Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『ずっと』


 『あるいは修羅の十億年』単行本(ニコラ用に)。明日は東大で国際文芸フェスのひとつであるスティーヴン・エリクソン×古川日出男対談を聞きに行く。すげえ楽しみ。




多重人格探偵サイコ』最終話のあとの『THE END + ONE』を。サイコは僕らの思春期に並走するものとしてあった。小説版の章タイトルが中上健次大江健三郎の書籍のタイトルを使うことで、若い読者が良き純文学と出会う仕掛けもあった。僕もそうして出会い、彼らの影響下にある作家に出会うことで知らずに系譜や文学の流れを知ることになった。かつて「多重人格」はサイコミステリーの定番ネタみたいな扱いだったが、今はどうだ? 誰もがひとつの肉体なのに現実やネットで対する相手ごとに趣向ごとに人格を変えるように生きている、名前だってある意味、関係性や所属で増えていく。雨宮一彦の中に宿ったいくつもの人格をただのフィクションではなく前よりも身近なものとなった気がする。彼の魂が最後に宿りし場所を見届けれたことがなによりうれしい。



『ずっと』
いつか来た、そんな気がする道で待っている
太陽は高く車からは好きな音楽が流れていて
天国みたいな気持ちだった
だから僕らはもう死んでいるのかもしれない
君はどうやってやってくるのかを僕は知らない
予定時間よりもだいぶ早く来たから
待っている時間も豊かな気持ちになる
地平線の向こうに見える人影
陽炎みたいに揺らいでいる
もしも、あれが君だったらどのくらいの時間で辿り着くんだろう
僕はのんびりと好きな音楽を聴きながら待っている
ずっとずっとずっとずっと