Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「ヴァトラスの剣」

ヴィンランド・サガ(8) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(8) (アフタヌーンKC)

 ああぁ、アシェラッドが、すげえ見せ場を作ってこの展開って。新章に突入しちゃったけどこのサーガはどこまで、どこへ続くんだろう。
 一番今の所期待している、楽しみな漫画。毎度のこと泣かされるというか展開がうまくてキャラクターが立っているし、明らかにきちんと終わりを見据えて作者が描いているのでブレない。


 また、泣いてしまった。アシェラッドとトルフィン。父の仇だったアシェラッドにずっと挑み続け、ある意味で父のような役割を果たしてきた仇だった重要キャラだったアシェラッドの最後。


 王子が王になるためのイニシエーションを彼が起こし、物語はさらに動き出した。この展開は引きつけられる。


 著者の幸村誠作品はこの「ヴィンランド・サガ」と前作「プラネテス」があるが、僕にとって「プラネテス」は大好きなマイフェイバリット漫画だし、この「ヴィンランド・サガ」も毎巻思わされる事や感情を揺さぶられる深い作品だ。しかし、世間的にというかあんまり評価されていない漫画家さんのようなするし、専門の友人に「プラネテス」を勧めて彼が読んでるぐらいで周りに読んでいるという人を聞かない。
 この幸村作品好きな人とは情緒レベルとか感受性が近いのかなとも思う、もっと評価されていいとやっぱり思う。


 「プラネテス」なんか四巻でものすごくまとまっているし、世界観も宇宙が舞台だけど、主人公・ハチマキの感情の揺れ動きにいつしか自分の気持ちがシンクロして思わず泣いてしまったり、強さをもらったりする。アニメ化はされたけど漫画で読んで欲しいと思う。

プラネテス(1) (モーニング KC)

プラネテス(1) (モーニング KC)

プラネテス(2) (モーニング KC)

プラネテス(2) (モーニング KC)

プラネテス(3) (モーニング KC)

プラネテス(3) (モーニング KC)

プラネテス(4) (モーニング KC)

プラネテス(4) (モーニング KC)


 時折バンダイの「魂ウェブ」のサイトを見ている。所謂フィギュアのサイトでガンダム仮面ライダーや等々がラインナップされていて、聖闘士星矢など懐かしいものがあり、まあ買わないのだけど、買ったら集めそうなのと、値段がけっこう「その値段ありか?」というぐらいに高いのもある。


 僕が小学生の頃にハマりにハマって近所の本屋さん(社会の先生の家だったりした)、今はないのだけどそこにあったカードダスをするためにお小遣いを持っては店員のおばさん(わりと感じの悪い)かおばあちゃん(可愛がってもらった)に十円玉に両替してもらってはしていた。昔のカードダスは二十円で一枚で、その後消費税が上がると四枚で百円とかまとめて出るようになったんだったかなあ、たぶん。


 カードが出てくる数ミリの隙間にしゃがみ込んで、あるいはほぼ地面に寝転びながら目をやると「キラ」(当たりのようなもの)カードだけは普通にカードよりも緑に見えたり、色が違って見えて、あと何枚で「キラ」だとわかったら一気に両替してみたいなことをやっていた。僕がハマっていたのはガンダムでも普通のアニメでやっていたような、お台場に立っていたようなリアルなやつじゃなくてSDガンダムと言われるやつだった。


 「SD」=「スーパー・デフォルメ」っていうのは形を大きく崩すことを指しちびキャラ化する事、およびちびキャラ化されたキャラクターの事で、SDガンダムは僕は小学生ぐらいの頃に「コミックボンボン」で連載とか特集をしてた、兄は「コミックコロコロ」を読んでいて幼少期から趣味が違ったわけだが。


 SDガンダムには二種類とりあえずあって、BB戦士というガンプラがあって、そっちでは武者ガンダムというシリーズ、ガンダムが鎧着ているバージョンと、カードダスは騎士ガンダムという西洋の騎士をモチーフにしたものだった。僕はどっちもハマってプラモはBB戦士ばっかり買って、カードダスばっかりしてた。


