Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『オアシス スーパーソニック』


監督:マット・ホワイトクロ
製作:フィオナ・ニールソン、ジェームズ・ゲイ=リース、サイモン・ハーフォン
製作総指揮:リアム・ギャラガー


2009年に解散したイギリスの世界的ロックバンド「オアシス」の初のドキュメンタリー映画。「オアシス」の中心メンバーであるリアム&ノエル・ギャラガー兄弟への新たなインタビューのほか、バンドメンバーや関係者の証言、名曲の数々をとらえた貴重なライブ映像、膨大なアーカイブ資料をもとに製作。1991年に兄ノエルが弟リアムのバンドに加入して「オアシス」が結成されてから、2日間で25万人を動員した96年の英ネブワースでの公演までの軌跡を追った。ギャラガー兄弟と、「AMY エイミー」でアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したアシフ・カパディアが製作総指揮に名を連ね、「グアンタナモ、僕達が見た真実」でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したマット・ホワイトクロスが監督を務めた。(映画.comより)


 昨日、日本の芸能界とか関連するシステムの供儀みたいにされて終わるしかなかったこの時代≒元号と共にあった彼らを見ていて、元TBSの角田さんが言われているように今は幕末なんだなあって思った。
 終わりゆくものにしがみつくのか、始まるものに加担するのか。
 価値観がガラリとスライドしていく大きすぎるきっかけとして後にみんなが昨日のことや彼らのことを思い浮かべるのかな。
 観終わってそれなりに感傷的になりかけたので世界を巻き込んだ総代な兄弟ケンカをしてバンドを解散した愛すべきやつらを観たくなったので恵比寿ガーデンシネマに雨の中歩いて行った。
 さすがにお客さんは火曜日の午前中で雨だし十人とかぐらいしかいなかった気はするのだが、いやあ、最高だった。リアルタイムで観ているバンドだけに懐かしくギャラガー兄弟の愛憎が愛おしい、彼らも僕の青春期に大好きなバンドだったし、未だに聴いている。それにしてもまさしくスーパーソニックのようにイギリスの世界の中でロックバンドとして駆け上ったのがわかる構成だった。
 最初にいた助言をくれた初期の関係者や仲間たちは、企業が主導権を握り出すと消えていった。タイミングやいろんな問題があったにせよ、手に負えなくなった巨大すぎる存在になったバンドは企業が舵をとるようになる。売り上げなどが恐ろしいことになってしまえばそうならざえない。だからこそ、ノエルもリアムもデビュー前やデビュー後のライブの頃が最高だったと言うのはそういうことだ。まだコントロールできるうちに金のない労働者層の彼らがのし上がっていく景色は最高だったに違いない。だけども売れに売れすぎたあとはバンドのメンバーや近い人間たちにもどうしようもできない事柄が増えすぎてしまった。
 利権や権利問題、弁護士なんかが増えて契約書も増えていく。彼らもまたオアシスというバンドにいるにも関わらずオアシスに翻弄された。最終的にはノエルがバンドを去り解散に至るわけだが、早かれ遅かれそうならざえない方向に向かって行ったのだ。ネブワースでのライブで終わるのはそうなる事柄が出ているし、バンドとしても絶頂期だったからだろう。
 リアムが俺たちが魚屋ならマスで殴りあってたといった。きっと、そうだろうと思いながら笑った。オアシスが好きだった人はぜひ映画館で。