Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『沈黙』


『沈黙』は日本人論でもあるんだなあ、と観ながら思った。
キリスト教における「神」という概念は日本人には理解できない。日本人は自然に神を見るから。諸行無常。台風や噴火や水害など自然災害で家はなくなるという風土だから紙と木でできた住居だったんだろうなって、それは北アイルランドとイギリスに行った時に石でできた建物とか実際に見た時に感じた。そりゃあ、住んでいる建物と自然環境における時間の積み重ねによって成り立っている思考の部分も根本的に違うわな、と。
だから、この沼地の国ではキリスト教という概念は育ちようがないという部分とかも大名とかはきちんとわかってる。弾圧している側がそのことをしっかり把握してる。そういう意味ではお役人がきちんとお役人の仕事を、藩や日本のことを考えて行動をしている。そういう部分では『シン・ゴジラ』的な感情を持ち込まないでそれぞれの仕事をしていて、震災後の日本の政府ができなかったことをまた映像で見せられている感じもある。
また、島国だったおかげで、そのせいで基本的には他の国から大量に人が移動してこないし、どこかに支配されることもないから多様化しなくてよかった。個人主義にはならずにいた。それがきっと戦後の高度経済成長時代ぐらいまではよかったんだと思う、日本よ再びみたいな復興は果たされて豊かになって多様化しようとするとそれが邪魔をする。出る杭は打ちのめすし、日本的なものにカスタマイズしちゃうから本質とはズレて入っている所が面白いことだったけど、不景気がやってくると残っていた外への関心も薄まり保守化する、神武天皇なんかいないのに、神話の人物がいると言い出すほどにひどくなる。
役者さんだと窪塚洋介さんと浅野忠信さんイッセー尾形さんの存在感がすごい。日本では撮れないから台湾とかで撮影してるんだと思うけど、エンドロール見て悔しがってる映画関係の人は多いんじゃないかな、でもそれも作中である人物が言う台詞に表れてるのかもしれない。
塚本晋也監督も出演してたけど、たぶんSABU監督も出てたと思う。PANTAさんも出られてましたね。これ観てやっぱり外に出ていく映像関係のスタッフさんや役者さんは増えていくのかなあ。