Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『ラッカは静かに虐殺されている』

 UPLINKにて13時の回を鑑賞。朝に「防衛省が公表した自衛隊イラク派遣時の「バグダッド日誌」がブログっぽくエモい「書籍化しようよ」」というのがTwitterFacebookで見かけたのもあって、シリアが舞台でイスラム国と戦っている市民ジャーナリストたちのドキュメンタリー観ておこうと思ったことが大きい。

イラク復興支援群活動報告書
https://www.asahicom.jp/news/esi/ichikijiatesi/iraq-nippo-list/20180416/370/060619.pdf

 『ラッカは静かに虐殺されている』は壮絶な映画であり、話題になった『ペンタゴン・ペーパーズ』同様に今の信用できない嘘つきだらけの安倍政権がすぐに思い浮かぶ。政治とジャーナリズム、他者を排斥するものたち、悪貨が良貨を駆逐していくこと、日本と海外ではもちろんいろんな事がちがう。それにしても、ここまで民主主義が政治家や官僚たちが守ろうとせずに、破壊するような行為をしても誰も責任を取らないということは異様を通り越している。おまけにセクハラ事務官まで現れて、そのセクハラした女性に名乗り出ろと言い出した。バカとかのレベルではない、それを財務省や麻生大臣が普通に言える神経はもう終わっている。彼らは人権や国民主権ということを知らないようだ。早く退陣してほしい。

 映画の内容はというと以下は公式ホームページより

戦後史上最悪の人道危機と言われるシリア内戦。2014年6月、その内戦において過激思想と武力で勢力を拡大する「イスラム国」(IS)がシリア北部の街ラッカを制圧した。かつて「ユーフラテス川の花嫁」と呼ばれるほど美しかった街はISの首都とされ一変する。爆撃で廃墟と化した街では残忍な公開処刑が繰り返され、市民は常に死の恐怖と隣り合わせの生活を強いられていた。

海外メディアも報じることができない惨状を国際社会に伝えるため、市民ジャーナリスト集団“RBSS”(Raqqa is Being Slaughtered Silently/ラッカは静かに虐殺されている)が秘密裡に結成された。彼らはスマホを武器に「街の真実」を次々とSNSに投稿、そのショッキングな映像に世界が騒然となるも、RBSSの発信力に脅威を感じたISは直ぐにメンバーの暗殺計画に乗り出す――。


 アサド政権の長期支配、そしてやってきたのはイスラム国、どちらも良貨ではないが悪貨をさらにタチの悪い悪貨が駆逐した。そして、RBSSのメンバーたちはそのことを海外に向けて情報を発信していくことでなんとかしようとしていた。彼らにも身の危険が忍び寄り、トルコやドイツに移住し外からラッカに残った記者たちからの情報をSNSや海外のニュース情報に提供しラッカの悲惨さを伝えた。彼らの仲間や肉親も殺されていく。この映画の中ではイスラム国に捕まった人たちが本当にいとも簡単に殺されるシーンが出てくる。斬首された首が柵に突き刺さっていて地面では首のない死体が転がっている。フィクションではない事実としての映像で。市民ジャーナリストたちの戦い、イスラム国もメディア戦略を仕掛けてくる。子供たちはイスラム国に取り込まれ洗脳されていく。
 ドイツにいるRBSSメンバーたちは、ドイツでもいつ殺害されてもおかしくない状況にあった。それに加えて、ドイツでは移民への排斥運動が広がっていてデモが起きている。祖国に入れなくなって逃げてきたドイツでも彼らは世界のどうしようもない現実、人々の悪意が向けられてしまう。このことは世界中で起きている。トランプが勝ったように、彼を大統領にしてしまった人たち、日本だったらネトウヨこの辺りはグローバリズムの波がやってきて取り残されること、国と国ではなく資本によって個人同士が繋がっていく世界で置いてけぼりにされる不安、自分自身がこぼれ落ちてしまう恐怖からナショナリズムに走るしかちっぽけな自分を守る方法がない。だから攻撃的になってしまう。彼らを救うには国家による様々なケアと設計が必要だが、もはや政治家がそれなんだから無理なわけである。公文書を改竄し始めたら何もかも信用ができなくなる。つまりそれまであった信頼も土台にあったものが崩れてしまう。それを許してしまっているのだから彼らは民主主義が本当に嫌いなのだろう。

 今映画館で見てテレビをつけたりネットでニュースを見ると愕然とすることになる。海外で起きていることから自分の国を見る。考えることは絶対に必要だ。残念がら僕たちの今生きている世界は恐ろしいぐらいな悲惨なものだと認めた上で考えて動くしかない。