Spiral Fiction Note’s diary

ライター&「monokaki」編集部スタッフ。「水道橋博士のメルマ旬報」で「碇のむきだし」、「週刊ポスト」で「予告編妄想かわら版」、「PLANETS」で「ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春」を連載中です。

『サニー/32』


 公開初日、バルト9にて初回を観賞。男性客が多かったか、北原さんファンなのだろうと思うのだが、たぶん推しだった人たちなのだろう。作品の構造としては(ネット)アイドル×浅間山荘事件みたいな気がした。『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』の若松孝二監督を師事した白石監督だからなんだろうけど、この組み合わせは現代的だなあ、と思ったりした。
 現代的なネットと状況もので物語は進行し、連合赤軍が仲間内でリンチして粛清していったように閉じられたコミュニティでの暴力と支配、人間関係が描かれている。北原演じるサニーは奉られた神であるので彼女が覚醒するまでは多少傷つけられるものの、覚醒後は誰も彼女を傷つけられない。故に彼女の元に集まったものたちと巻き込まれたカップルの中で暴力は起きる。門脇麦演じるもう一人のサニーが登場し、物語は加速する。ネットの中継を見ている連中は当然ながらコメントをするだけで彼らの実存を脅かさない。ここでもネット社会における当事者性が浮かび上がる。どれだけコメントをしようが彼らの行動や人生を動かせない事実、実況をするためにサニーたちに近づいてくるあいつだけがその意味ではコミットメントを実際に行う。愚かな行動でもあるし、報道の自由を吐き間違えているが彼は自分の行動によって彼らに出会うことになった。それが幸か不幸かは別の問題として。
 北原さんがAKBを卒業し女優に向かうための通過儀礼のような作品なのかもしれない、同時に彼女の教え子の美少女はミスiDの蒼波純が演じているというのも興味深い。