Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『中学生円山』

 水曜日は休みだけどレディースデイだから映画館行くと女性ばかりなのよねという状況になって早半年。仕事に行く時間が三十分早くなったので朝ドラ『あまちゃん』見てから行けなくなったわけですが、もう『あまちゃん』は圧倒的なまでに面白く、宇野さんがやってる『PLANETS』の増刊で中川さんや中森さんのツイートとかいつも面白いからそれらを論とかにまとめてもらったりとかそういうの読みたいですね。まあ、『カーネーション』と『あまちゃん』が朝ドラの中でも屈指な名作に入るんじゃないかなって思ってます、たぶん。


 そういえばクドカン監督で映画があるなって前日に思ってtohoシネマズ渋谷の朝イチの回を観賞。平日の朝なんでお客さん少ないけどほぼ女性でしたね。




監督・脚本/宮藤官九郎、衣装/伊賀大介、音楽/向井秀徳
草なぎ剛/下井辰夫、平岡拓真/円山克也、遠藤賢司/井上のおじい、ヤン・イクチュン/パク・ヒョンホン、鍋本凪々美/円山あかね
刈谷友衣子/清水ゆず香、YOU/主婦・清水、原史奈/主婦・三浦、家納ジュンコ/主婦・小暮、皆川猿時/太ったBボーイ・細野、三宅弘城レスリング部顧問(克也の担任)・梅田、宍戸美和/公団地の自治会長・村田、少路勇介/刑事・黒田、野波麻帆/下井の妻、田口トモロヲ電気屋・斎藤、岩松了/刑事・大谷、坂井真紀/円山ミズキ、仲村トオル/円山克之


解説・「少年メリケンサック」(2009)以来4年ぶりとなる宮藤官九郎の監督作。主演に「SMAP」の草なぎ剛を迎え、エッチな妄想ばかりしている中学生男子が、同じ団地に引越してきた謎のシングルファーザーとの出会いから成長していく姿を描く。ごく平凡な家族に囲まれて育った少年・円山克也は、思春期真っ盛りの中学2年生。あるエロい目的を達成するため、極限まで身体を柔らかくする「自主トレ」を密かな日課にしていた。そんなある日、団地の上の階に謎めいたシングルファーザーの下井辰夫が引越してくる。ほどなくして団地のそばで殺人事件が起こり、克也は下井の正体が殺し屋だという妄想を始めるが……。(映画.comより)


 クドカン監督作品の『真夜中の弥次さん喜多さん』や『少年メリケンサック』の前二作よりは面白いと思う、実際にけっこう笑ったから。
 中学生の円山は性春の快楽者である中学生の自慰におけるあれ自分でくわえれるんじゃね?と思って自主練を初めてレスリング部にも入部する。実際には加えたいというよりは舐めたい願望、舐めてみたいのほうだが。『ザ・水道橋in座・高円寺vol.1〜園子温芸人デビュー』で園さんは思春期にそれができてたという話があった。でもやれてしまうとくわえられてる感がないと、まあくわえてるからw…

 というおバカな、でも男子は一度はできるのか!と思ったあれをなんとかやろうとする円山。で、妄想もしまくりなんでエロいことも上に越してきた下井が最近起きている殺人事件の犯人ではないかと妄想し始める。
 この映画は団地映画でもあって団地が舞台。団地でのご近所付き合いとかも出てくるし、遠藤賢司さん演じるおじいちゃんは徘徊老人だったりもする。がこの老人はギターをかき鳴らすシーンがあって、まあそれは前作の『少年メリケンサック』にも通じているクドカンの好きなものや人をぶち込むという感じでいるかいらないのかと言われると遠藤賢司ファンは喜ぶんじゃねっていう感じでした。
 映画『息もできない』で監督脚本主演をしたヤン・イクチュンも出てるんだが韓流にハマる円山家のお母さんとのある種のミニコントとクドカンなりの笑いの部分で出てる。その辺りのネタというか展開ではふたつ隣りぐらいの娘が僕より上な母娘が爆笑してました。
 女性のクドカン好きな人がたくさん観に来てるとは思うんだが僕の笑う所とけっこう違うような気がした。まあ、そんなもんだよね。


