昨日は深夜に「文化系トークラジオ Life」の生放送を聴いて、寝れなくなったので村上龍「すべての男は消耗品である。 Vol.10 大不況とパンデミック」を読んだ。
二十歳になる前の一年は大学も辞めてセブンイレブンの弁当工場でバイトをしていた。あまりにも単調な生活とレーン仕事の効率化された職場で、友達もできたし遊んでいたけど職場としてはストレスが溜まった。
東京に上京する資金を貯めるためという目的があったので耐えられた。昼間は休憩室の畳の部屋で仮眠を取ったりできたが小説をずっと読んでいた。その頃ようやく村上春樹や村上龍といった作家は読むべきだろうと思って何冊か読んだ。僕は村上龍作品の方が好きだったと思う、その当時は。
今はどうだろう、どちらもすごい作家だということはわかったがすごく好きな作家さんというわけでもなくて、村上春樹さんの新作「1Q84」が出るので過去の長編の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」「ねじまき鳥クロニクル」も読んで、彼の影響が下の世代にいかに大きかったのかがようやくわかった感じだった。
村上龍さんは「半島を出よ」の文庫を買ったが未だに読んでなくて、少し読み始めたけどなんか合わない感じで読み進めれていない。。でも「すべての男は消耗品である。」シリーズは新刊が出ると読んでいる気がする。
このシリーズのエッセイは非常に読みやすいし比較的わかりやすく書かれているので好きだ。最初は男と女、セックスのことを書いてたけど、今は経済や社会情勢のことが中心になっている。それは龍さんの意識がそっちに向かわざるえないからだろう。でも自殺よりはセックスみたいな本も出していたような気もするが。
そういえば「無趣味のすすめ」も買って読んでた。どうも龍さんはエッセイだと読みたいというか買ってしまうんだが最近小説は読んでないなあ、好きな作家さんなんだけど、どうしてだろう。「希望の国のエクソダス」以来読んでないな。
「すべての男は消耗品である。」のあとには本当は「しかし自由である」というのが実は本当のタイトルだったらしいが、もはや男も女も消耗品でしかないという状態に陥っている。「自由」は失われたか? 奪われたか?
戦争などのことも書かれているが男が戦場に行くのはそっちのほうが人は続くからというのも大きいらしい。女性がたくさん死ぬよりは男性がたくさん死んだ方がまだ人類は遺伝子を残せるということ。
経済的な問題などから男はますますセックスもできないし、デートする余裕もないみたいな貧民層が増えつつあるとか彼はいう。自殺よりもセックス、でもセックスすらもムリな人に彼はなんと言うのだろう。
保険問題や医療問題がますます深刻に、崩壊すれば金持ちは海外に治療するなり会員制のクリニックで治療はできるが、低所得層は治療すら受けれないという問題が浮上すると。そうやって人の不安を煽っているという人もいると思う。
でも、最低な出来事を想定、想像してどうしたらそうならないかということを考える能力が国や制度を作る人間になければもはや最低な現実はやってくるし、僕らもそれを知っていなければそれらに巻き込まれて共に沈む。
そういう最低な状態を想像しつつ書いた小説が「希望の国のエクソダス」や「半島を出よ」らしい、そしてそれに似た出来事が実際に起きてしまうことがある。それは作家が現実を予感したというよりは最低な出来事が実際に起きてしまったという残念な気持ちの方が強いのだと彼は書いていた。
「ラブ&ポップ」は庵野秀明監督で映画化されて、日曜に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を観た時に昭和の歌が何曲も歌われていて、なんか聴いたような記憶があるよなって思ったらそういえば「ラブ&ポップ」のラストシーンで四人が渋谷川をバシャバシャ歩く時に主演の三輪明日美が歌うエンディング「あの素晴しい愛をもう一度」が流れててあれが頭のどっかにあって庵野さんそういうの好きなんだなあって思い出して感じた。
「ラブ&ポップ」@東京国際映画祭第20回特別企画「映画が見た東京」mixi日記より転載
2007年10月21日22:26
東京国際映画祭第20回特別企画「映画が見た東京」部門 庵野秀明監督「ラブ&ポップ」を昨日Bunkamuraにて観てきました。
内容↓
裕美は今時の女子高生。いわゆるコギャルだ。夏休みを控えたある日、彼女は仲間の知佐、奈緒、千恵子と一緒に渋谷へ水着を買いに出かけた。
ところが、そこで見つけたトパーズの指輪が欲しくてたまらなくなった彼女は、他の3人の協力を得て、デパートの閉店時間までにその代金をエンコーでゲットすることになる。やりたいことや欲しい物は、思ったときに始めたり手に入れたいしないとダメなのだ。
しかし、カラオケボックスでマスカットを噛んで欲しいというオヤジや、一緒にレンタルビデオ屋に行って欲しいという変態入った青年などなど、ひどい体験ばかり。
しまいには、キャプテン××のぬいぐるみと話すちょっと変わった青年と入ったラブホで、彼に暴力をふるわれ深く傷ついてしまう。
あとはエンディングに触れるので書きません。
制作から10年の月日が経っている映画。97年の渋谷。
