Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「二〇〇二年のスロウ・ボート」

 今年に入り始めて仲俣さんと会ってお茶がてらお話をした。去年から書いていて先月の終わりに書き終わった小説を読んでもらったのでその感想を含めて様々なことを話させてもらった。わりと長いものを人に読んでもらうとこっちは内心ビクビクなんです、でだいたい送った人は時間もそんなに作れないから読み終わって感想をもらうまでのタイムラグの間、けっこう不安。


仲俣暁生さんのブログ「海難記」
http://d.hatena.ne.jp/solar/


 仲俣さんからはわりと高評価というかよかったよって話をしてもらって、もうちょっと練って尺じゃないけど後半を増やしてボリュームを増やすことにした。でも、よかった〜、知り合いの人からかなりのダメだしをくらったら凹むし、おまけに次会う時に自意識が邪魔して普段通りの自分でいれなくなる可能性があるし。


 でも、僕の文章(小説)はスピードが変らしい、緩急があるんだって言われた。だから読みやすいというか進められるみたい、自分ではそう感じないけどそうらしい、やっぱり自分ではその辺のことは他者から言われないとわからない。客観性はまだある方なんだけど。


 前に岩井俊二さんに君の文章はヒップホップだねって言われたことがあって、褒められているのか貶されているのかわからなかったけど、ある種の僕の武器になるのかもしれない。仲俣さんにも「何者でもない」って。色んな人の影響が混ざり合ってハイブリッドな感じになってるって言われた、まあ色濃く、大塚英志古川日出男の影響はもろに出てるわけだが。そこはツッコまれたけど。


 そんな話をしてもらいながら、仲俣さんには去年お借りしていたリチャード・パワーズの「われらが歌う時」上巻を返して下巻を借りた。まあそのまま上巻もしばらく持っとけばって言われた。この恐ろしい本ね、内容が一度引き込まれるとやばい、上巻を読みながら、自分の作品を書いてたから本当に書きたくなくなった、世界のトップランカーの長編が与えるダメージは悲惨。だから一気に読み進めて終わらしたら続きが気になったけど忘れたふりして自分の作品に向かってた。


 あとは出版社業界の話を聞かせてもらったり、前に原稿書かせてもらった宝島社は出版業界じゃあ勝ち組らしい、そうなんだ〜。「音楽誌が書かないJポップ批評 コブクロ」はわりと売れて重版かかったらしい、まあ今月新しいのが出るけどそれには関わってないけど話を聞くと今回も売れそうなアーティストでした。


 年末の「Life」で仲俣さんが今年のオススメ作品に選んでいた「海獣の子供」は僕も読んでいて、読んだ第一印象が岩井俊二著「ウォーレスの人魚」に似てたので仲俣さんに読んでみてくださいってお貸しした。内容的にわりと酷似する部分もあって、パクったとかじゃなくて人魚とか海に適応している人間ってものを扱うとラボとか外人(日系)とか出さざるおえないだろうから。


 仲俣さんが岩井さんと仕事したこともあるっていう繋がりもあったりするので、僕は会ったことないけど。


 労働先で毎度おなじみiPodで音楽を鳴らしていた。一番好きなバンドはDragon Ashだし、葬式でも爆音でかけてほしいとすら思っている。でBOTS夫妻のレジをしてちょうどかけてたのが「HOT CAKE」だったけどまあ夫妻はそれに反応せずにテレビ画面に移されてるDVDについて話をしていた。変なテンションでレジをした、カード会計でサインもらう時に「サインお願いします」っていうとなんか照れる、自分でもアホだと思うんだけど、一番好きなバンドなのでどうしようもない。


 帰ったらもう音大きくしていいだろうと思って最新シングル「運命共同体」を流した。でカップリングの「繋がりSUNSET (MAKOTO SAKURAI REMIX)」を流してたら隣のレジの客が「これなんのアルバムに入ってるんですか」って隣のレジの子に聞いたので「運命共同体のシングル」って言った。なんかその女の人もDragon Ash好きらしくてこの店よくかかってますねって言ったみたい。まあ僕が率先してかけてますからね。


 で、その女の人が帰る時に「マックにMEGUMIいましたよ」って言ったらしい。半径一キロ以内にめっちゃ本物のD.Aファミリーがいるなあって思ったりした。代々木公園のフリーライブはニューアルバム「FREEDOM」の発売の前の日、まあD.A.CREWには整理券くれるって会報が来たんだけど、その日平日なんだが、僕はいいがけっこうな人が仕事さぼってきますね、平日の代々木に。


  帰ってから昨日買った古川日出男著「二〇〇二年のスロウ・ボート」を読み切る。最初の方は読み始めて思い出した、これってボーイミーツガールでロストガールな話だったんだなって。
 東京から抜け出せない男ってモチーフは好きな感じ。村上春樹の作品のRMX(リミックス)だけど限りなく古川日出男の世界でした。で、発売されてすぐの頃に読んだ時には僕は東京の位置を、地名を、東西南北を今以上に知らなかったわけだけど、今読むと多少のことはわかってきていて(ある意味新鮮さが失われてしまってきているんだが)、物語も、そこで書かれている地名もすんなりと入ってきて前に読んだ時より面白かったし、興味深かった。


Dragon Ash「Hot Cake」


Dragon Ash運命共同体


われらが歌う時 下

われらが歌う時 下

海獣の子供 3 (IKKI COMIX)

海獣の子供 3 (IKKI COMIX)

ウォーレスの人魚 (角川文庫)

ウォーレスの人魚 (角川文庫)

二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫 (ふ25-1))

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運命共同体

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FREEDOM(初回限定盤)(DVD付)

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