Spiral Fiction Note’s diary

ライター&Webサイト編集スタッフ。「水道橋博士のメルマ旬報」で「碇のむきだし」、「週刊ポスト」で「予告編妄想かわら版」、「PLANETS」で「ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春」を連載中です。

『西野亮廣の渋谷ゴーストバスターズ』第六回(番外編)

西野亮廣の渋谷ゴーストバスターズ

 
第六回(番外編)
 


西野亮廣の渋谷ゴーストバスターズ』第6回は西野さんではなくホームレス小谷さんのインタビューという番外編です。小谷さんという生き方や存在は西野さんをはじめ岡田斗司夫さんなども新しい生き方や価値観を提示していると言われています。西野さんとの関係ももちろんですが、餃子を食べながらいろんなお話を聞かせていただきました。
 
 

<ホームレスになった経緯と芸人時代>
小谷 西野さんとはどういうところで知り合いになったんですか?
 

碇本 独演会のチケットを買いに行ってからですね。僕は園子温監督を追いかけていたら水道橋博士さんにお会いしてメルマ旬報で連載させてもらうようになったんですが、博士さんが今みたいになる前からダイノジの大谷さんと西野さんは面白いと言われていました。博士さんはオフィス北野だから吉本の人とかあんまり関係ないじゃんって思うんですけどメルマ旬報で西野さんのNY個展の連載もありましたしダイノジの大谷さんや元ハリガネロックユウキロックさんも連載陣だったりします。
独演会のチケットを西野さんが手売りされていると知ったので会いに行ってみようと思いました。それで2014年の独演会を観てすごくおもしろかったので終わってすぐに2015年の今年の独演会のチケットをまた買いに行きました。
僕は三茶から赤坂まで自転車で仕事先まで行っているんですがその途中の青山通り沿いにある伊藤忠アートスクエアで今年の夏のおとぎ町ビエンナーレがあったので何度か行かせてもらいました。だから西野さんがいなくてもこういう客層なんだとか思いながらビールもらってはじめてお会いした人と飲みながら話をさせてもらったり、小谷さんともそこで知り合いになれたのでお話させてもらったりしました。
 

小谷 タイミングがあったんですね。

 
(餃子が来たので冒頭の写真を撮ったり食べたりしはじめる)

 
碇本 いつも高円寺に帰られてますがそこが家ではないですよね?
 

小谷 高円寺はシェアハウスをやってるやつが何人かいるんでそこに泊まらせてもらってるんです。

 
碇本 月に一回ぐらいは奥さんと会ってるんですか?

 
小谷 月に一回か二回ぐらいは。

 
碇本 それが一番の謎なんですよ。奥さんに鬼ごっこで呼ばれて、みんなにええやんって言われてその流れで結婚されたのはお話で聞いてたり小谷さんの自伝で読んでるんですけど、一番の謎は奥さんはそれでオッケーなのかっていうのもあるし奥さんのお父さんお母さんもそれでいいのかなって。それに月に一回とかしか会わなくてセックスとかしてんのかなとか。一般的な普通の夫婦ではないわけだから、その辺りはどんな感じなんでしょうか?
 

(小谷さんに電話がかかってきたのでしばし待つ)

 
碇本 なんかお仕事とかの電話だったんですか?

 
小谷 いやなんかこんど時間取れる?って。

 
碇本 それは(小谷さんは一日50円で自分を売っているので)売らなくていいんですか?
 

小谷 なんか保険の会社の人で、営業とかやってるから今度その営業するときの話とかを聞いてほしいって。

 
碇本 そういうのもあるんですね。話し相手になるっていうのもありますよね。おじいちゃんやおばあさんの話し相手になってほしいとかも。

 
小谷 あります、あります。

 
碇本 いま、一日50円で自分を売って一年ぐらいですか?
 

小谷 いや二年半ぐらいです。

 
碇本 今まで一番過酷だったのなんですか?

 
小谷 なんか全部楽しいからあんまりないんですよね、過酷なの。

 
碇本 それってすごくないですか?