 特にカードダスは小学生が終わるぐらいまでずっとやってたと思う。今思うとカードダスって何十枚ってそのシリーズ、第一弾とか第二弾とかにあって、集めていくとそのシリーズの物語やキャラクターの関係がわかるような仕組みになっていた。これはカードダスよりも前に流行っていた「ビックリマン」と同じ手法を使っていた。


 と書きながら僕はそれが大塚英志著「定本物語消費論」に書かれていたことを思い出したので久しぶりに開いてみた。

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 「ビックリマン」にほどこされていた仕掛け。


一、シールには一枚につき一人のキャラクターが描かれ、その裏面には表に描かれたキャラクターについての「悪魔界のうわさ」と題される短い情報が記入されている。
二、この情報は一つでは単なるノイズでしかないが、いくつかを集め組み合わせると、漠然とした<小さな物語>ーキャラクターAとBの抗争、CのDに対する裏切りといった類いのーが見えてくる。
三、予想だにしなかった<物語>の出現をきっかけに子供たちのコレクションは加速する。
四、さらに、これらの<小さな物語>を積分していくと、神話的叙情詩を連想させる<大きな物語>が出現する。
五、消費者である子供たちは、この<大きな物語>に魅了され、チョコレートを買い続けることで、これにさらにアクセスしようとする。


 ビックリマンが描き出した<大きな物語>は出口王仁三郎霊界物語」やインドの叙情詩「マハーバーラタ」を連想させる壮大な神話的年代記なのである。消費者である子供たちは、この<大きな物語>の体系を手に入れるため、その微分化された情報のかけらである<シール>を購入していたわけである。したがって、製造元の菓子メーカーが子供たちに<売って>いたのは、チョコレートでもなければシールでもない。<大きな物語>そのものなのである。
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 カードダスもそういう流れを持っていたなあと書きながら思った。騎士ガンダムの第二弾シリーズ「円卓の騎士編」って当時もなんとなくわかってたけど元ネタは「アーサー王物語」だったしなあ、聖杯出てきたし。
 で、wikiでそれを見てたら第一章「ヴァトラスの剣」ってあって思い出した。当時小学三年か四年だったんだが、この「ヴァトラスの剣」っていう「ヴァ」が読めないというか人生で初めて「ヴァ」という文字を見てどう発音するのかわからなかった。


 そういえば「Life」の番外編「『ニッポンの思想』をめぐって」で佐々木敦さんが言ってた「大きな物語が帰ってくる」っていうのは上記にあるような<大きな物語>みたいなことなのか、どうなのかよくわからない。


 結局「魂ウェブ」でSDX スペリオルドラゴンってのがあってカードダスの事を思い出したんだった。このキャラクターは騎士ガンダムの世界では神みたいな感じだったんだよな、価格(税込):6,300円って高けえし!


 スペリオルドラゴンはてなキーワードが「騎士ガンダムのファンなら誰でも知っているであろう、神的存在。」だった。





SDX スペリオルドラゴン
http://tamashii.jp/item/item.php?eid=01162&pref=550


 今、みのもんたの朝のニュースで鳩山首相オタクエリート)が選ぶアニメベスト5ってやつでで一位が「千と千尋の物語」二位が「もののけ姫」って、ないわあ、どっちもつまんないじゃん、センス疑うなあ。「もののけ姫」の首返したら神さまが人間許すっていう終わり方観てからダメだ。意味ねえ物語で残念すぎて。しかしオタクエリートって、オタクエリートってたぶん政治家なんて仕事絶対に選ばないと思うんだけど。


 オタクエリートって庵野秀明さんと安野モヨコさん夫妻みたいなとこに生まれた子供のことじゃなかろうか。お子さんいるのかどうかは知らないけども。

定本 物語消費論 (角川文庫)

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ニッポンの思想 (講談社現代新書)

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SDX スペリオルドラゴン

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監督不行届 (Feelコミックス)

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