Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『魚類を喰らう』


 星海社から出る白倉由美さんの『僕らの惜春』の装丁画像が出てた。貞本さんか。なんか昔出てた『新現実』を思いだすが。 たぶん、買う。



『魚類を喰らう』
午前八時前、風が強く吹いている
小雨みたいなものは降っていなかった
空を見上げるとなにか落ちてくる
光るペンダントを持つ少女なんかじゃなかった
イカだった
どこからって空から落ちてきてコンクリートにベチャって
今度はイワシが五匹落ちてきた
どんどん魚類が落ちてくる
ビチャビチャとコンクリートを叩く
魚の大きさはどんどんデカくなってきて
カツオはさすがに当たったらヤバいと逃げた
空って海だったっけ
海のない街に魚類の群れが
上空を黒い翼の集団が旋回して
舞い降りてくる
カラスが魚類を嘴でつつく
イワシをどんどん飲み込んでいく
落ちてくる魚類を黒い鳥は避けながら食べ続ける
こんな世界間違っている