 
小谷 うーん。

 
碇本 普通だったらこれネタになるわとか思っていたらいいんでしょうけど、ただおもしろいってだけ思える状態って感覚がかなりチェンジしちゃってますよね。
 

小谷 もう楽しかったらいいんです。

 
碇本 芸人をはじめた頃のことからも聞いてみたいんですが。大阪っていうか関西出身ですよね? 高校出てから吉本のNSCですよね。

 
小谷 そうです、そうです。
 

碇本 高校出て吉本っていうのは元々お笑いが大好きだったからなのか、なんとなくなのか、好きな芸人さんっていました?

 
小谷 ナインティナインです。

 
碇本 ええ、じゃあ今の西野さんと岡村さんの状態って笑えちゃいますね。よく考えると。

 
小谷 たしかに。めっちゃ好きでしたね。

 
碇本 僕らの世代だとめちゃモテからめちゃイケって流れを見てますよね。
 

小谷 めちゃモテとかはあんまり見てなかったですね。

 
碇本 ナイナイは天素のあとにすぐに東京に行っちゃってますよね?

 
小谷 ナイナイが夜中に出てるやつがあってそれがおもしろかった。

 
碇本 学校ではけっこう明るい感じですよね、これでネクラってことはないでしょう? 
小谷くんおもしろいわとか学校で言われてたら関西なら吉本行こうっていうのあると聞くんですが、あとは大学行くのめんどくさいからとか。
 

小谷 いや、単純に芸人になりたかったんです。

 
碇本 吉本には何年ぐらいですか?

 
小谷 十年ぐらいです。
 

碇本 最初はコンビですよね。でコンビ解散してからピンになって吉本辞めてからフリーになって東京に出てきたという流れですか?

 
小谷 そうですね。
 

碇本 東京に出てきたのは二十代の終わりですか?

 
小谷 三十になった時に東京に出てきました。

 
碇本 では、いま二年ぐらいですね。

 
小谷 そうですね。

 
碇本 その二年の間に西野さんの家に転がり込んだのに家賃払わなくて家入一真さんにホームレスになれよって言われてなった期間ともほぼ一致しますね。
 

小谷 はい。

 
碇本 関西でお笑いをやってる時は手応えありましたか、このまま行けば売れるとか?

 
小谷 いや、ないですね。
 

碇本 相方さんがいたってことは漫才、コントどちらをやっていたんでしょう?

 
小谷 漫才です。

 
碇本 Mー1で上の方にとかは実際には行けなかったと思うのですがコンビをやめるのは相方さんからでしたか、小谷さんからだったんですか?

 
小谷 それは単純に売れんかったからです。
 

碇本 で、フリーになった。それで自伝にも書かれていますが西野さんの家に転がり込んだ感じになったと思うんですが、西野さんとすごく仲がよかったって感じでもないですよね?

 
小谷 全然違います。

 
碇本 あれはどういうことで転がりこめたんですか?

 
小谷 フリーかどうか、辞めたか辞めてないかぐらいの時になんか一緒に飲んでてそれでですね。
 
碇本 この間、ニコ生の生放送にお邪魔させていただいて西野さんにインタビューさせていただいた帰りが、構成作家の山口とんぼさんと電車が途中まで一緒だったんです。それでお話をさせてもらったらとんぼさんも元々芸人さんで辞めることになった時に西野さんに作家やればって声をかけられて作家さんになったって聞きました。
とんぼさんはゴーストバスターズとか要所要所はいるけどいつもはいないですよねって、肝心な時には行けばいいって思えるのはいつも小谷さんがいるからってのがあるんですかねって聞いたんです。
 

小谷 全然意識したことなかったです。

 
碇本 小谷さんは作家さんじゃない。でもとんぼさんは西野さんがおもしろいと思うことにある意味では付き合わされることになるじゃないですか。自分が知らないITのことや人とか、本来はお笑いで番組とかネタやりたいのに全然それとは関係のない人とか知り合いになったり勉強したりするのってけっこう大変だと思うんです。その辺りのことを知ってたりわかってないとブレーンにはなれないと思うので。だから要所要所はいらっしゃるけど小谷さんがいるからその分は楽だったりするんですかねって聞いたんです。

 
小谷 作家の人がどういう生活してるか全然知らんから。
 

碇本 とんぼさんからすれば作家だからできるだけ芸人さんと一緒にいたほうがいいかもしれないけど小谷さんがいるから適度に力を抜ける部分はあるんだろうなって思いました。で、小谷さんは芸人時代どうだったんですかって聞いたら今と全然違ったと言われました。

