Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「アンラッキーヤングメン」

likeaswimmingangel2008-11-23

少年メリケンサック」公式サイト
http://www.meriken-movie.jp/


少年メリケンサック」にエキストラに行った時のブログ↓
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20080410


 公開が来年の2月14日かあ、三ヶ月は切ってるけど撮影からすると11ヶ月後に公開か。撮影してから編集して公開だけどそのスパンは短くはならないものなのか。編集で時間もかかるしおそらくは公開待機作品が何本もあるからその分公開まで時間がかかるんだろう。そのうち編集したらパソコン配信してすぐに公開みたいな作品も出てくるんだろうけど。


 エキストラは最終のライブシーンの客だったけど、田口トモロヲさんはカッコいいと言うかパンクな匂いのするオヤジだった、とても良い意味で。
 佐藤浩市木村祐一が兄弟役なのかな、佐藤浩市さんはシド・ヴィシャス風の感じで悟空みたいな髪型だったな、本人としてはきっと楽しいと思った。いつも二枚目のできる上司役とかばっかりだから、弾けさせてもらうほうが楽しいだろうと。
 木村祐一さんに関しては一度「写術」を恵比寿で観て面白かったけど中途半端に役者できるからなあ、「ゆれる」とか。
 ドラムはグループ魂の石鹸こと三宅弘城さんで普通にドラムしてた、この人ナイロン100℃の人だけどマネージメントは大人計画という変な感じ。
 勝地涼はどう考えてもおいしい役で宮崎あおいの彼氏だし最後のライブシーンでかなりおいしい所をもらっているのはやっぱりクドカンは一度自分の作品「未来講師めぐる」に出ていいなとか思うとおいしく使う感じがする。


 90年代ってトレンディドラマとかの流れがあって、脚本家だと野島伸司北川悦吏子三谷幸喜という人たちがドラマ界を席巻していて今よりもみんなテレビを見ていたから脚本家の名前も多少は知っていたと思う。三谷さんは舞台の人だけど。


 00年代で一般の人でも知ってる脚本家って宮藤官九郎さんぐらいなんじゃないかって思う。宮藤官九郎が出てきた背景に三谷幸喜さんがすでにドラマで脚本を書いてたのはデカイとは思うんだけど宮藤官九郎所属の大人計画の主宰である松尾スズキさんはドラマには向かないし映画がギリギリラインだと思う、松尾スズキさんの舞台を観ればわかるけど破壊力的にテレビじゃあきつすぎる。笑わせるけど、実は全然笑えないことだったりとかそういう人間の悲哀とかをブラックな笑いでコーティングしながらも人間の本質を描き出す人だからテレビ向きじゃない。

 
 その点宮藤官九郎さんはポップな流れで物語を構成しているし台詞が速いテンポで00年代の空気感に合っていたと思う。そして時代的な流れに合ったのだと思う。脚本家として連続ドラマデビュー「池袋ウエストゲートパーク」の主演者を考えればわかるがあそこに出ていた人、脇役だった人が今や主役をはっている。


 元々人気があった長瀬君(もう30らしい)は置いといてもその後一気にブレイクしてベランダから飛んだ窪塚洋介(僕はすごく好きな俳優さん、空気感がいい)さん、鼻にピアスをあけていた坂口憲二にいたっては今はさわやかな人だ、サルと呼ばれていた妻夫木聡は完全に主役で来年の大河ドラマの主役だし、最後に殺されてしまうシュン役だった山下智久、そのシュンの彼女役だったのは今や歌手の安藤裕子だった。


 時代的な流れというものを大きさを考える時にこの作品はいい例になる。何かわからないが大きな力が働いてそこから、それが終わってからそこに居た人たちが注目され始めるということは偶然ではない。
 互いに知らない間に上へ次の段階へと引っ張っていると言える。だから同じような意志を持った人間だったり集団においてその中の一人が上へ上がり、上がろうとする時に周りは知らずと自分も変革させていく。
 ある種の感覚が変わる時期や時代の節目にはそういうことが起きている、知らない間に、本人たちもわからないうちに。だから大きな変化の前にそういう集団にいる、近くにいるということは大事だ。


 大塚英志氏は実力も大事だが(それは漫画家にたいして言ったのだったけど)その時その場所にいるということが実力以上に大事な時があると書いていた。その場所にいるからこそ何か次の展開があるということ、それを運と言えば運かもしれない。運は実力とはまた別のことで、運も実力の内というのは嘘だ。運と実力は別の要素で、どちらも必要だ。
 例えば東大に余裕で合格する学力があるのにその日事故に遭って受験できなかったやつは運がないだけで実力はある。受かるかどうかギリギリのやつがいて前出のような運がないやつがいてそのおかげで受かるやつは実力はそこそこで運があったといえる。


 大事な時にその場所にいれるかどうか繋がっているかどうかが何をするにもデカイ、たまたまそこにいただけで人生が変わる時がある。その時は実力もなにもできなくてもそこにいた事から始まることがあるはずだ。


 大きな流れが起きる前にそこにいたいし、そこにたまたまでいいから居れるようになるには嗅覚が必要だ。


 大塚英志アンラッキーヤングメン」は三億事件がモチーフだけど、映画監督を目指す売れないコメディアンがどうみても北野武さんがモデルにしか見えない。あとこの作品の感じが中上健次の匂いがうっすらとする。学生運動とか革命とかいろんなモチーフがあるけどその時にその場にいたから巻き込まれたりもするし自らの意志でそこから出たり入ったりもする。


 古川日出男著「13」を読むのを再開したのだけどこれってデビュー作だよな、これが。10年前でしょ、16歳でこれに出会ってもきっと読もうと思わなかったとなぜだか思う。で10年後の2008年に「聖家族」が出たわけです、作家としての10周年のアニバーサリーに。
 出会いの時期ってやっぱりあって、磁気に引き寄せられるようにそういう時期ってあるんだろうなあ。色んなものを読んだり観たり聴いたり触ったり感じたりした、通過したから感覚として理解できたり畏怖したりとかできるだろうな。それにしてもデビュー作でこれ出すかなあ、デビュー作がその作家の資質と言うかその後を大きく暗示しているとは聞くけどそれにしても異質すぎる。


アンラッキーヤングメン 1 (単行本コミックス)

アンラッキーヤングメン 1 (単行本コミックス)

アンラッキーヤングメン 2 (単行本コミックス)

アンラッキーヤングメン 2 (単行本コミックス)

聖家族

聖家族