雨の中、さすがに歩いてABC本店に行きたくなかったので電車に乗って表参道で降りて歩いていった。阿部和重新刊「ピストルズ」が発売だったので。9日にあるイベントを申し込んだのでABC本店で本買っといた方がサインしてもらえるかなって思ったミーハー心で赴いた。
で、積まれていたのを手に取ったら分厚かった。「古川日出男ナイト」みたいに本買っても整理券なかった。イベントに持って行ったらしてくれるみたいだけど。ABC本店で買ってないの持ってこられてもわからなくなると思うんだけど。
古川日出男著「聖家族」みたいに、ピストルで撃たれても撃ち抜けないような気がする。「シンセミア」に比べればだいぶページ数は少ないがそれでも700枚より少ないぐらい。
「聖家族」にしろ「ピストルズ」にしろ辞書みたいな幅、存在感で読もうって、読むぞって思う。どちらも「聖書」みたいな気もするなあ、「ピストルズ」は今月末までは読むと自分の事ができなくなりそうなので四月になったら一気に読もうと思ってる。
そういえば二日ほど前に韓国映画「シークレット・サンシャイン」を観た。夫の故郷に住み始めた女とその息子、彼女に気があっておせっかいを焼く男。やがて息子が誘拐されて殺害され犯人が逮捕される。彼女は宗教に救いを求めていく、男も彼女に付き合うように入信する。彼女は犯人を許す事が大事だと面会しにいくが・・・。
明るい話ではない。「母なる証明」並に暗い、日常にある暗闇というか蠢いている不穏なものを描いている。しかし、許そうとした犯人も宗教によって「神に許されたのです」と告白されると彼女はもう勝手に許されていた犯人と自分の関係や神という存在、何を救うのか救われるのか、もう普通に考えたら彼女が崩壊するのは見ていたら痛い程に伝わる。
「救い」「許し」というものを真っ正面から描いている感じだ、しかし、どうしようもなく暗いし救いがないように見える。だが、こういうテーマにきちんと向かい合って描き出してしまえる力量は凄い。こういう不穏な空気を描き出していて、似ているのは青山真治監督の作品かなって思ったりした。
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