 
小谷 ええ、それおもろ。
 


<たくさんの人に会い続けていくということ>
碇本 一人の人間のことを語る時には、僕が会って話している小谷さんだけじゃなくて他の人から見た小谷さんとかそういうのを総合的に見ると浮かび上がってくるものがあるんじゃないかなって思っているんです。
小谷さんにインタビューすることは決めていたのでフリとしてとんぼさんに聞いてました。とんぼさんは小谷さんが芸人の時はちょっとやな奴だったって言われてました。
 

小谷 ハッハッハ。

 
碇本 それで今はどうですかって聞いたらホームレス始めてからいろんな人に会いに行くようになってから人間が変わったと言われました。
会う人の数も多いのがデカイのかなと思います。僕はその辺、以前の小谷さんを知らないのでよくわからない部分ですが。梶原さんとはどうですか? 西野さんの相方さんですけど。

 
小谷 あんまり会わないですね。

 
碇本 それは以前の小谷さんのイメージを梶原さんが引きずっている可能性が高いのもありますよね。それに相方とずっと一緒にいるとなるとヤキモチだったり思うところもいろいろあったりするのかなとも。
今の小谷さんみたいに人にたくさん会うっていうことは多くの人間の中でもなかなかないことだと思います。下手すると毎日知らない人に会いに行ったり呼ばれて行ったりしている。西野さんのイベントだとか個展にはいつも来るからもう顔見知りになっている人も多いけど初めてやってくる人とかにもいきなり『天才万博』(http://tensaibanpaku.com )のチケット売り始めるじゃないですか。あの恐ろしい商法(笑)。
 

小谷 やってた〜。

 
碇本 あれはほんとうにすごいなって思います。
 

小谷 ホンマすか。

 
碇本 コミュニケーション能力としておかしいんですよ、あれは。
 

小谷 あっ、そうなんですか。

 
碇本 全然知らない人に捕まえられて、知らないアーティストが出ている3500円する年末に開催するフェスのチケットについて二、三十分話をされる。もう面白くなってくるかこれは買わないと帰れないなって状態になる。そういう話術ってほんとうだったら芸人的なものじゃないですか。言い方は悪いですがそれが出来ていたら芸人として小谷さんもっと売れていた可能性もあるんじゃないかなって思ったことがあって。
 

小谷 あるかも。

 
碇本 でも、いまそうじゃなくなっているのにコミュニケーションで信頼や縁でものが売れていて、フェスだって半分以上は売れてますよね。

 
小谷 あともうちょっとですわ。

 
碇本 西野さんの独演会の二千人ってなんだかんだ言って日本中であの人はテレビで見たことがあるっていう人がやっていて、小谷さんのことを知っている人は世間的にはそんなに多くないのにチケット六百枚とか売れている、その半分以上は手売りしながら現時点で売れている。西野さんのイベントとか来た人に売っているとしても売れる打率みたいなものはそうとう高くないですか?
 

小谷 そうやなあ。

 
碇本 僕もフェスのチケットを買った時にポストカードの裏面に手書きで日時とかチケットの詳細とか書いてくれたじゃないですか、あれって人に言いたくなるんです。
 


 

小谷 そうなんですか!

 
碇本 西野さんのところにホームレス小谷さんって人がいて、で一日自分を50円で売っていてフェスもやってるんだよ。でも僕の周りにはフェスに出演する奇妙礼太郎さんですら知らない人が多いんですが、ダイノジの大谷さんはわかるんです。DJダイノジだよって反応するような人はマキタスポーツさんとかも知っている感じになるからそういう人はもう来る感じの人だと思うんですよね。
 

小谷 そうなんや。

 
碇本 で、チケットが手書きだから五分ぐらいかかるんだよって言うとそれはおもしろいってなるんです。その五分でコミュニケーションとるわけだから喋るわけですよね。で、西野さんはみんな知ってるけど小谷さんのことは知らなくてもみんなそういう話をするとすごい好感触なんですよ。
岡田斗司夫さんが書かれた『カリスマ論』にもありましたが、大きな存在ではなくひょっとしたらなれるかもしれない可能性。小谷さんみたいになりたいって人は実際にいるじゃないですか。いきなり一人ではやりづらいってのも当然ある。西野さんのとこ行ったら小谷さんいてやりとりをしていろんな繋がりが広がっていくっていう流れももちろんあります。高校生がいきなり自由な生き方したいんでってホームレスのこういう生き方があるんだっていって始めてもおそらく小谷さんみたいな暮らしはできないと思います。

