での原発以後にそれらの地域も取り込まれて2015年にスクリーンで映し出されていた。
 2015年、園子温作品を『新宿スワン』『ラブ&ピース』『リアル鬼ごっこ』『劇場版みんな!エスパーだよ!』『ひそひそ星』と新作五本観たことになる。そんなことこれから先あるのだろうか。おそらくない、あるとすればそれは園さんしかいないだろう。かつて書いたシナリオが年月を経て蘇った作品もある。それは園さんが撮り続けていたからこそだ。質より量とはまさしくだと思わされる。作り続けなきゃいけないし立ち続けているからこそ前に進めるんだ。


 今はもう変わってしまった、日々変わっていく福島の15キロ圏内や立ち入りが厳しい場所での光景がフィルムに焼き付けられていた。それは記録として、他の惑星だという設定にも関わらず、現在と過去と未来が同居してしまっている。そしてスクリーンに映し出された光景はもうない、撮影時にも変わり続けていた福島の場所はもっと変化してしまっている。だからこそ園さんが撮り続けていることは映画という作品というのもあるがひとつの記録にもなっている。
 『ヒミズ』があり『希望の国』があり『ひそひそ星』がある。『新宿スワン』のようなガジェットの大きな商業映画も撮りつつ『ひそひそ星』があるということは改めてすごいことなんだ。映画の音がすごく意識的だなと思ったが監督はそこを意識されていた。映画館で観て欲しい。ずっとモノクロが一瞬カラーになるシーンの場所がかつてなんだったのかということは公開されてからまた語られるのだろうけど時は経つのだ。経ってしまうのだから。
 観終わって園さんと関わりのある三十代男三人でガード下で呑んだ。三十代を生き延びてやる。