Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『お嬢さん』


監督・パク・チャヌク 製作
原作・サラ・ウォーターズ
出演・キム・ミニ(秀子)、キム・テリ(スッキ(珠子))、ハ・ジョンウ(藤原伯爵)、チョ・ジヌン(上月)、キム・ヘスク(佐々木夫人)、ムン・ソリ(叔母)ほか



オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督が、イギリスの人気ミステリー作家サラ・ウォーターズの小説「荊の城」を原案に、物語の舞台を日本統治下の韓国に置きかえて描いたサスペンスドラマ。1930年代、日本統治下の韓国。スラム街で詐欺グループに育てられた少女スッキは、藤原伯爵と呼ばれる詐欺師から、ある計画を持ちかけられる。それは、莫大な財産の相続権を持つ令嬢・秀子を誘惑して結婚した後、精神病院に入れて財産を奪い取ろうというものだった。計画に加担することにしたスッキは、人里離れた土地に建つ屋敷で、日本文化に傾倒した支配的な叔父の上月と暮らす秀子のもとで、珠子という名のメイドとして働きはじめる。しかし、献身的なスッキに秀子が少しずつ心を開くようになり、スッキもまた、だます相手のはずの秀子に心惹かれていき……。秀子役を「泣く男」のキム・ミニが務め、スッキ役は無名の新人女優キム・テリをオーディションで抜擢。伯爵役は「チェイサー」のハ・ジョンウ、秀子の叔父・上月役は「最後まで行く」のチョ・ジヌンがそれぞれ演じた。(映画.comより)



菊地成孔の『お嬢さん』評:エログロと歌舞伎による、恐ろしいほどのエレガンスと緻密 http://realsound.jp/movie/2017/03/post-4373.html
↑「いつまでも最高20代で時を止めて、ずっと恋をしていたいという「中、高、大、あらゆる二年生病」という、西欧からアジア〜アフリカまでを覆う現代のペスト、本作はそのパンデミックへのダーク・アスピリンである。大人には、こんな悦びがある。本作は「大人が退行する事」の古典的で正しい形がしっかりと示され、現代のペストが、いかに病的であるかを、全く別の病理が炙り出し、撃つ。毒を持って毒を制するのだ。」


↑マジでそんな映画だった!
教えてくれてありがとう菊地さん。


 というか『セッション』の時も「これみんなが言うほどおもしろいか(謎)?」な時に菊地さんの評読んでなるほどな、で菊地さんが絶賛してる『バードマン』観に行ったら最高に好きだわ!となり、まあ内容もだがレイモンド・カーヴァーの作品出てくるわ、パンフに古川日出男さんが寄稿(レイモンド・カーヴァーを訳してるのが村上春樹さんで彼の影響を受けている古川さんにそんな流れがあって依頼来たんですか?て聞いたら編集の人が古川さんと監督の作品に似たものを感じて依頼、古川さんもこの作品かなりよかったから書いたらしい)してたとかもろわたくし好みでした。
 で、今年は同じく『セッション』監督の『ラ・ラ・ランド』ですよ。あれそんなに絶賛するほどか? 単純にこの監督合わねえのはわかった。悪くはないがそんなにいうほどかと言われたら、うーむ、どうだろう。
 LA行ったからラ・ラ・ランド聖地巡礼的に出てきた場所には行きましたよ。だってメルマ旬報の連載でLA旅行書くのは決めてたからね。
 思ったとおり菊地さんがラ・ラ・ランド評を書いて、なるほどな、と。で、オススメは『お嬢さん』という作品らしい。まあ、たぶん、間違いない。で間違いなかったね。


 これはヤバイね、主演の女優さんふたりめちゃくちゃエロいし、最後らへんはグロいし、途中でひっくり返してくる。このミス第一位だった小説を映画したみたいだが、舞台設定がイギリスから1930年代、日本統治下の韓国になっているので和洋折衷というか韓国の中でそれが起きているので何層にもなっていて、そこに韓国語と日本語のセリフが混ざり合いながら展開する。三部構成だが、どんでん返しになっていて脚本としても素晴らしいのだと思うし、観ていてどんどん引き込まれて行く。
 屋敷とか小道具とかビジュアルもいいし、エロティックな絵も出てくるし、セリフで「ちんぽ」「まんこ」っていう映画も久しぶりに観たような。違うかもしれないけど、世界観とか物語の感じが鈴木清順監督の作品を観たときに感じるものに近いものがあったように思えた。鈴木清順監督みたいに白昼夢みたいな不思議な感じではないけど、肌触りみたいな観た感触がどこか僕には近いものだと思えたのだけど、他の人は違うかもしれない。
 ほんと観ているとどんどんもっていかれた。主演の女優さんふたりがどのくらいの知名度かわかんないけど、日本のだと難しそうだよなあ、観たらやりたい人はたくさんいそうだけどなあ。いいもん観たなあ〜って思う。秀子お嬢様の幼少期を演じていた女の子も美少女で将来有名になりそうだなって思うし、この作品って女性を解放する映画のひとつみたいな作品としても残って行くのではないかなあ。
 今んとこ今年映画館で観た作品でベストです。これを越えてくる作品あるかなあ、難しそうだわ。