監督・デヴィッド・フィンチャー
出演・ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク
ストーリー・2003年秋。ハーバード大学2年生のマーク・ザッカーバーグはボストン大生の恋人のエリカと口論になり、「アンタがモテないのは性格がサイテーだからよ」と言われて振られてしまう。怒ったマークは酔った勢いも手伝ってブログに彼女の悪口を書き並べ、さらにハーバード大のコンピュータをハッキングして女子学生の写真を集め、ルームメイトで親友のエドゥアルド・サベリンの協力の下で女の子の顔の格付けサイト「フェイスマッシュ」を立ち上げる。サイトは瞬く間に話題となり、公開から2時間で2万2000アクセスを記録するが、4時間後には大学側に潰されてしまう。
後日、理事会に呼び出しを食らったマークは半年の保護観察処分を受け、大学中の女学生全員から嫌われ者となる。そこへ、ボート部に所属するエリート学生であるキャメロン&タイラー・ウィンクルボス兄弟とその友人のディヴィヤ・ナレンドラはマークの優れたプログラミング能力に目を付け、「名誉挽回のチャンス」と称し、「harvard.eduドメイン」に群がる女と出会うことを目的としたハーバード大生専用のコミュニティサイト「ハーバード・コネクション」の制作協力を依頼する。これにヒントを得たマークはエドゥアルドをCFOとして1000ドルの融資を受けてソーシャル・ネットワーキングサイトの制作に取り掛かり、2004年初頭、「ザ・フェイスブック」が誕生する。
wikiよりコピペ
昨日15日から公開が始まったデヴィッド・フィンチャー監督最新作『ソーシャル・ネットワーク』を朝一で観に行ってきた。客層はわりと中年より上だったような気もする。けっこう席は埋まっていた。
注目度の高い作品である、それは実在の人物である「Facebook」を作ったマークとその「Facebook」がどういう経緯によって世の中に出て行ったのかという真実を元に作られた映画だから。
僕はmixiとはてブとTwitterはしているがFacebookはしていない。していなくてもSNSをmixiならもう五年とかしているしネットでの繋がりとかがどううものかを体験してきている。正直言えばFacebookをした事なくても映画が理解できないということはない。だからしてなくてもまったく問題なく観れる。
主人公は一見するとマークなのだが、彼にアイディアを盗用されたというウィンクルボス兄弟と創業時の共同経営者エドゥアルド・サベリンの三つの視点があり、後者の二組はマークを訴えている。裁判所での彼らとのやりとりと大学での「Facebook」の始まりが交差して物語がすすむ。
これが観ていてすごくいい、ある意味で客観的にこの物語を観る事ができるし個々人で記憶の細部は異なるというのがこの世界の成り立ちであるという、だからこそ揉める時にはどうしようもなくこんがらがる。
自分の記憶が意見が正しいと思っている人が意見を通せばそうなるし、それが世界だと思う、故にやけにリアルだ。正義も悪も人の中にはあり立場があり、想いがある。そして作り手は一つの視点で物語を見せない。
そこにすごく現実的なものを感じる。そこにはある種の隙間ができる。想像の範囲というもの。新聞にリークしたのはパーティに警官がやってきたのは? マークがなんと言おうが観てる側はそれが正しいとは判断ができない。マークの視点で物語を見せていたら彼の発言は信じれるが、三つの視点があるのでグレーゾーン化してしまう。
これは嘘なのか真実なのか? それは受け取る側の判断でしかない。僕は僕の人生しか生きれない、故に僕の視点で世界を見ていくしかない。しかし想像力を使えば他者もそうなのだから異なる視点が人の数だけ存在する。
僕の真実は誰かの嘘にだってなりえる。その可能性は否定できない。
この作品は脚本が凄く上手いと思う。展開とか流れが違和感なくスムーズにそして作り手が三つの視点で成り立つ物語を作ろうとしているラインをしっかり構築している。
ナップスターのショーン・パーカーがマークと絡み出す辺りが面白いなあと。真反対のような彼らの本質とかは似ている。次のステージに行くためにはショーンの存在がデカかったがそれはエドゥアルドにとってはある種の裏切りであったりとか。どっちも最初の理由が女の子だったとか男が何かする時の理由、最初の一歩がそういうのはどうしようもないね。最初はそういう事でもそれが膨らんでいくとそんな事が吹っ飛ぶような。
冒頭のマークとエリカのシーンは重要というかマークのパラノイア的な感じを最初に提示できている。いい人悪い人とかではなく変わっている人である。そして対人のコミュニケーションは成り立ち辛い、そりゃあフラれるしフラれた彼女のバストサイズをブログで悪口とともに晒しちゃあダメだ、倫理的にアウトだし女性から嫌われますわな。
その彼がSNSでネットでの繋がりを友達を作るサイトを作ると言う事が、それが世界で最大級のSNSサイトになっていると言う事。しかし天才的なプログラミング能力がある。なにか凄く皮肉な部分も感じられたりする。
映画としてもかなり面白かった。93点ぐらいな気分ですかね。
神話には“悪”が必要よっていう台詞の意味深な事。
