Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『アメリカン・スナイパー』


監督/クリント・イーストウッド
出演/ブラッドリー・クーパー(クリス・カイル)、シエナ・ミラー(タヤ・カイル)、ルーク・グライムス(マーク・リー)、ジェイク・マクドーマン(ビグルス)、ケビン・ラーチ(ドーバー)ほか





ミリオンダラー・ベイビー」「許されざる者」の名匠クリント・イーストウッドが、米軍史上最強とうたわれた狙撃手クリス・カイルのベストセラー自伝を映画化。米海軍特殊部隊ネイビー・シールズの隊員クリス・カイルは、イラク戦争の際、その狙撃の腕前で多くの仲間を救い、「レジェンド」の異名をとる。しかし、同時にその存在は敵にも広く知られることとなり、クリスの首には懸賞金がかけられ、命を狙われる。数多くの敵兵の命を奪いながらも、遠く離れたアメリカにいる妻子に対して、良き夫であり良き父でありたいと願うクリスは、そのジレンマに苦しみながら、2003年から09年の間に4度にわたるイラク遠征を経験。過酷な戦場を生き延び妻子のもとへ帰還した後も、ぬぐえない心の傷に苦しむことになる。イーストウッド監督とは初タッグのブラッドリー・クーパーが、主演兼プロデューサーを務めた。(映画.comより)


 イーストウッド作品を映画館で観るのは『グラン・トリノ』以来だろうか。やはり素晴らしい。が、『グラン・トリノ』同様に僕の個人的なシンパシーはない。今年の上位にランクインされるだろう映画だと思うが僕のナンバーワンにはならないという意味では僕とイーストウッドとの相性の問題かもしれない。
 『アメリカン・スナイパー』は火曜日に野田地図『エッグ』鑑賞した最後に感じたものと同じような気持ちになった。イラク戦争生き残り除隊した兵士たちとそこに横たわった空気たち。フリート・フォクシーズが歌った同時多発テロイラク戦争最中に思春期を過ごしたティーンたちの景色なんかもそこにあっただろうと思った。最後にこの物語が実話をベースにしていること本当の映像が使われる事で現実を見せつけられる。その映像に至ることは最後に字幕で出てくる二行ほどのことで観客に伝えられる。その事が僕ら観客に訴えかけてくるものは『エッグ』のラストを観たあの感傷に近い。


 戦争とは人を殺すだけだ。殺して生き延びた者も心のどこかを破損したまま生きていくしかなくなる、そんなものに耐えきれるものなんてほぼいないのだ。あるいはなんとか克服しても耐えきれなくなった者の刃が向いてくる。