 映画はちと時間が長いかな、でもおっぱい指数も高いしw 最後はわりと一気に終わった感じかな。
 中学生の女の子(刈谷友衣子)が服を着たままプール(海とか)に飛び込む(円山の妄想ですが)それが青春映画だ! 自分の妄想したストーリーやシーンで泣ける人なんでわかるよ、円山っていう気はした。中学生ぐらいの美少女とかが水に飛び込むだけでなんか素晴らしい映画のような気がしてしまうのはそんなことをしてないからだっ!
 岩井俊二監督『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? 』での奥菜恵のようなあれですよ、あれ。ああ、こんな青春を過したかったよっ、でもなかったんだああああああああああああああ〜っていうあれっすよ。


 『あまちゃん』では猿時さん先生ですけどこっちにも出てるけどこっちでは三宅さんが先生役。まあ大人計画グループ魂のメンバーはテンポとか間が上手いからそれだけでも面白い、まあ僕が好きだからってのもあるけどね。大人計画好きならきっと楽しめる。
 だけど、クドカンは本当に映画に向いているのかと言われると「むむむ」みたいに言葉に窮する。四年に一度撮ってるけど、『あまちゃん』とかこれって大都市と地方、アイドルというものを一回総括するようなものを書ける、書いちゃう人だから脚本家として凄過ぎるっていうのは重々承知。でも、演劇畑の人が映画になるとなにかが抜け落ちるあの感じはなんだろう?


 クドカン作品好きなら観に行って大丈夫だと思う。小ネタもいつも通りだし、音楽はやっぱり向井秀徳さんでスタイリストは伊賀大介さんだしね。帰りに早売りの『KAMINOGE』(表紙は伊賀さんの奥さんの麻生久美子さん)を東急本店のMARUZENジュンク堂で買って帰る。
 最寄り駅で買い物をしてからニコラ行って『KAMINOGE』読もうと思って家を出たら樋口毅宏さんに声をかけられて道端でお話。家で仕事するというヒグタケ先輩とわかれてひとりでニコラに来てマカロンとアイスカフェオレにKAMINOGE !。


 お昼に行くのは初めてだったけど『KAMINOGE』読んだりお店の方と話しながら一服。麻生さんのインタビューに苫米地さんの中島洗脳問題読んだりする。奥さんと麻生久美子さんの話をしたり、そう『贅沢な骨』の麻生さんがエロくてすげえ好きだった。


少年メリケンサック
 宮藤官九郎監督第二作「少年メリケンサック」のエキストラに行ってきた。以前大人計画で主演が宮崎あおいとだけわかっていた時に募集してて応募してたやつ。


 京王新線で初台まで行って北口出てすぐの初台DOORSというライブハウスでの撮影。近所の元?病院が控え室とか待機場所になっていたのでそこで着替えて待ちだった。


 ストーリー・メイプルレコードの新人発掘部に勤務する、契約切れ目前のOL・かんな(宮崎あおい)。何の成果も出せずに、ひたすら社長の時田とヤケ酒をあびる日々を過ごしてきたこの2年間…。そんなかんなに千載一遇のチャンスが舞い込む。ある動画サイトで、これ以上ない野蛮で、凶暴なパンクバンド<少年メリケンサック>を発見したのだ! 契約延長との引き換えに、彼らの全国ツアー敢行を命じられたかんな。半裸にモヒカン、眉なしパンチ、協調性ゼロのメンバーたちを引き連れ、果たしてかんなは無事にツアーを乗り切ることができるのか!?


