08年の本屋大賞が伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」に決まりました。ファンとしては嬉しい限りです。
以前本屋でバイトしてる時に店長に何がいいと聞かれ伊坂作品「魔王」に投票してもらいました。その年の一位は「東京タワー」でしたが。
「ゴールデンスランバー」は伊坂作品の中でも一番長く一番伏線や展開の多い作品です。僕は発売してすぐに買って読みましたが、読み終わった後に「すごい」と言って笑い出してしまいました。すごいと人間は笑ってしまいます。
伊坂作品は刊行されているものはほぼ読んでいますが、この作品は上位に入ってます。
「アヒルと鴨のコインロッカー」「重力ピエロ」は好きだし、伊坂作品始めて読む人には勧めます。「アヒル〜」の映画化は大成功です、映画としてもすごくいいものだし、小説の優しくて哀しい物語がきちんと映画になっていました。「陽気なギャングが地球を回す」の映画は残念きわまりなかったですが。
「重力ピエロ」は加瀬亮主演で映画化です。小説は伊坂幸太郎をメジャーにした代表作ですし、ファンも多いのでいいものを期待したい。加瀬君なら演技の面でダメってことはないだろうから、監督と脚本家の腕次第でしょうか。
本屋大賞三位には森見登美彦「有頂天家族」でした。毎年伊坂さんと森美さんはトップテンに入りますね。本屋でバイトしてたのでなんとなく買う購買層はわかってましたが、伊坂さん好きだとだいたい森美さんは好きなはずです。
本屋の店員にファンが多いこともポップ等作って読んで欲しいと思われる作家さんなので地道に売れて行ったはずです。去年は森美さんの「夜は短し、歩けよ乙女」二位でしたし。二人ともデビューが新潮社からだったりもする。
伊坂さんは仙台、森美さんは京都が舞台が多いです。映画だと「松ケ根乱射事件」「サッドヴァケーション」「腑抜けども悲しみの愛を見せろ」等も地方が舞台でした。
東京ではなく地方を描く、そこでの人間性や状況によって今の日本が見えているような気がします。東京が中心であることは間違いないけれど、地方での人間関係や事件を描くことが今の日本のリアルでもあるような気さえしてきます。東京はどこかフィクションさを感じることがたまにあります。
世間体という神様が未だに支配し、人間関係も都会よりは密接なだけに摩擦が生じる、そこにやすらぎも優しさもあるが、そうでない場合はそれが原因で事件や不幸な出来事は起こる。
地方の方が人間の喜怒哀楽を出すことで物語れるということもあるだろうし、社会の構図を見ることも出来るのかもしれない。
青山真治監督「サッドヴァケーション」は映画も素晴らしいが、映画よりも前に出た小説は読んでて凄かった。切っても切れない血と血の繋がりと地方における人間の関係性、この作品は母性の強さが全面的に出ているが読んでてすごく生々しかった。
「ゴールデンスランバー」も映像化するのか?仙台で総理大臣を殺した汚名を着せられて仙台を逃げ回るという内容の作品だけど映像化は難しいと思う、というか映像化しないでほしいとファンとしては思う。
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