Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「夕方のおともだち」

 パブロフの犬、うぉん!(古川日出男的犬の鳴き声)つうことでいつも通りに本屋に行くと山本直樹「夕方のおともだち」という短編集が出ていた。前に出ていた「明日また電話するよ」に続く山本さんが選集したもの。
 短編集って小説も漫画も作家性が濃厚な気がするので好きだ。ここに描かれているエロさって遠いくもないし近くもない、でも嘘でもないようなフェイクのような、現実と白昼夢の子供みたいな作品。


 汗だくの肉体や濡れる女性器、射精する男性器、の表現はやっぱり山本漫画エロティズムでそこに付随する物語が現実感あるのにどこか白昼夢。


 生物が水の中から発生したからか、生殖行為は「水」が関係するのかもしれない。


 前に出た「明日また電話するよ」と同様に短編集で恋愛よりはセックスのことを描いている。僕はこういう短編集はかなり好き、エロさが上手く表現されてる方が人間らしくて生きている感じが濃厚にする。


 エロとか否定するような人が読んだ方がいいのかも、ムッツリとか。人生観変わるかさらに否定するかはその人次第だけど。


 生きている限り人間はエロいことと切り離せないんだって読みながら思う、だからエロさを肯定するんだけど。

夕方のおともだち (CUE COMICS)

夕方のおともだち (CUE COMICS)


 次回24日の文化系トークラジオ「Life」のテーマは「現代の現代思想」に決まったみたいです。ゲストが東浩紀さんだからなのかな。


5月24日放送の「Life」予告編 「現代の現代思想
http://www.tbsradio.jp/life/2009/05/524life.html


 電話で参加したcharlieがなんとなく弟キャラみたいに聞こえるのは僕だけか?弟キャラ萌えを狙ってたりして。


 「思想」
 (1)人がもつ、生きる世界や生き方についての、まとまりのある見解。多く、社会的・政治的な性格をもつものをいう。
 (2)[哲][thought]単なる直観の内容に論理的な反省を施して得られた、まとまった体系的な思想内容。
 (3)考えること。考えつくこと。


 帰ってから読みかけだった「リアルのゆくえ」を読み終わった。「秋葉原事件」後の語りおろしの大塚英志×東浩紀対談での東さんの立ち位置の変化と大塚さんにおける宮崎勤事件のことを、どちらも彼らにとっては同世代というよりは少し下というか完全に同世代の事件ではないけど背負うことになっていったのが改めてわかった。


 確かに「秋葉原事件」が起きてしまったことで加藤容疑者と同世代(僕とかの年代)の批評家とか東さんよりも下の「ニート・フリーター論壇」が出てきやすい、注目されやすくはなったなって。
 そこからどう言葉を発言していくとか大事なことだろう、「社会性」を持てるかどうかとかそういうことなのかな。


 「思想」ってことで考えると僕は単なる大塚英志ファンで小学生の頃からだから下手したら二十年とか作品を読んでいて、「宮崎勤」も「連合赤軍」も大塚さんの著書で知った。と考えると僕の「思想」に大塚英志さんの影響はかなりあるのかもしれない。
 物語を創りたいとかそういう影響はもろに受けているし。なんだかんだ好きな漫画家さんとか彼が関わってたりするし。


 僕が文化系よりなのは思いっきり大塚英志関連の本の影響だなあ。「思想地図」の新しいのは出るのに「新現実」は新しいの全然でないのが気にはなっている、出ないんだろうけど。
 影響を与えられると人生観とか生き方が変わるからやっぱり「思想」にも影響するだろうし、小学生の終わり頃から大塚英志野島伸司作品に影響を受け始めて、二十代半ばで園子温古川日出男作品に出会ってまた影響受けてって「思想」もだいぶ変化してミックスされてんだと思う。


 そういう影響を自分の配合でリミックスしてごちゃ混ぜにして自分の中で形作ると「思想」になったり、個性になるのかな。


 古川日出男著「ハル、ハル、ハル」のレビュー(昔mixiに書いたやつ)

ハル、ハル、ハル

ハル、ハル、ハル


 暴力的な表現は、彼の文章は世界と対峙し、
 胎児でなくなったもの全ては世界と対峙する。


 彼の文章は対峙し対決姿勢であることの表明だろうし、
 世界と対決する雰囲気が炸裂してる。


 速度という武器、絶叫、飼い馴らされた感情、疾走、
 希望も絶望もない日常。


 世界にレイプされる自分、
 Rape Meって歌うことでしかレイプ根絶に対して
 表現できないって感じたカート・コバーンみたいな
 叫びなのか。とか思ってしまった。


 犯され続けてそのうち殺されてしまう前に
 世界に圧倒的な他者に牙を向けるという自発的な意志を
 持つ作家が古川さんなんだろうな。


 確実に好き嫌いが分かれる作家。


 何の疑問もなく生活できる人には毒にしかならない、
 逆に疑問だらけの人には起爆剤になってしまう。


 そんな感じの文章と物語、と速度と暴力。


 炸裂して疾走しろ、ハル、ハル、ハル。

「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義 (角川文庫)

「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義 (角川文庫)