Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『パンク侍、斬られて候』


新宿バルト9にて『パンク侍、斬られて候』鑑賞。
町田康さん(最初に出てくる父親役で町田さん出演)の原作が因果応報の話であり、映画もストーリーとしてはその流れを。ただ、その最初の罪に対して主人公が受ける報いまでが、宇宙が爆発しますよ、というセリフ同様に尾びれ背鰭がくっつき虚構が現実に侵入して現実になり現実を覆いつくしてしまう。
猿対阿保の戦いになるのが、残念ながら今のこの世界のメタファとして見える。阿保には何を言っても伝わらず、人間だと思いたいが残念ながら猿と変わりもしない。
パンクが果たしてそんな世界に一子報えることができるのか。
途中途中で永瀬正敏さん演じるデウスのナレーションが現実世界を皮肉る。宇宙みたいに広がることになる最初の過ち、因果応報、世界が爆発しますよ、あなたのしたことは巡りめぐってあなたに返る。
だとしたら、このクソみたいな世界をもたらしているのは、まぎれもなくわたしたち。社会や世界のせいだと腹をふって踊り考えることを放棄した腹振り党、ああ、フィクションのフリをした、いや、フィクションはただの現実の写し鏡だった。