Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「無謀の季節(RP-HJE700)」

 朝バイトから帰って速攻で干した洗濯物は昼過ぎに起きたらすっかりと乾いていた。で渋谷に行って今年初の献血。のんびりと血を抜いた。献血は年に三回しかできない(400ccだと)ある意味趣味だ。いつもは映画を観た後にするのだが、時間があったので先に抜いといた。本屋で立ち読みしてたら「革命待望!―1968年がくれる未来」のがあって少しだけ立ち読みした。


 それから専門の同級生の高塚とシネセゾンで待ち合わせした。16時からの回を観に行こうと二十分前に集合してエレベーターに乗って映画館に行くとですね、人がめっちゃいる。普通に混んでる映画館を久しぶりに観たような気がする。
 基本的に映画観に行く時は平日の初回だから。観に行った映画はアカデミー賞受賞の「スラムドッグ$ミリオネア」だった。で、並んで券を買おうとしたら残り一席ですという聞いたことない言葉を言われたので諦めた。それから新宿に行って観ようかと話したんだけど、結局そのまま渋谷でクリント・イーストウッド監督「グラントリノ」を観る事にした。ここもわりとお客さんがいた。土曜日の夕方って映画館にお客さんいるんですねっていう当たり前のことを感じた。



「グラントリノ」公式
http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/#/top


 ストーリー
 朝鮮戦争を闘ったコワルスキーは、妻を失い子供たちにも邪魔者扱いされつつ、今は東洋人の町となった通りで隠居暮らしを続けていた。友もなく外国人を毛嫌いしていた彼の家に、ヴィンテージカー「グラン・トリノ」を盗みに隣家のモン族の少年タオが忍び込むが、コワルスキーの構えた銃(M1ガーランド)の前に逃げ去った。その後なりゆきでタオの姉を愚連隊から救ったコワルスキーは、彼ら家族の暖かさに親しみを覚え、タオに一人前の男として仕事を与えてやろうとする。


 という流れですね。この町には白も黒も黄色もいる。ふつうに黒人に「クロ」っていうし、東洋人には「イエロー」というコワルスキー。冒頭は淡々と進んで行く感じです。タオと姉のスーとその家族と触れ合うことで孤独な頑固ジジイが次第に人間味を帯びていく。
 タオの従兄弟とそのツルんでいるなんだろ、何ギャングだろう?との関係からタオやスーを遠ざけようと行動したことで彼らが報復にあってしまう、コワルスキーは彼らの元へ乗り込んで行く。
 という話だけどだとわりとわかりやすい展開ではあるんですがなんせ観やすい流れ、なんか説明台詞的なものに何度かあったりするんですが最後の方はすすり泣きが周りから聴こえました。終わった後は目の周りが濡れている人が多いようでした。


 僕も泣きかけましたが、隣がすでに泣いていたので涙が零れるほどにはなりませんでした。子供達や孫との関係をうまく築けずにひとりぼっち彼がもう時間のない人生の最後に交流することになった隣の家族、文化や人種も違う彼らといるほうが居心地がよくなる、遠くの親戚よりも近くの他人。
 コワルスキーは咳き込むと血を吐いていて人生がもう長くないことが描かれ、隣人であるタオはまだどう人生を始めるべきか悩んでいる。彼はタオを一人前の男にしようと思う。だからこれは終わりと始まりが同居している。そこに含まれる展開や伏線がクライマックスに涙が流れるものになっている。


 ギャング達に報復を受けたタオとスーの家族、家は外からの乱射でタオは首を銃弾がかすり怪我をしてしまう。姉のスーは強姦されてしまう。復讐しようとするタオをなだめて地下室に閉じ込めて彼らの元に乗り込んで行くコワルスキー。彼は朝鮮戦争で人を殺したこと、人を殺すことほど最悪なことはないと知っている。タオ達を本当に守る為にどうしたらいいかと考えて行動する。タオを閉じ込める前に髪を切りに行ったりスーツを新調したりする。


 乗り込んで行くラストの方のシーンでは彼の思いが伝わる。肉を切らせて骨を切るという方法を選ぶ。カッコいいんですよね、イーストウッドがね。でも監督・主演だと思うと美味しいとこ全部持っていくなあってのもある、最後は主題歌少し歌っているし。最後は遺言により家族ではなくタオに譲り渡されたグラントリノという引き継がれて行くものという終わり方。コワルスキーの愛犬も車に乗ってたけど。で行く前に新調したスーツを棺桶の中で着ている、覚悟をしていたことを表す衣服。


 すごく変わった感じの映画ではないけど丁寧に作られている感じがした。だから観てる人の気持ちが最後には涙になってしまう。一言言えばイーストウッドの一人勝ちな映画でもあるけど。アメリカという国の現在というか、黒人初の大統領オバマが誕生したように、アメリカは様々な人種が混ざり合いながら成り立っている国、雑種である国。だからこそ強いし、問題は根深い。
 混ざり合う事での多様性の強さがありながら、決してわかりあえない文化面の違いや差別が露呈される弱さがある。そういう部分も少なからず描かれている。


 違う人種が一緒に住むということ、人種が違っても仲良くもなるし友達にもなれる。しかし、自分の同胞に混ざる異物を嫌悪して同胞すらも傷つける勝手な同族意識。結末を考えるといい映画だったとは言い切れない、スーとかその後の方が心配だし、タオは男になったような感じでグラントリノも受け継ぐからいいとしてもね。あとどんだけ銃社会なんだよアメリカという僕の知らない世界の怖さもある。


