Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『選挙2』



監督・制作・撮影・編集/想田和弘


成り行きから自民党の公認候補として川崎市議選に立候補することになった切手コイン商・山内和彦さんの選挙活動を追って話題となった、想田和弘監督によるドキュメンタリー「選挙」(2006)のシリーズ第2弾。東日本大震災直後の11年4月1日に告示された川崎市議会選挙に、「山さん」こと山内和彦さんが「脱原発」をスローガンに再び立候補した。自粛ムードと原発安全神話の報道の中で、他の候補者たちが原発問題に消極的なことに憤りを感じた山さんは、完全無所属での出馬を決意。組織も資金も時間もない中、前回のドブ板選挙の反省から選挙カーや事務所を使わない選挙活動に挑む。「選挙」「精神」「演劇1」「演劇2」と一貫してナレーションやテロップ、BGMを使わない想田監督独特のスタイルで描く「観察映画」の第5弾にあたる。(映画.comより)


公式サイト
http://senkyo2.com/




公開されて観ようかなって思っていた所、TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』通称『タマフル』のサタデーナイトラボで想田監督をゲストに宇多丸さんとのトークを聴いてこれは観に行くしかないっしょ!と思って休日の今日に渋谷のイメージフォーラムに行く。
炎天下、渋谷、観察映画というドキュメンタリーで大きくはない映画館だが平日にけっこうお客さんがいた。注目度が高いということもあるのだろう、そして想田監督の観察映画も着実にお客さんが増えて支持されているということでもあるのだろう。年齢層はさすがに高かったけどね。


放送後記 第326回(2013年7月6日放送)
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2013/07/326201376.html


7/6 サタデーナイトラボ「映画『選挙2』観察ラジオfeat.想田監督」【前編】
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2013/07/76_feat.html
7/6 サタデーナイトラボ「映画『選挙2』観察ラジオfeat.想田監督」【後編】
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2013/07/76_feat_1.html
↑これ観る前に聴いてもいいし観た後にももう一度聴きたい話。


前作『選挙』を観ていたのもあるけど今作『選挙2』では想田監督が観察していた今までの作品とは少しだけ異なるイメージを観賞中に覚えた。
想田さんが他の候補者と話してたりとかけっこう今までの作品よりも前面に出てきていた。観察するということ、カメラに写される事でいつも通りの100%自然ということはもうありえない。しかも今作では監督が出てきていて写る側はさらに変化している。
前作では山内さんと同じ同僚だった自民党所属の人を監督が写していると不快感や怒りを露にして写すなと言ってくる。税金を使った公的な選挙でたすきをかけて選挙活動しているのに。


ポッドキャストを聴いていると自民党の神奈川支部の弁護士から通知書というものが送られてきていたらしい。映像は使うな、撮ったものは消去せよと、まったく法的に有効でない脅しをしてきたらしい。
この映画観ていると本当に奇妙なものだと思う、日本の選挙って。でも、難しい映画ではない。終始笑いが起きていた。それは観ている人にとっても奇妙なもの、不自然なものが写りこんでいる。


この選挙というシステムは誰のために何のために行なわれているんだろう?と。小さな川崎の選挙が震災後に自民党の圧勝など不気味な日本の空気や選挙を凝縮して写していたことに監督は撮影後しばらく経ってから気付いて背筋が凍ったという。


山内さんのお子さんがいるんだけどあの子が出てくる所でけっこう和む。日常が地続きになっていてよかったなあ。
想田監督に文句を言ってくる候補者は見所だし、自分の意見をちょっと言い訳がましいけどカメラに言ってくる候補者さんに一回言わせてもう一回言うんだけどカットしないで続けて流すとかもうこの想田さんはイジワルというか面白い部分は使っちゃう人なんだなって。


始まる前に『水道橋博士のメルマ旬報』連載陣であるNona Reeves西寺郷太さんが観に行くってツイートされてて僕もいたので観終わった後に挨拶をして渋谷駅まで話しながら歩いた。西寺さんも『タマフル』聴いて観てみようと思われてスケジュール空いてる今日のお昼の回にたまたま観に来られたみたいだった。なんか観終わった後に話したくなる映画だったので少しだけだけど顔見知りの人と感想とか話せてよかった。


水道橋博士のメルマ旬報』vol.17は本日10日配信されてます。
http://www.webdoku.jp/premium/merumaga/page/s_hakase.html



「碇のむきだし」は辻村深月著『島はぼくらと』についてです。メフィスト賞受賞作家初の直木賞作家・辻村さん受賞後初の小説です。故郷を後にした人、故郷に戻った人、故郷に帰れない人、いろんな想いが交差し透き通るように描かれた青春小説です。


樋口毅宏新著『タモリ論』は13日に発売です。
http://www.shinchosha.co.jp/book/610527/


NONA REEVES / P-O-P-T-R-A-I-N

島はぼくらと

島はぼくらと

タモリ論 (新潮新書)

タモリ論 (新潮新書)

POP STATION

POP STATION


『選挙』
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20090904


『精神』
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20090712