 
小谷 どうなんやろうなあ。

 
碇本 小谷さんは家入さんや西野さんに良くも悪くもかどわかされたというか、まず小谷さん自身の考えがあるのかないのか見えない。
 

小谷 ハハハ。

 
碇本 あと何個か聞こうと思っていることがあるんですが、今の生活はけっこう楽しいと思うんですけど。
 

小谷 すげえたのしいです。

 
碇本 これがいつまで続くとか考えてます?
 

小谷 考えてないです。

 
碇本 考えてたら、たぶんやらないと思うしこのまま行けば西野さんは新しい芸人としての価値観を作っていくと思います。そういう西野さんを見ていて、いろんな縁があって西野さんの家に転がり込んでホームレスになり、結婚し週刊誌に取材受けるとか芸人の時には思っていなかった、なろうと思っていなかった状態になっています。誰かにこういうことやればって言われてフッとやれたのか、なにも考えずにやれたのか面白がってやれたのかどっちなんでしょう?
 

小谷 とくに考えてないんで。

 
碇本 小谷さんのすごいところはわりと考えてないところでうまくいっているところですよね。だからそれがすげえなって思うんです。

 
小谷 ありがとうございます。

 
碇本 以前に下北のろくでもない夜でのダイノジ大谷さんと西野さんのトークイベントの打ち上げで立川談慶師匠とTBSの角田プロデューサーと行かせてもらった時に最後らへんで西野さんかなり酔われていた時に大谷さんが西野さんの一番弟子は、発明品は小谷さんだってずっと言われてました。そういうことを大谷さんに言わせるようなポジションにいるのでマネのしようがないと思うんです。だから西野さんは小谷さんのことをあいつは天才ですよって言うんだろうなって気がします。
 

小谷 はっはっは、イエーイ!

 
碇本 前に西野さんの家にインタビューさせてもらいに行った時に西野さんがずっと小谷さんは天才って言われていたんです。

 
小谷 ええ奴やな、あいつ。

 
碇本 お前より年上や!
 

小谷 ええ奴や〜。ほんまええ奴や。


 
<天才っていったいどういう人なんだろう?>
碇本 自分のことをあれだけ天才って言っている人があいつは天才ですよっていうのは自分にはできないことをできるっていうのを認めているわけだから。
 

小谷 すげえ、そういうことか。

 
碇本 もし西野さんができることを小谷さんができていたら天才とは言わないと思うんです。

 
小谷 なるほど、ほうほうほう。
 

碇本 自分には今できないことをやれているから天才って言われているのかなって。僕は今だと周りの人になんで急に西野さん西野さんって言い出してるんだって思われていると思うんですけどそういう天才というものに興味があるんですよね。
実際、小谷さんから見た西野さんってどういう人ですか? 芸人だった頃は先輩だし超売れっ子だし、一番近い目の上のたんこぶ的な存在でもありましたよねキングコングは。

 
小谷 なるほど。あんまり僕テレビもちゃんと見てないからわからないかも。

 
碇本 その辺も不思議なんですよね。

 
小谷 楽しいなって思ってますよ。

 
碇本 今だとこれだけ付き合いもあってこれだけ行動も一緒にしてるから良くも悪くも西野さんに振り回されていると感じますか?
 

小谷 うーむ。どうだろう。

 
碇本 デザインフェスも西野さんにおいでよって言われたら来ていらしたと思いますが、いく必要があるかっていうと後輩芸人でもないし行く必要があるのか僕には謎なところも少しあります。

 
小谷 へえ〜。でも、ほんと楽しいから行くってだけですよね。
 

碇本 その楽しいってことがいろんな人を巻き込んでるじゃないですか。

 
小谷 はっはっは、おもろ(手を叩きながら)。

 
碇本 西野さんにもインタビューの時に言ったんですけどこれから西野さんに憧れる人もたくさん出てくるだろうけど小谷さんに憧れてくる人もたくさん出てくるんじゃないだろうかと。小谷さんに憧れる人がたくさん出てきた方が世の中は面白くなるのかもしれない。
その時その場所にいるってことがのちの人生で一番デカいことでもあったりするじゃないですか?

