Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『牡蠣工場』


野田秀樹戯曲『逆鱗』、五十嵐大介『ディザインズ』一巻。




 想田監督『牡蠣工場』をイメージフォーラムで鑑賞。今の時代に中上健次とかを映像でやったらたぶんああいう世界観なのではないかと思った、なんか純文学的つうか。で、僕としては牛窓にまったく縁はないのだが、岡山弁がずっと聞こえているので懐かしかった。
 僕は広島との県境の出身なのでニュアンスとか両県のものが混ざっている感もある。基本的には近くの大きな都市の福山が生活圏や多くの人が働きに行っていたりする。僕の生まれた町の高屋町が発祥の地となっている「中国地方の子守歌」の4番には海についての歌詞がある。しかし、高屋には海はない。高屋川が福山方面に流れていった先にあるのは鞆の浦だ。
 実際のところ、海沿いの漁師の町なんかから嫁いできた人たちが、歌っていた子守歌なんかが定着したというのが実際のところらしい。これは井原市の図書館にあった民俗学とか口承文学を調べていた学生の卒論かなにかの調査によって明らかにされていたのを読んだことがある。彼が聞き取り調査した人たちの一部は僕の家の近所に住んでいる知っているおばあちゃんたちだった。
 山田耕筰が編曲したことで有名になったが彼の元に弟子入りしにいった上野さんが地元にこんな歌があるといって山田が気に入ったので編曲したと言われている。ということを昔、祖母の兄の初生雛鑑別師について調べている時に一緒に絡めて書けないかと調べていたことを思い出した。
 『牡蠣工場』はちょっと長いと思わなくもないが、僕に友人Aがオススメしてくれるのはよくわかる内容というか映し出されている人たちだった。あと、猫の名前ってたいてい安易なつけられ方をしてる。



『日々、われる』
乾燥している空気
段ボールが指先の水分を奪ってく
奪ってしまうからボロボロになって
指先からカサカサと冬の様子
指先から春はまだやってはこない
ひび割れて、ジリジリする
鼓動がそこにあるみたいな
血の流れみたいなものがヒリヒリと
日々、われている