S#080 同・幸信の部屋
朝日が差し込んでいる。
楓は目を覚まし、幸信を探すが部屋にはいない。
アンプに立て掛けられたテレキャスを見つけ
起き上がり手にする。
S#081 同・居間
ソファーに座ってコーヒーを飲んでいる幸信と美穂。
部屋から見える庭には洗濯物が風で揺れている。
美穂が三国さんのことを一生懸命に話しているが幸信は
テレビのほうを見ている。
二階からアンプから流れるギター音が響いてくる。
幸信が二階を見上げて二階へ。
S#082 同・幸信の部屋
楓がテレキャスをかき鳴らしている、ドアを開ける幸信
に笑いかけ、幸信は見とれている。
楓は飛んで着地して弾き終える、
舌を出しておどけてみ せる。
楓 「早朝からすいません」
幸信 「どうテレキャスは?」
楓 「いい感じ」
幸信 「コーヒーでも飲む?」
楓 「いただきます」
S#083 同・居間
幸信と楓、美穂がコーヒーを飲みながらテレビの占い
を見ている。
楓は占いがいいらしく機嫌がいい。
楓と美穂は意気投合したらしく仲の良い姉妹のような
感じでそれを見て幸信は嬉しそうな表情。
S#084 同・前
玄関から幸信と楓が出てくる。
S#085 大学への道
幸信と楓が歩いている。
他の学生たちも眠そうな顔で歩いている。
S#086 大学・正門前
正門を過ぎようという時に楓が立ち止まり、
幸信が振り 返り楓の顔を見る。
楓 「ねえ、サボって映画でもいこ?」
幸信 「どうしようかな、単位がさあ」
と幸信が体を校舎に向けて歩き出す、
楓はうつむき下を向く、自分のスニーカーを見ている。
幸信は歩いていく、楓との距離が開いていく。
幸信は踵を返して楓の方に走り出す。
幸信 「行こう!」
楓が顔を上げると幸信が走ってくる、
幸信は楓の手を握ると2人走り出す。
祐也(微妙に顔のマジックが落ちていない)が
自転車で通学して来ている。
擦れ違う幸信と楓が通り過ぎていく。
祐也 「お、おっ、おーい幸信、えー!」
大学に向かって歩いている学生の流れとは正反対の方向
へ走り出す幸信と楓、2人笑っている。
楓の大きなバッグが揺れている、
幸信の長い髪が揺れている。
小さい商店のおばちゃんが店前に水を捲いている。
その小さな水溜まりをジャンプしていく二人。
青空が広がっている。
S#087 映画館
かなり空いている映画館、
幸信と楓が隣同士で座って観 ている。
繋がれている手と手。
S#088 駅・改札口(夕)
幸信と楓が手を繋いで歩いている。
改札付近で立ち止まる、手を離しづらい感じの楓。
楓 「じゃあ、またね」
幸信 「うん、気をつけて帰れよ」
楓 「うん、メールして」
幸信 「わかった」
楓が手を離し、改札を通って行く、振り向き。
楓 「バイバイ(と手を振る)」
幸信 「バイバイ(と手を振り返す)」
楓が歩き出し構内の階段を昇って見えなくなる。
S#089 同・プラットホーム(夜)
ヘッドフォンをしている楓、電車を待っている。
電車がやってきて楓が乗り込んで行く。
くるり * すけべな女の子
S#251 渋谷センター街(夜)
電飾が輝いている、人々の話し声、星のない夜空。
揺れるビジネスバッグ。
幸信息が荒い、ネクタイを片手で緩める。
S#252 パルコ・ライブハウスへ続く階段(夜)
幸信が階段を駆け上がる、受付でチケットを見せ、
さらに上の階へ行くために階段を上る。
幸信がドアを開ける。
少しだけ漏れてくる照明の明かり、
ギターを弾いている 楓が見える。
S#253 ライブハウス・中(夜)
ライトがステージ上の楓を照らす。
楓が歌う、揺れるようにリズムを取る客。
飛び跳ねるように音に合わせてギターをかき鳴らす楓。
ドラムとベースのリズム隊が正確に音を刻み安定感が
あり、サポートギターが一心不乱に音を鳴らす。
楓がメンバーを見て意思の疎通をしている。
楓がジャンプする、それがスローモーションのように
幸信には見えて、楓がゆっくりと舞う。
曲が終わると歓声が上がる。