 
小谷 おお、おお、おお。

 
碇本 小谷さんが西野さんの家に転がり込んで家賃を滞納しなかったらこういう人生にはならなかった。先輩芸人の家でそれを普通にしたでしょ。

 
小谷 そうっすね。

 
碇本 一般的に考えるともう少し申し訳なさそうにしてそうなものですが、そんな感じもないし、家入さんにホームレスになればって言われたらなっちゃう。芸人さんだったら芸人として売れたいですとか言いそうなものですけどフラッとホームレスになっている。それは面白そうだからやれたのか、仕方ねえなって感じだったですか?

 
小谷 とくに。なんか、まあ。

 
碇本 わりと考えてないですよって言うじゃないですか。
 

小谷 ホンマなんにも考えてないですよ。
 

碇本 考えてなくてうまくいくってよほど運がいいか、周りがすごいかしかないと思うんです。
 

小谷 あっはっは、どっちもですね。

 
碇本 それがどっちも今はあって、しかも縁が広がってきてるじゃないですか。まさしく信用が増えているからもうお金よりも強いものが生まれている。
 

小谷 そう、それじゃないですか。

 
碇本 それって十年前だったらできなかったと思うんです。SNSが浸透してツイッターがあってフェイスブックがあって繋がっている。
 今日泊まるとこないから誰か泊めてって十年前ならミクシィがあったけどミクシィだと違ったのかもしれない。

 
小谷 ミクシィやってたな。

 
碇本 今だったらそうツイートしたら「じゃあ。おいでよ」って言ってくれて泊まれている。

 
小谷 うん、泊めてくれますよね。
 

碇本 なんだろう、インターネットが普及し始めた頃はネットと現実世界は別のものって感じがまだありました。いじめられっ子はネットなら情報収集も得意で面白いことも言えるかもみたいな部分があったけど、みんながネットするようになったら現実世界でもつまんねえやつはネットでもやっぱりつまんないってことがバレてしまった。そこにはただの現実しかなかった。西野さんももちろん使われてるし小谷さんもうまく使われている。

 
小谷 はっはっは、ホンマっすか。やった〜。

 
碇本 そういう部分も岡田斗司夫さんは見てるんだと思います。だから著書の『カリスマ論』で小谷さんのことを書かれたのかなって。
 

小谷 ありがたいっすね。ホンマあの人おもしろい。岡田さん好きやわ。
 

碇本 西野さんのそういう界隈と繋がるじゃないですか。

 
小谷 面白い人ばっかりですからね。でも、僕は岡田さんのこともあんまり知らなかったんですよ。

 
碇本 知らないから行けるっていうのはありますよね。

 
小谷 僕、ホンマ何も知らないんですよ。知らんし考えてないから。ただ、酒が飲めたらいいなって思ってるだけです、ホンマに。

 
碇本 これからどうなるんでしょうね?
 

小谷 ね? わかんない。

 
碇本 この間飛行機のビジネスクラスの乗り心地を確かめてっていうオファーで飛行機に乗ってましたが、それだけ見てるともうわかんないです小谷さんって存在が。なんなの? どういうことなの?
 

小谷 ビジネスクラスはホントいいですよ。

 
碇本 あれで香港でしたっけ、行ったの?

 
小谷 いや、上海です。

 
碇本 それで上海に行って向こうで誰かに泊めてもらったわけですよね。その前は西野さんの個展が台湾であった時に個展のことじゃなくてUFOを撮影したってフェイスブックにあげてました。

 
小谷 UFO見ましたよ、ヤバイっすよUFOは。

 
碇本 で、前のニコ生の放送で西野さんがあれはステルス戦闘機だっていう話(初めてUFOを見たという男性の話をしてそれはまだ公表する前のステルス戦闘機であってそれは公になっていなかった。未確認飛行物体でももちろんその時はあるためにUFOと呼ばれた)をされていて。
 

小谷 本当に説明がうまいっすよね。
 

碇本 ホームレス小谷っていう名前だけど海外にガッツリ行ってるやんっていう。

 
小谷 めっちゃ行ってるなあ。

 
碇本 小谷さん自身は今なにか作りたいとかあるんですか?

