Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

Good Times Always Come To an End

 スイッチ・パブリッシングから刊行されている雑誌「coyote」を深夜の三軒茶屋のツタヤの本屋で見かける。
 一度も買ったことはないのだが特集が「Go! Go! Oregon」で表紙の下の方にレイモンド・カーヴァーの名前があり手に取った。
 

 僕がレイモンド・カーヴァーを初めて知ったのは映画の専門学校時代のシナリオのゼミだった。
 我妻先生のゼミの授業でシナリオのプロットを提出するのだが、その時に僕が書いたプロットを読んで先生はダメ出しと先生の意見を述べた上で短編を書いたり勉強するならレイモンド・カーヴァーの「出かけるって女たちに言ってくるよ」を読めと言われ従順だった僕はすぐに買って読んだ。


 カーヴァー作品を読むことで短編小説のおもしろさがわかって短編作品が好きになった。明るい作品はあまり多くないしアルコール依存症だとか、これは著者の経験からだ。出てくる人物もカーヴァーを思わせる人が出て来たり、内容的には暗い、失業していたりとか、なんらかの問題を抱えていて人間の暗闇の部分に焦点をあてたものが多い。しかし短編集は短いがそぎ落とされた文脈といい、短編の名手と言われるのは必然だと思えた。


 僕がきちんと読んだ外国人作家はカーヴァーとチャールズ・ブコウスキーぐらいだ。どっちもアウトローな作家かな、僕には真似の出来ない、したくないけど。生活が安定してる時期が少ない作家でもある。
 どちらも職を居住地を転々としているし、問題を抱えている。どっちもアルコール大好きだし、作品に著者の分身であるような人物が登場する。彼らは日々の中で感じた、起きた出来事を短編にしている。


 雑誌にはカーヴァーの息子が出ている。写真家・若木信吾さんのカーヴァーの生誕地などの所縁のある場所の写真はなにか文学的な匂いがした。こういう写真好きだ。

 タイトルの「Good Times Always Come To an End」はカーヴァーの生誕地クラツカニーの図書館の裏に立てられた記念碑に刻まれている言葉。
 「楽しいときにはやがて終わりが来る」という身もふたもない事実、カーヴァー作品に漂う空気を象徴しているような言葉だなと思った。またカーヴァー読み直そうかな。

Coyote No.28 特集:Go!Go!Oregon

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愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー)

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町でいちばんの美女 (新潮文庫)

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