僕は東京に来て6年目、さらに4年前の渋谷、僕の知らない渋谷。
よく行くシネマライズも10年前で周りの景色は全然違う。
コギャル、援助交際、様々なキーワード。
かつて漫画家・岡崎京子さんは「愛と資本主義」と書いた。
その岡崎さんのアシスタントもしていたこともある漫画家・安野モヨコは庵野さんの奥さんだったりする。
使い捨てカメラを持ち歩き、見たものを撮り始めた女子高生、そこからプリクラが産まれ落ちる。ポケベルの普及、連絡ツール、携帯への序章。
援助交際、テレクラ、繋がらないはずの他人、共通するツール、進化するテクノロジーを使いこなし乗りこなし破棄していく女子高生。
使い捨てカメラはデジカメに変わり、誰でも良質の映像を撮れるようになってしまった、プロとアマの差はそれで食えているか食えていないか。 ポケベルと公衆電話は消え去り、携帯電話とネットが普及した。
デジタルの急激な流れは経済を変え、個人の私語りを可能にした。
誰もが、そう僕も自分を語ることができる。誰かへ向けて、会った事もない人と繋がることのできる世界が今ここに在る。誰もが使える環境さえ揃っていれば。
それを可能にした背景がこの映画の時代97年辺りから派生しているのではないかと思った。間違えているかもしれないがそんな気がする。
メインの女子高生4人のうち1人は全然世に出てない頃の仲間由紀恵だったりする、ビキニになってたりとわりとそれがレアかな。
浅野(忠信)くんも出てたり、ナレーションは河瀬直美さんだったり、鳥肌実が声だけで出てたりとかする。エンドロール観ると豪華なメンツだね。
映画が終わり庵野監督と主演の三輪明日美さんのトークショー。
三輪さんは胸かなり露出してるんだけど、映画観るかぎり胸はなかったのだけどね、まあ妊婦だったので腹がすげえ出てた。
庵野さんはあのまんまです。イメージのまんまです。
三輪さんは撮影時代庵野さんにいじめられてらしく(そんな気がする接し方だったらしい)、監督いわく仲良くする気もないし、距離を取りたかったみたいだし、女子高生はようわからんと。
三輪さんは監督のことを宇宙人と思ってたらしい、冬でもサンダルだし、飯はサッポロポテトバーベキュー味しか食べなかったらしい。
当時出たてのデジカメでの撮影、体につけていろんなアングルからの画はその後の作品やドラマやバラエティで模倣されていく。
90年代が80年代の反復だと大塚英志氏は書いていたが、結局のところオリジナルを模倣するということは90年代以降当たり前になっていく、そして同時にサブカルであったはずの「エヴァ」がサブカルの領域を越えてメガカルチャーすらも呑み込んであるいは浸食していくという流れで時代を象徴するものへと変化した。同時的にサブカル宗教と言われたオウム事件などが起きるのが90年代であった。
だけど、未だにオウム事件は決着をしておらず、エヴァが復活するなど90年代が終わってないような気がするのは僕だけか?あるいは00年代も90年代の反復か?
なんだかビューティフルドリーマーみたいな感じだ、終らない日常だっけな、年齢を重ねていっているのに大人になれてないような気がする。なんだか子供頃に思っていた大人がどこにもいない。
映画に話を戻そう、最後の渋谷川でのシーンはフィルムで、それが切れるまで撮ったらしい、希良 梨はまじでむかついてたらしく、どぶ川でかなり水しぶきが上がっているとか撮影秘話も話してくれた。
監督曰く、今現在、仲間にこれやってって言ったら絶対やらないだろうなと、売れるとは思ってたけどあそこまでの大物になるとは思わなかったらしい。そこで場内大爆笑でした。監督見る目ありますよ。
監督は三輪さんが泣くシーンの時には近寄り、楽しいシーンでは離れていたという。指示は基本的に与えない演出だったみたい。本物の女子高生が出てるんだからそのままで撮るべきだと庵野さんは思ったらしい。
やっぱり最後のエンドロールのシーン。
渋谷川を歩く四人の女子高生、主演三輪明日美の歌う破壊力のある「あの素晴らしい愛をもう一度」、なんだかシーンとしては好きだ。
なんかいいんだよね、最初に庵野さんは三輪さんのデモを聞いた時に恐ろしい破壊力のある歌唱力で決めたらしい、ほんとにヘタくそすぎる。
最後にまた実写撮りますかと聞かれた庵野氏はエヴァもやらないといけないし、エヴァ終ってもアニメでできるところまではやると。今アニメをしてないと日本のアニメに将来はないから自分ができることはしておきたいと言っていた。
そう、あの夏の日から10年が経ち、00年代のエヴァが始まった。
エヴァの終らない夏、エヴァでは環境問題とかで世界はずっと夏であって蝉がずっと鳴いている。鳴いている、日々が終らないと。
あの夏を終わらすために、新世代へのメッセージを送るために庵野氏はエヴァをまた物語るのだろう。
一分二十秒ぐらいからエンディング。
庵野秀明監督「式日」
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20081117
すべての男は消耗品である。 Vol.10 大不況とパンデミック
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