Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『淵に立つ』


監督・脚本:深田晃司
出演:浅野忠信(八坂草太郎)、筒井真理子(鈴岡章江)、古舘寛治(鈴岡利雄)、太賀(山上孝司)、篠川桃音(鈴岡蛍)、三浦貴大(設楽篤)、真広佳奈(鈴岡蛍(8年後))ほか




「歓待」「ほとりの朔子」などで世界的注目を集める深田晃司監督が浅野忠信主演でメガホンをとり、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した人間ドラマ。下町で小さな金属加工工場を営みながら平穏な暮らしを送っていた夫婦とその娘の前に、夫の昔の知人である前科者の男が現われる。奇妙な共同生活を送りはじめる彼らだったが、やがて男は残酷な爪痕を残して姿を消す。8年後、夫婦は皮肉な巡り合わせから男の消息をつかむ。しかし、そのことによって夫婦が互いに心の奥底に抱えてきた秘密があぶり出されていく。静かな狂気を秘める主人公を浅野が熱演し、彼の存在に翻弄される夫婦を「希望の国」「アキレスと亀」の筒井真理子と「マイ・バック・ページ」の古舘寛治がそれぞれ演じた。(映画.comより)




 先に読んでいた小説とはラストの印象がだいぶ違うが、後半部分の内臓にゾワゾワ来るのは近くて観てる側の触れられたくない、見ていたくないばしょに入り込んでくるようで、いたい。だけども、それから目を反らし続けてるのがきっと今の世界なんだろう。凄い作品でした。
 観る前に小説を読んでいたのだけど、西川美和さんの『ゆれる』を観たり読んだりした時に感じた心の動揺、ざわめき、目をそらしたいもの見ろと言われてる感覚があって、映画を観たらやっぱりそうだった。西川さん作品好きな人には『淵に立つ』薦めたい。
 観終わった後にボディブローというか軽く吐き気がするような、内臓を掻き回されたように思える。自分の中に入ってきちゃったようなものを持っている作品だと思う。こういうものを「考えない」「わかりやすさ」を求める世界では異質だし大ヒットはしづらいかもしれない、だけど、やっぱりこういう表現があるべきだと思うし、いろんな人が観て掻き回されてほしい。