Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『病室の「シャボン玉ホリデー」』

 『病室の「シャボン玉ホリデー」』を読み終わった。師弟関係というものに一種の憧れを感じるのは世代も関係あるのかもしれない。
例えば思春期にもっとも影響を受けたのはダウンタウンだった。彼らは吉本のNSCの一期生であり師匠をもたない芸人の最初の世代であり、尚かつ時代を作ってしまった。故に芸人のみならずいろんな芸能だったり映画監督でもいいけど学校で学んで世に出て行くという流れがもはや当たり前になった時代に育った。そうやってなるのが当然の世代ではある。なんせダウンタウンのコンビ結成の年に僕ですら生まれている。
 とうぜん師弟関係があるところやそうやって師匠から伝達されて技術を磨いて師匠のところから出て一人前になる仕事も未だにある。
 師弟関係の時代から学校で教わるという時代がありこの先はどうなるのだろう。だからこそ師弟関係というものが羨ましく思える部分はあると思う。
 師弟とは魂の伝達関係であり愛憎を含んで人生における大きすぎる人間関係である。ここに書かれているのはなべおさみさんが師であるハナ肇さんを看取った最後の魂の会話の記録だった。


『水やりはいつも深夜だけど』の最初の短編『ちらめくポーチュラカ』を休憩中に読む。『晴天の迷いクジラ』同様に辛いときはそこから逃げろ、死ぬぐらいなら逃げて生きてと窪さんは書く。ただ、逃げた後にその問題と向き合う時がいつか来る。それを短編でしっかり書いていてスゴいなあと思う。