Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『ロブスター』


 仕事帰りに『ロブスター』を。思いの外すげえカルト的な作品だった。これさあ、純文学で書いてる人がいてもおかしくない内容だと思う。これパクって違う形で書こうと思った。もう全体的に不気味だし、最後も答えを出さないっていうね、もうそういうことだよねっていう。日本だったらメジャーでできないけどインディーズならできる感じもあるのだけど。好きな映画だった。





 連載時から言ってたけど『女たち三百人の裏切りの書』は『アラビアの夜の種族』の螺旋階段を上った現在進行形のアップデート版、しかし、この数年、古川さんは国家について書いていて、まず平安京に潜ることで現在の、震災後の世界に立ち向かう手段にしたのだと思う。『あるいは修羅の十億年』は同様に『サウンドトラック』の螺旋階段を上った現在進行形のアップデート版、そして、『女たち三百人の裏切りの書』が千数百年の過去の日本を書いている、対として東京オリンピックが終わった後の2026年が舞台。昨日のスティーヴ・エリクソンと古川さんの講演で質問したこと、歴史や国家をいかに書くかという問いの答えである作品たちである。



『ロブスター』
ある世界ではパートナーを見つけずに独りで生きているものに罰を与える
その罰とは人間から他の動物にされてしまうというものだ
だから、誰もがその施設に送り込まれて45日に以内に相手を見つけようとする
しかし、そうやって誰かを人は好きになれるのだろうか
好意は持つことはあるとして相手が一生いたい人かどうか見極めるのは
無理がある
逃げ出した先には違うコミュニティがある
そこでは独りで生きるということを推奨している
恋愛は禁止されているのだ
そうなれば人は禁じられている故に欲望が増してくる
一度火がついたら欲望は止まらない
男女が互いに好きになっていく過程の激しさ
やはり、いつしかバレる
罪に対しての罰が与えられる
二人はそこからも逃げ出す
女に与えられた罰とそれを受け入れようとする男
男が選んだこと
すべてが美しくて残酷であるということ
世界とはまさしく盲目であり
失うことと得ることは同時に起こりうる