 という話ですが、その動画サイトでのバンドのボーカルを銀杏BOYZの峯田君が演じている。しかしその動画は25年前の映像だったという話でかんなが引き連れて行くのはおっさんになったバンドメンバーだった。


 僕が行ったのは現代のシーンの撮影、つまり25年後のおっさんバンドのシーンだった。しかもラストの方のシーンだったらしい、シーンナンバーも144とかだったしね。


 ステージにはYAIBAや悟空のようなつんつん立てられた髪型でパンクロックの革ジャンを着こなす佐藤浩市弥次喜多みたいな格好の木村祐一、25年後のメリケンサックボーカルの田口トモロヲクドカンのバンドでもドラムを担当している石鹸こと三宅弘城、かんなの彼氏役らしい勝地涼も彼はめちゃめちゃおいしい役だ。言いたいけど言わない、これは後半での大事なポジションだと思う、かなりおいしいですよ彼は。そして観客の後ろの方に「篤姫」でもある主演の宮崎あおいといった役者陣がいた。


 最初に病院で待機室に行く時にチラッと見えたスタイリングしてる部屋があって、スタイリングしてたのは伊賀大介さんだと思う。麻生久美子の旦那でもあり、前作「真夜中の弥次さん喜多さん」もスタイリストだった。
 一度バイトしてたダイニングバーで村上淳さんといて話をさせてもらったけど感じのいい兄ちゃんだ。
 あの時ムラジュンは「UAいいよねえ」って言って僕らスタッフが「身内じゃん!」ってツッコんだけど離婚したなあ。


 トモロヲさんはなんかメイクもあるけど雰囲気がパンクスだね、あんな格好いいオヤジってあんまりいないと思う。昔はバンドやっててステージ上でうんこをしていたような人らしいがなんだか峯田君の25年後と言われても納得。


 トモロヲさんが監督した「アイデン&ティティ」の脚本はクドカンだったし、主役は峯田君だった。なんだかすごい繋がりですね、似た部分があってカチッとハマるものがあるんだろう。


 佐藤浩市さんとキム兄はそれまでの展開で色々あったみたいでジョイントなプレイをしてました。映画だとどうなるんでしょうか?三宅さんの生ドラムはグループ魂のライブを思い出します。石鹸だよ〜みたいな気持ち。
 勝地君はネタバレだから言えないけどすっごくおいしい、クドカン脚本「未来講師めぐる」でも主人公めぐる(深田恭子)の彼氏役でもあったのでクドカンに気に入られているのか、なんらかの大きな力が働いているのか。

 宮崎あおいはピンクの革ジャンみたいなとピンクのメリケンサックT-シャツ着てたけどかわいい、キレイでもあるしなんだかかわいくもあり、キレイになってる途中段階なのかなあ。主役だからこの映画転けれないし、公開時はいろんな媒体に出て宣伝活動をするんだろうなあ、ロッキンの「H」とか「CUT」ですぐに特集組みそうだな、絶対に組むだろうけど。


 シーン的にはライブシーンなのでいきなり盛り上がるというシーンだったけど、撮影ってやっぱり準備があるから待ちが凄く長い、仕方のないことだけど長いですね。監督クドカンも支持とか出してたけどわりとカメラマンのおっさんの言うことを聞いてたような気もする。画はカメラマンが把握してるから欲しい画とか繋がりとかの確認をしてたなあ。


 13時集合で18時過ぎとかに終わったのかな、早い方だろうね。少年メリケンサックのT-シャツとお弁当とお茶をもらって病院の前で大阪から来て一番よく話してマイミクになったイギーと一緒に飯を食った。
 うーむ、金がかかってるなあという感じはした。さすが期待値が高いだけに制作費は多いんだろうな。


『好きです! パンク! 嘘です!』
「好きです! パンク! 嘘です!」のコピーは巧いと思います。そんなわけでようやく観に行ってきました宮藤官九郎監督「少年メリケンサック」を。
 去年エキストラに行ったりしたので微妙な思い入れがあるのですが、渋谷でチケ屋二件回って前売り券なかったので諦めて一般で入りました。