 
小谷 僕がですか、まったくないです。

 
碇本 でも、その場に居ちゃうじゃないですか。

 
小谷 楽しいなと思ったら居ましたね。

 
碇本 西野さんに台湾の個展イベントの時のトークショーでは日本の有名なアーティストですみたいな嘘の説明されるじゃないですか。

 
小谷 あ〜、なんか言ってたあの人。

 
碇本 考えてないんですよって言われるとあっそうなんだって思うんですけど、考えてなくても人ってこんなにもうまく生きていけるんだって不思議でしょうがないんです。

 
小谷 はっはっは、いいっすね、それ。
 

碇本 でも、自分は運はいいほうだと思いますよね?

 
小谷 はい。


 
<ホームレスになった今の目標>
碇本 芸人の時よりもホームレスになっていろんな人に会うようになってから完全に人生は変わってきている。

 
小谷 ああ、なんかね運はいいなって思います。

 
碇本 これどこまで行くんでしょうね?

 
小谷 どこまで行くんやろ。とりあえず世界の人と家族になるんですよ。

 
碇本 怖いわ発言が。

 
小谷 それ決めてるんですよ。
 

碇本 世界中でどこでも泊めてくれる人がいるっていうことですか?

 
小谷 それ目標なんです。世界の人と家族になるというのが。

 
碇本 目標あるじゃないですか。では、今海外どこでも行っていいよってなったらどこに行きたいですか?

 
小谷 やっぱヨーロッパかグアム。
 

碇本 ヨーロッパは行ったことあるんですか?

 
小谷 ないです。

 
碇本 グアムは?

 
小谷 グアムはあったかそう。超楽そうリゾート。僕なんにもしたくないですから、楽そうでしょグアム。

 
碇本 僕のなんとなくイメージなんですけどおとぎ町っていつか実際にどこかの町とか村を使ってできると思うんですよ。西野さんが飛び回ると小谷さんが町長とか市長になると思うんですよね。
昔話にありそうなんですけど英雄が魔王を倒して平和を取り戻したりすると一緒に戦った仲間が王になった英雄がすぐに亡くなったりすると後を引き継いで王になるとわりと平和な国を作ったりするみたいな、あるいは王になった英雄はまた次の戦いに出かける時に国は任せたみたいな感じで仲間に託すみたいな。だからおとぎ町は西野さんがいろんなところに拠点を作り出したら、あるいはピクサーみたいなものを作り出すときに小谷さんに任せるんじゃないかなっていうのが僕のイメージなんです。

 
小谷 おもしれえ。いいっすね、村長とか市長とか。たのしそう。
 

碇本 小谷さんは西野さんの付き人みたいに一緒に飛び回るか、なにかを任されるかのどっちかになっていくんじゃないかな。

 
小谷 どうなるんやろう。

 
碇本 人口の何パーセントかを掴んでおけばいいのなら過疎化している山奥の町とかでここに町を作りますって言っておとぎ町して年に一回とかフェスみたいなことをしてたくさんの人がやってくればお金も回るし、そこに住みだす人も増えるってありえそうですよね。そうなったらリアルシムシティーになりますし。

 
小谷 最高やん!

 
碇本 そういうことになったらあいつ市長でよくないって流れがあったらなれたりするかもしれない。ある意味で小さな独立国家、独裁国家、新政府みたいなものが日本のなかにおとぎ町っていうものができる。
西野さんも言われてますが髪を切る人が食事を作る人がいて通貨っていうものは信用だから村だけの単位みたいなお金みたいなものがあれば経済が回ればみんな生きていけるようになればいいじゃんって。でも、それは限りなく宗教的な部分も孕んでしまう。
堀江さんとかも言われているけどお金の価値観がおかしくなってるから新しい価値の通貨作ればいいじゃん。でも新しい通貨ができないのは今お金をいっぱい持っている人たち、ある種の既得権益の上位にいる少数は今の状態を壊されたらたまらんっていうのもあって、たぶん作りづらいし浸透しづらい。この村ではこれは通用しますってなるとカルトになるわけですよね。

 
小谷 楽しく生きたいっすよ。

 
碇本 だからそのカルトさをどうぶち破るか。西野さんはわりとそっち側に向かうのかもしれないなって思うところもあるんです。価値観を壊していくというか新しい価値観の創造を。