これを書いた後にTwitterで映画評論家の町山智浩さんのツイートを読んでわかったことを追記。
「あの映画ではザッカーバーグはアスペルガーとして描かれています。人の感情が理解できない悲劇の人として。脚本家が取材でそう描くことにしたようですが現実にザッカーがそうなのかは諸説あります。」とそうだ彼のあれらの行動は納得が行くし、彼は謝らないのは自分が悪いとまったく思っていない共感力がない。
「アメリカでは、ザッカーバーグは本当に「ソーシャル・ネットワーク」で描かれたようにアスペルガーなのかどうか、様々に論争されています。」
「ザッカーバーグ本人はテレビに出ると、映画と違ってニコニコしてるし、冗談も言います。あと、映画にもチラっと登場する中国系のGFと今も仲良くしています。「ソーシャル ネットワーク」はドキュメンタリーではなくてドラマです。」っていうのはエドゥアルドが付き合ってたあの凄い方ではなくてほぼ台詞のない方の彼女みたい。
「コミュニケーション障害の主人公がネットコミュニケーションを創造したという皮肉な物語に現代を象徴させていますね。」というのは僕もそう思ったし観た人は大抵そう思うだろうなあ。
「そうじゃなくて監督は「ソーシャル・ネットワーク」を孤独な天才の悲劇として描いてるんですよ。だからザッカーバーグが会社立ち上げ前に出会った女の子と何年も恋愛が続いている事実を映画では隠している。」
「実際は軽いアスぺでも映画ではテーマを強調するために重症として描くわけですよ。ザッカーバーグは彼女と結婚するため中国語の勉強中。」
とこれはドキュメンタリーではなくドラマだと。だから余計にこの脚本の良さが際立って感じるんだけどなあ。
日本だったら完全にホリエモンこと堀江貴文氏でしょうね、主人公は。と思いながらずっと観てました。彼の著書とか読んで書かれてる事を読めば言ってる事は正しいし既存のもののダメな部分をきちんと自分の言葉で勉強した事で指摘している。でも既得権益や今権力持ってる側からしたら邪魔で邪魔で仕方ない。
で、潰した、潰そうとした。でももはや個人が情報発信できる世界では彼は徹底抗戦していけるし、メディアを完全に信じる人も昔みたいにはいなくなってる事もデカイので彼の言葉はある程度広がっていく。
『龍馬伝』の最終話で龍馬が暗殺されたのは武士の時代が終わると困るやつとか既存の価値観が変わる事の恐れとかが形となって彼を暗殺した。で、先行き不透明な時代で『龍馬伝』観てるおっさんとかは龍馬のような人間がとか言うけど君ら堀江さん嫌いだよね。
あの人かなり龍馬と通じる部分あるじゃん、既存の価値観に捕われずに今あるものぶっ壊して新しい事やっていこうとしたら潰すわけだから、お前らも龍馬暗殺した側と変わらないよねって。その事に自覚はあるのかなと見ながら思ってた。
ライブドア事件があって、リーマンショックとかで就職もしんどくなると大学生の就活してる連中は古い日本の企業にあった年功序列に定年まで働きたいみたいな安定志向になる。だからやっぱり価値観とか既存のものを壊して新しい方向にってのはかなり難しい事でもあるんだよね。時代の流れも大きく作用するし。
今月中に渡辺あや脚本『その街のこども 劇場版』を観に行きます。『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』『天然コケッコー』『ノーボーイズ、ノークライ』大好きですから。
NHKでやった『火の魚』もすごくよかったし、今年の秋以降のNHK朝の連続テレビ小説では渡辺さん脚本で世界的に活躍するファッションデザイナーのコシノヒロコさん、ジュンコさん、ミチコさんの母、小篠綾子さん(大正2年〜平成18年)をモデルとした一代記『カーネーション』ですからね。これは期待度がますばかりです。
文庫が出たのでハードカバーで買って読んだけどまた文庫で読んでいる伊藤計劃『ハーモニー』は人体の中にSNSみたいな機能が備わっていて病気とかもならないように体の中にWatchMeってのが入ってる社会の物語なんだけどネットワークが進化していくとこんな世界にもしかしたらなるのかもしれないと怖かったりする。
繋がりは大事だけどそれが行き過ぎたり人の事を心配とかしすぎるのはそれはそれで窮屈だ、バランスがないとやはりいけないと思う。
伊藤計劃作品は『虐殺器官』『ハーモニー』の順で読むのが間違いないですけどね。圧倒的すぎるけど。
最近はYUKIのライブアルバムを借りてそれを聴いてますがとてもよいです。
[Live] YUKI COSMIC BOX
YUKIは僕の十歳上みたい、もうすぐ四十だって、嘘だろ?
初めて彼女の歌声を聞いたのは中学の時の友達の家に遊びに行った時に彼が「昨日ラジオでやってたんだけどすごくいい曲なんだ」ってラジオからダビングした『Over Drive』だったけど。
あの時携帯電話すら普及してないからなあ、女の子の家に電話してお母さん出て気まずい思いをした世代としてない世代が分かれるのは携帯普及する前か後だね。
フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
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