 終わった後は代官山のAirの近所のpile cafeという何度か通り過ぎたことがある場所で軽く飲みながら話をした。今日は(もう昨日か)「ライムスター宇多丸のウイークエンド・シャッフル」(http://www.tbsradio.jp/utamaru/index.html)の「ザ・シネマ・ハスラー」で「スラムドッグ$ミリオネア」らしい、ので余計に観たかったのと、前々回の「ザ・シネマ・ハスラー」でキム兄の「ニセ札」を酷評していたことを聞く。でそれを聴きながらこれを書いている。ポッドキャストってそういう意味で何度も聴けて便利。


 聴いてたら宇多丸さん「グラントリノ」観に行きたいけどサイコロの目が出なくて行けないみたい、実際には一度観に行っているみたいだけど目が出ないとラジオでは話せないから。宇多丸さんがギャラクシー賞受賞されたみたいですごいですね。


 TBSラジオ強しって感じですね。ギャラクシー賞繋がりで「文化系トークラジオ Life」に宇多丸さんが出た回↓。
2008年4月27日放送「表現する人・したい人〜一億総クリエイター時代?」Part1から番外編2まで。
http://www.tbsradio.jp/life/2008/04/post_59.html
http://www.tbsradio.jp/life/2008/05/part_1.html
http://www.tbsradio.jp/life/2008/05/2008427part3.html
http://www.tbsradio.jp/life/2008/05/2008427part4.html
http://www.tbsradio.jp/life/2008/05/2008427part5.html
http://www.tbsradio.jp/life/2008/05/2008427.html
http://www.tbsradio.jp/life/2008/05/20084272.html


 酒を飲みながら話をした。東京から帰る人とか身近な人のこととか僕らがしたいこととかこれからどう動いて行くとか、で知り合いの知り合いは知り合いだとか、やっぱり世界は、ごく限られた世界に足を突っ込むと世界は狭いなって思うっていう。
 映画とか出版とか少しでも誰かと関わると色んな人に繋がっているのを感じる。世界は飛び込むとやっぱり思いのほか狭いんだってことが頭でわかってくる。でも、そこに僕のポジションがあるわけではないので他の場所で力を付けたりそこでの関係性を持つ事でポジションなり居場所ができるんだろうなって話しながら思った。専門の仲間と話すと何をどうしていこうかとか明確にわかるというか考えられる気がする。


 歩きながら246を下って家に向かって行った。シャッフルで古川日出男さんことフルカワヒデオプラス「無謀の季節」が聴こえてきた。インナーイヤフォンを買い直してから初めて聴いた。古川さんの朗読の声とバックで演奏される音がとてもクリアで前よりも朗読の声が近いと感じる。より生々しさが伝わる。ライブで観た時のような臨場感があって、イヤフォンの性能に驚く。


 帰ってから「青春リアル」(http://www.nhk.or.jp/ss-real/index.html)を見る。テーマは「新人教師ってどう?」だった。「グラントリノ」では教会の牧師が神学学校出たぐらいの27歳の青年だった。冒頭の方では彼が生や死を語ることにコワルスキーはいい気がしないようだった。
 

 仲俣さんと佐々木さんで「忌野清志郎」さんのことを「Life」で話して欲しいなって思ってたら早速してた!さすが仕事が早い。
 仲俣暁生さん×斉藤哲也さん×長谷川(黒幕)さん×鳥山Dさんで。前のバイトの店長さんも行ってたみたいで日記に書いてた。今日渋谷の上空でヘリコプターが飛んでいたのは「ロック葬」の空撮のためだったんだろう、しかし今日は雨上がりで最高に晴れててよかった。


「葬儀の日に清志郎を語る」
http://www.tbsradio.jp/life/2009/05/post_109.html


 起きたら「ザ・シネマ・ハスラー」で「スラムドッグ$ミリオネア」が更新されていた。宇多丸さんからは辛辣な意見だったなあ、アカデミー賞取ったのは色んな事の反動であるっていう。現在のアメリカの映画業界の反動からで数年後にはもしかすると取らせた事を疑問視するようになる可能性があると。


 監督のダニー・ボイルの演出が雑なのが気になるみたい、後はご都合主義MAXになっていく青年期にツッコミ。


 主人公と兄がいて、変わりゆくインド(資本主義化していくインド社会)で快楽主義になっていくシャドウ(シナリオというか物語構造としては主人公に対するキャラクターがそう呼ばれる。「スターウォーズ」だと主人公アナキンに対する父であり悪の象徴・ダースベーダー)の兄ですら薄い、グレていくのに改心したりするのがなぜかとかあまり描かれない、主人公以外は薄いというのが大問題としてあるみたい。これ聴いたら観に行く気が薄れるなあって思います。


 比較として出されたのは「シティオブゴッド」と「グラントリノ」だった。で次回の「ザ・シネマ・ハスラー」は今回でも触れた「グラントリノ」でそっちの方を観たので早く聴きたいなって思う。


 「ミリオネア」で主人公がテレフォンで彼女に電話通話したらもうそこでいいじゃんってツッコミを聴くとそりゃあそう言われるわなって。


 ダニー・ボイルに対して「もう彼は一発屋じゃない(トレインスッポティングのヒット)、二発屋だ!」は笑った。でも、観てみたいとは思うんだけど先に「上島ジェーン」を観に行こうって思いました。

革命待望!―1968年がくれる未来

革命待望!―1968年がくれる未来

MUSIC: 無謀の季節

MUSIC: 無謀の季節

パナソニック ステレオインサイドホン 密閉型 シルバー RP-HJE700-S

パナソニック ステレオインサイドホン 密閉型 シルバー RP-HJE700-S

シティ・オブ・ゴッド【廉価版2500円】 [DVD]

シティ・オブ・ゴッド【廉価版2500円】 [DVD]