Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「アクロス・ザ・ユニバース」

likeaswimmingangel2008-08-20

アクロス・ザ・ユニバース」公式サイト
http://www.across-the-universe.jp/


ストーリー:愛こそはすべて


ビートルズの曲だけを使ったオリジナルミュージカルを作ろうとひらめいたの」?ジュリー・テイモア(監督・原案)


 1960年代。リバプールから父を探しにアメリカにやって来たジュード。自由な大学生マックスに出会い、2人はNY・グリニッジ・ビレッジを目指す。彼らを待ち受けていたのはエネルギッシュな気質溢れるカウンター・カルチャー。ミュージシャン仲間達との新しい生活が始まり、ジュードはマックスの妹ルーシーと恋に落ちる。しかしベトナム戦争が激化し、一人は戦場、一人は反戦活動へ、一人はプロのミュージシャンへと、仲間達はバラバラになっていく。混迷の渦に巻き込まれた彼らが再び心をひとつにするときはくるのだろうか?


『フリーダ』にてアカデミー賞6部門にノミネートされ、「ライオンキング」の舞台演出でトニー賞など数々の賞に輝く天才演出家・ジュリー・テイモアの待望の新作は、全篇に今なお愛され続けるビートルズの定番ヒットソング33曲のメロディと歌詞を、登場人物の心情を物語るメッセージとして贅沢にアレンジし、60年代に生きる若者たちの恋と青春をリアルに描いたまさに革命的ミュージカル!


 という「アクロス・ザ・ユニバース」を渋谷のアミューズCQNにて観賞。昨日10数時間寝てしまい、6連チャンの疲れが出たわけですが。


 映画館で予告を観てこれは観に行かなければと思い、観に行く事にしました。 ミュージカルは馴染みがないけど問題なくみれたし、その時その時に歌われる歌がその場面や登場人物の心情に合っているのでなんの違和感もなく、観る事ができた。 歌っているのは役者さんたちです、アレンジもかなり。


 主人公のジュードはめっちゃ男前ではないけど雰囲気というか空気感がよくて、基本的にメイン登場人物の名前もビートルズの曲から。ヒロインのルーシー役の女の子はなんと「多重人格探偵サイコ」のルーシー・モノストーンのモデルでもあるマリリン・マンソンの彼女らしい、PVにも出てる子だったみたい。


 ミュージカルなんでみんな歌うんだけど、ビートルズの曲ってなんとなくは知ってるんだけど、歌ってる時には日本語訳が出てて、ほへえ、この歌はこんな意味だったのかと思ったりもして、まさしくこのシーンにピッタリだなと思うし、歌詞そのものが台詞として扱われていて物語を展開させて行く辺りはお見事としか言えない。


 ミュージカルシーンのダンスもわりと大掛かりな物が大きくダンスって言えばいいのかな、人間の動きもミュージカル的で、あとはCGも素晴らしく幻想的なイマジネーションを爆発させていて、60年代のアメリカのサイケデリックな感じもありつつ、色鮮やかでとてもよかった。


 これは日本ではできないなあと、この頃のアメリカだとベトナム戦争があって、反戦があって、時代が大きく変革していた。若者の文化が大きく動いていた時代だろう、音楽も同時的に。大きな物語があったし、それが多くの人の中で共有されていた。今はそれはあるのか?ないのか?
 たぶん、多くの人に共有される物語は存在しない、細分化されて、小さな物語が至る所に溢れている。


 だけど、根本的な物語としてはこれはボーイミーツガールだ。


 「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」の歌の部分とか映像的にもよかったし、象徴的なイチゴが、滴る赤が、同時にマックスがいるベトナムの戦場に溶けこんで、いって、反戦運動を始めているルーシーとジュードの気持ちの差異が、象徴的な赤で、イチゴで、潰れて、滴って、叩きつけられて、イチゴの爆弾がベトナムに落ちて、ジュードの創作であるイチゴがあらゆる象徴として、落とされる、ビートルズの歌詞に宿っている反戦やそういう意志が明確に物語に注入される。


 長く感じない2時間だった。最初から最後までビートルズの歌が歌われ、物語も大きな物語があった60年代のアメリカ、少年と少女が出会って、仲間とルームシェアしてカルチャーに親しんで、時間を共有してやがて離れ離れになって、そしてまた彼らは出会う、それは偶然なんてことではなく、自らの意志で、会いたいから会いに行って、再会する。そしてジュードは歌う、ルーシーに向けての気持ちを。


 観ていて清々しい映画でミュージカルとかそんなことはどうでもよくて、ただ単に映画館で観れてよかった、映画館の大スクリーンで音響設備も整っているからこそこの作品の力強さが圧倒的に僕らを現実から切り離して、物語の中に没頭させてくれる。


 単純に好きな映画です。それにしてもビートルズ恐るべし、そしてこの作品の監督・原案のジュリー・テイモアは素晴らしい才能の持ち主だなあ、イマジネーションが心情、色彩豊かだ。けっこう実験的な画もあったし、魅せるということに心血を注ぎながらきちんと遊んでいる感じがした。


Across the Universe Trailer 2 (I've Just Seen A Face)


Across The Universe - Strawberry Fields Forever (Promo Ver)


↑この二つを観て興味が出た人はぜひ劇場へ。