楓 「今日は本当にありがとう。クリスマスなのにね。
次がラストです。想い出の曲をやろうと思います」
ローディがテレキャスを持ってきて楓に渡す。
テレキャスを構えてチューニングをする楓、
弦を弾いて調整する。
会場にテレキャスの音が響くのと同時に幸信が叫ぶ。
幸信 「楓ー」
楓はギターを弾くのをやめて会場の奥を、見つめる。
幸信と楓が一直線にいる。
無音になる会場、ふうっと微笑む幸信、笑って頷く楓。
会場の音が戻る。
楓 「今日は特別な日なんよ。それでどうしても歌いたい歌が
あって。あの頃に私たちに歌わせて欲しい、
あの頃の私 たちに届け」
ギターを弾き始める楓、『すけべな女の子』が始まる。
インサート
雪が舞う公園のベンチに座っている楓。
× × ×
ラブホテルの床に脱ぎ散らかされた服。
× × ×
蛍を見ている幸信と楓
× × ×
幸信の部屋で幸信がギターを弾き始める。
幸信が歌い、楓が聞いている。
× × ×
居酒屋で楓は幸信にキスをする。
× × ×
楓がテレキャスをかき鳴らしている、ドアを開ける幸信
に笑いかける。
幸信は見とれている。
× × ×
駅の改札で待っている幸信、楓が改札から出てくる。
幸信 「おせえ」
楓 「ごめん」
× × ×
楓は隣の幸信の肩を叩いて立たせて向かい合う形。
幸信 「?」
楓 「好き」
幸信 「好き?」
楓 「好き、かもしれない」
幸信 「かもしれないってお前さあ。酔ってんだろ」
楓は幸信にキスをする。
× × ×
白色のカーテンが風で揺れている、
夕日が差し込んでいて部屋がうっすらと
オレンジ色に染まっている。
ベッドに座っている楓(18)と寝ている
幸信(21)、楓が幸信の長い髪を撫でている。
インサート終わり。
幸信の頬、涙が流れている。
楓が歌詞の後半部分で叫ぶように歌う。
曲が終わりに近づきギターをかき鳴らす楓。
楓 「サヨナラ」
ギターを外し、ネックを両手で持って床に振り下ろす。
折れるギター、しゃがみ込む楓、折れたギターを
抱きしめて泣き出し嗚咽する。
バンドメンバーが演奏を止めずに曲が最後まで終る。
楓はギターを抱えて泣いている。
スタッフが楓の元へ行き抱えるようにして
ステージから楓が消えて行く。
騒然とする場内、楓を心配する声が響く。
ただステージを呆然と見つめている幸信。
S#254 山手通りの上を走る246の歩道(夜)
車が勢いよく走る隣の歩行者通路を三茶方面に
下って歩いている幸信。
後ろから走ってくる足音が聞こえてくる。
振り返る幸信。
大学時代の幸信と楓が手を繋いで走ってくる。
大学時代の幸信は今のスーツ姿の幸信とぶつかり
消えて行く、楓は幸信の横を走り抜けて行く。
幸信 「楓、待てって、楓ー」
走って行く楓の後ろ姿を見ている幸信。
246から山手通りに行こうと右折しようとする
車のヘッドライトに照らされた楓は消えて行く。
幸信は楓が消えた場所を見ていたが空を見上げる。
夜空を見上げていた幸信の頬を涙が伝っていく、
しゃがみ込んで柵に捕まる。
幸信 「あー、あーあー、あーーーーーー」
声に鳴らないような叫び。
柵の隙間からは山手通りを走る車が見える。
行き交うヘッドライトの流れが尾を
引いているように滲んで見える。
星が一つもない東京の夜空。
深夜のツタヤ。深夜の本屋の佇まいが好きだ。芥川賞候補作の松尾スズキ著「老人賭博」を買う。「ヤングエース」の最新号も。「多重人格探偵サイコ」が休載だった。気持ち的には金返せ状態だけど「エヴァ」と「黒鷺死体宅配便」が読めるからいいや。
iTunesストアでサカナクション「アルクアラウンド」を購入して聴きまくった。年末のCDJでのライブでも観たけどかなりいい、次のアルバムとツアーに期待、もっとデカいバンドになっていくはずだ。
「文化系トークラジオ Life」の「大忘年会09」Part10が配信。
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