 朝一の回に行ったけどわりと客はいたかな。始まる前にトイレ行こうと思って館内から出ようとしたら一番後ろの席にGLAYのJIROが女と座ってました。シガーロスの国際フォーラムの時はTERUがお付きの人とフォーラムの写真を撮っているの見たけど、なんだもう二人見てGLAYをコンプすりゃあいいのか。
 宮崎あおいの可愛らしさが満開でしたね。そこだけが救いのような気もしなくもないのですが。
 中年のおっさんバンドと全国ツアーを回ることになったレーコード会社の契約社員のかんなとのある種のロードムービーです。


 田口トモロヲさん演じるボーカルのビリーは二十数年前の解散ライブで負った後遺症で最初は車いすに乗っていて呂律もろくにまわっていない。これを見て大槻ケンヂ「ロッキンホースバレリーナ」を思い出しました。そういうキャラクターが最後のほうに出てきたので。
 宮崎あおいが「ロッキンホースバレリーナ」のゴスロリのファッションのリスカメンヘルでビュジュアル系の追っかけのヒロインを演じた方が面白かったかもね、脚本は宮藤官九郎でさ。


 けっこう笑ったりしたし、他の人が笑ってないとこでも笑ったんだけど宮藤作品にしては展開がテンポが悪かったように思いました。時間が長く感じてしまった。
 監督第一作の「真夜中の弥次さん喜多さん」観た時になんとなく思ってたけどこの人の脚本能力は素晴らしい、このゼロ年代を代表するものだけど監督としては向いてないんじゃないかって改めて感じた。


 「GO」「ピンポン」「アイデン&ティティ」「舞妓Haaaan!!!」と好きな作品は脚本だけだもんな、監督は監督でいるし。
 「木更津キャッツアイ」は別格です。このドラマ、映画二作が持つ意味は他の作品とまったく違う。失われた十年とか終わりなき日常とかそういう九十年代的な発想の向うへ突き抜けた作品だったから。同時代を生きている僕らにとって彼らキャッツはまさしく友人だった。


 「少年メリケンサック」はある種の兄弟の話でアキオ(佐藤浩市)とハルオ(木村祐一)の兄弟が主軸。ジミーとヤング(三宅弘城)はけっこう脇役でエピソードも少なかった。最後のライブシーンでおいしいとこを持って行ったと思っていたマサル勝地涼)も映画の流れでは僕が行ったライブシーン前でおいしいとこをすでに出していた。まあ、おいしい役には違いないが。
 あとピエール瀧さんが少年アラモード時代のマネージャー時代の頃のオーバーオール着ている姿がアンタッチャブルの山崎にしか見えねえ!


 思ったより峯田君が暴れてませんでしたね。銀杏メンバー全員出てたし、SAKEROCKも全員出演で、JAPAN-狂撃-SPECIALもって音楽がZAZEN BOYS向井秀徳、This is 向井秀徳です。どんだけバンドマン出てるんだっていうぐらい、まだ数名出てますけどミュージシャンが。
 SAKEROCK星野源大人計画に所属で「去年ルノアールで」でも主演で、劇団の主宰・松尾スズキ作・演出「女教師は二度抱かれた」でも出てて好きな感じで、浅野いにおソラニン」映画化で、頓挫したのか新しい話を聞かないがコミュニティとかでは種田は星野源って意見がわりと多くて僕も同意してたが、今日観てなんかやっぱり種田じゃないよなって思った。


 なんだろうなあ、好きなタイプの映画だけど今の自分のモードに合ってないのか。まあ、「デトロイトメタルシティ」もメタルさがなくてポップだったけど、この作品もパンクって言ってるけどポップな作品でしたね。
 宮崎あおいのスーツスタイルは萌えな感じです。でも宮崎あおいはきっとコメディエンヌ的な女優じゃないのかもしれません。