Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

古川日出男ナイトvol.7

likeaswimmingangel2008-10-12

 六本木に行く、ABC(青山ブックセンター)六本木店へ。毎回ここに来るのはイベントのサイン会に参加するための本を買いに来て、イベントに来るというだけで申し訳ないのだが。
 「聖家族」刊行のイベントの一つ、古川日出男ナイトのvol.7を観に。前回のvol.6を初めて観に行って古川さんの朗読を生で体験した。vol.6は文庫「ベルカ、吠えないのか?」の刊行のイベントであった。ので、朗読は「ベルカ、吠えないのか?」の一部分とスティーブ・エリクソン「アムニジアスコープ」の一部分だったと思う。


 始まるまでは店内をうろうろ、「古川日出男さんの本棚」というコーナーがあり、古川さんが選んだ国内外の小説などが置かれひとつずつに古川さんのコメントがしてあった。図書カードが二千円分あったので何か買おうと思って物色していた。大江健三郎「芽むしり仔撃ち」「同時代ゲーム」かスティーブ・エリクソン「アムニジアスコープ」「黒い時計の旅」、江國香織「雨はコーラがのめない」「思いわずらうことなく愉しく生きよ」のどれかにしようと悩んで店内をまたうろちょろ。


 あんまり外国の作家って読まないのでスティーブ・エリクソンにした。僕が持ってて好きな外国の作家はレイモンド・カーヴァーチャールズ・ブコウスキーぐらい。気になっていた「アムニジアスコープ」にした。しかし、たけえよ、「聖家族」は二段組で700枚を越えて税込みで2730円だけど、三分の一ぐらいの枚数で2940円って。なんで翻訳物だからなのか、わからない、謎だ。


 新刊コーナーを観ていると江國香織新刊「左岸」っていうのがあって、その隣りに辻仁成新刊「右岸」というのがあった。「冷静と情熱のあいだ」のようにお互いが男側と女側の目線で書くというものらしい。けっこう気になるんだけど、これもチラ観したら二段で500とかけっこうな枚数で、二冊あるしなあ。いつか読もうとは思う。


 19時頃から古川さんが登場して少しだけ「聖家族」について話してから朗読。「聖家族」の東北弁で書かれてその後に標準語で書かれる「羅刹」についてのあたりを。それから次回作である「LOVE」の続編である「MUSIC」について、一年ぐらいは小説出さないと、一番驚いてたのが古川日出男ナイトを企画しているABCの店員の司会と言うか進行をされている人だったような気がする。
 かなりの枚数書いているが最初から書き直すみたい、実際に出される小説の影にプリントアウトだけされて山積みになって籠城できるぐらいの枚数があるみたい、だから実際に出されるものは研ぎ澄まされて凄いのだろう。


 「MUSIC」は東京と京都の二都が舞台らしく、この間京都での朗読で「京都」のところを朗読したので、ABCでは「東京」の部分を朗読、しかしその読まれたもののどのくらいが実際に活かされて残るかは来年刊行されるまではわからないみたい。聞いているとどうやら「LOVE」の登場人物シュガーのその後と「うさねこ戦争」というものについてだった、本当に続編みたい。
 読んだことないものを目の前で朗読されると聞きながらイメージしないといけない、小説を読んでイメージするのと違う、聞いて入ってきて意識的にイメージする、新しい小説の読み方、聴覚で小説を読むっていう。


 新作が出るのが来年の今ぐらいだとして、それまでに今までに刊行されて読んでなかったものは読めるなあ。確かに書くことに集中するために時間は必要だろう、古川さんも時間がかかると言っていた。いろんな要因が絡んでくるみたい。


 終わってからサイン会になって、僕は挑戦者求むでサイン入りの「聖家族」をもらっていたのだけど、友人にあげようと一冊買っていた。しかも、1番だった。古川さんに挑戦者求むで実はサイン入りの本をもらっていてということと自分の名前を告げると「ああ君か」みたいな顔になって、友人の夫婦の名前を入れてもらった、奥さんが妊娠していて来年には家族になるから「聖家族」っていいなと思って、まあ妊娠中に読むのがあまりお勧めできない内容ではあるのだけど。

 
 サインしてもらいながら古川さんから「あれ読んだよ」って言われて。以前のエクス・ポナイトvol.2の時に自分の書いた小説を焼いたCD-Rを読んでくださいと渡していた。今でも思うけどかなり無謀なことをしてるわけだが、本物の作家さんに自分の書いたやつを読んでくださいってかなり頭の痛い子の行動ををしている、あの時は書いて渡すってことを自分の中で決めて書いてたし、何とか自分から動いて自分の何か変えようとしていたのだから、痛い子になっても仕方ないとは今は思える、渡された側は迷惑だとわかっていたけど。


 内容というか展開というよりももっと、段をすぐ変えないで狭めれたらもっとページ数が減って、その減ったページ分にエピソードを3つぐらい入れないと印象が弱いってことと、あと何が足りないかは自分で見つけないってアドバイスをしてもらう、文章はいいって言ってもらった。
 何だが本当に読んでもらえて嬉しいんだけど、忙しい中時間を割いてもらって読んでもらったことが非常に申し訳なく思えて、嬉しいのと申し訳ないのが同居するという複雑な心境になった。


 最後に「もうアマチュアのは読まないよ」って言われて、そうだよなあ、また懲りずに読んでくださいって来られても迷惑だし、読んで感想まで言ってくれる優しい人だからなあって僕は思った。でも、その時の古川さんの顔はやんわりとしていて優しい顔で、その言葉の中にレベル上げろよってのも感じられたし、こっち側に来るなら読むよって意味にも取れて、まあ僕の都合のいいように取るのは僕が進むためなんだけど、諦めの悪いままになんとか進むしかないよなあって。帰りの電車の中でZAZEN BOYSの4thアルバムをシャッフルして聴いていた。最寄りの駅に着いて地上への階段を上ると風が冷たくて強かった、もう秋が冬に溶けこんでいるみたい。


アムニジアスコープ

アムニジアスコープ

左岸

左岸

右岸

右岸

聖家族

聖家族