Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

娘たち


娘たちは集団で歩いていました
誰かが歌を口ずさむとみんなで歌い出します
旋律が娘たちの新しいI.D.です
進んでいくと一人の娘が集団から離れていきます
隣を歩いていた娘が心配しみんなに訴えました
他の娘たちはみんな外れていってものは
もう放っておくのがルールだと告げ歩みを止めませんでした
もう一人の娘は彼女たちから離れていった娘を追います
道を大きく外れて湖へ降りていく坂道を歩いている背中が見えます
湖に映った自分を見ている最初の娘
追いついた娘も同じように自分の顔を見ました
それはいつも見ている互いの顔とは違うものでした
ずっとずっと歳を重ねたあとの二人の顔は
若さとは違う誇らしさがありました
追いかけてきた娘はなにが起こっているのかわかりません
最初に外れた娘は歌ではなく何かを口から滑らしています
それはなにという問いに詩よと答えます
なぜ詩なのと言うと波紋で映る二人の顔が揺れます
詩は時間を超えるからと笑います
ここから前にも後にもあるものだから
すべての生命の胎動するリズムは詩でしかないのだから