SALU「Goodtime」
先週の『タマフル』のラップ特集のPodcastを聴いてちょうどSALUのニューアルバムが出るみたいだったので買ってみた。前にレンタルして聴いた時にはハマってなかったけどジャケの感じもよかったし。声の感じとか好き嫌いはあるし、めっちゃ好きな感じではないけど何度か聴いてると噛めば噛む程というわけではないけど心地よさが出てくる。
目崎さんにオススメされていたなべおさみ著『やくざと芸能と』を買ってすぐに読んだらすぐに読み終わった。
本物、偽物、似非物。本物を知るためには本物に出会ったり見たり聞いたり体験せねばならない。
なべおさみさんが出会ってきた綺羅星ごとく本物たち、そこの舞台は芸能という場所で、そこと彼が憧れていたアウトローな世界であるやくざの話残したいと思って書かれたのがよく伝わる。
芸能とやくざの繋がりを、やくざという言葉が生まれた背景やユダヤの失われた十氏族などの言葉や能の始まり、芸能の始祖と身分的には低いものとされていた人々が紡いできたものとご自身の考えを勉強されたものを混ぜ合わせてなべ論として書かれている。
昭和史や昭和の芸能や格闘技に疎い僕だが春日太一著『天才勝新太郎』や山城新伍著『おこりんぼさびしんぼ』や『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』を読んでいたので楽しめた部分もあった。昭和史と芸能史と興行史、大事な事はその時代の黄金期と呼べるであろう時代の生き証人は当然のように高齢になっている。
生きた証として自分たちが生きた時代を残そうと、あるいは彼らよりも下の世代がその人たちの証言を残さねばならないという意志が、熱い想いが綴られている。そういう文脈の中でもこの一冊は様々なものを繋いでいく一冊だと思う。
僕は映画学校に一応言っていた人間だが、こういう芸能の歴史だとかは本当に知っておく方がいいと思う。先人たちの足跡を知り、変わらない人間の姿勢や業を考えることは大事なことだろう。そして今のテクノロジーの進化と共に変わる身体性の先に新し文化の萌芽があるはずだ、そして本物と偽物と似非物を見極めれたらいい。
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- 作者: なべおさみ
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