Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『誰もいない』

あらゆるものの角度、
過ぎ去っていく面影、
世界は平等ではないと言い切った君の横顔、
いくつかの事柄が複雑に噛み合った結果、
そこには僕しかいないのに、僕以外のすべてがあるような錯覚、
いや、確かにあるのだ。
この今の時間と同様に存在している過去の時間と未来の時間が。
トリックアートのように左右縦横が繋がって循環していく、
それも錯覚の一部だけど。時間は進んでいるのにレイヤーはいくつかある。
だから、誰もいないような街角に立っていて今以外の時間での人々が見える、
皮膚の感覚でわかる。
君も大勢の中にいて溶け合うのが嫌だから。個が奪われたくないから、
ひとりでいることが多い。故にいろんな時間の中に存在している。
横顔だけ残してふいに消えて、でもいたる場所に居る。