 
小谷 どこに行くんでしょうね。

 
碇本 芸人というものを変えるというか、アートとかもされていてみんながツッこむのを待っているというか。海外で成功したときに「お前芸人じゃん!」みたいな。
 

小谷 はあ、なるほど。

 
碇本 良くも悪くもおとぎ町商工会(フェイスブックでのオンラインサロン的なもの)とか一部のファンの人たちを教育している感じも少しはします。子供を舐めるなよみたいなことを言われていて。クリスマスのことに関してでしたがここにいるならそういうことがおかしいと思えないのはおかしんじゃないかなっていうある意味の教育じゃないかなって思ったりしますね。

 
小谷 ホンマあの人のいう通りっすよね。

 
碇本 子供をこんなもんなんだって思っている。子供は見るところきちんと見ているから舐めんなよっていう。

 
小谷 あれもよくないですよね。

 
碇本 日本だからってのもあるのかもしれない。ヨーロッパだったら子供でも個人として尊重されている感じがします。
西野さんはどこに行くんだろうなっていう興味があって、小谷さんはそれにずっと付き合っていくんだろうなってやっぱり思うんです。

 
小谷 楽しいっすよ。

 
碇本 西野さん三蔵法師なんですよ。小谷さんは孫悟空とか。三蔵法師が天竺に、面白い場所があるらしいって言ったらお供は一緒に旅をして目的に向かっていくような。そのパーティの参加者がどんどん増えればやがて町になるだろうし。
 

小谷 最高じゃないですか。

 
碇本 もしかしたら海外に行った方が楽かもしれないですね。
 

小谷 海外楽しいな。


 
<天才たちのグラデーション>
碇本 今年の8月のおとぎ町からなのでたった数ヶ月だけど西野さんや小谷さんやっぱりおもしれえって思うけどどこまで僕はオッケーって言えるんだろうかっていうのも思っていて。だって、僕は小谷さんみたいな生き方はできないし小谷さんがそれをすでにやっているのに追いかける必要があるのかというと違うと思うし。僕は文章を書きたい人間でそっちで売れたいという欲望が捨てきれないので。
 

小谷 いいじゃないですか。

 
碇本 西野さんはドキュメンタリーの対象としておもしろいわけです。あんだけ話せる人だからもちろん文章だって書けると思うから文章的ななにかでお仕事するという感じでもないし。単純に西野さんのことでなにか書きたいと思ってインタビューをさせてもらったんです。その中でずっと引っ掛かっている単語が「天才」なんです。「小谷は天才です」と西野さんにガッツリ言われました。
西野さんは自分のことを天才ともいうからもう天才という基準はどこにあるんだろうか、なんなんだろうっていうのがずっとあるんです。僕が今に至る繋がりとかを作ってもらうきっかけになった園子温監督は「天才」とは言われないんです。「鬼才」って呼ばれている。「鬼才」と「天才」の違いってなんなんだろうとか。
 

小谷 うーん。たしかに。

 
碇本 「天才 西野亮廣」って言われたらわかるけど「鬼才 西野亮廣」って言われたらたぶんうーむって思うだろうし。
 

小谷 はいはい。

 
碇本 「天才 園子温」って言われるとなんか違うし。この差異みたいなものがずっと気になっているんです。僕がこの連載で次に書こうと思っているのが「天才」をめぐる話というか。映画学校を卒業して十年とか経った同級生たちがいてひとり在校時から監督として評価されていて日本映画でも若手のスター監督扱いされている天才がいる。卒業して主婦になった女の子と彼との関係、映画関係に行こうと考えていたけどAV男優になった男と彼との関係や想いとかを書いてみようと思っているんですが、自分の周りにはどのくらい「天才」っているんだろうなっていうのが根本にはあって。
西野さんは自分から「天才」ということでそれをみんなに浸透させていくというトリックスター感もあると思う。話もうまいからよけいにそれが口だけじゃなくて伝わるし行動でもきちんと見せているから納得感があってさらに強調される。でも、小谷さんのことは普通に「天才」と言われている。

 
小谷 ほお。
 

碇本 天才が天才っていう天才って、どういうグラデーションがあるのか。

 
小谷 はあ、なるほど。でもそれわからへんし。

 
碇本 感覚がわかんないんですよ。すぐ近くには「鬼才」がいるし、鬼でしょ、まず人の子じゃないし。

 
小谷 はいはいはいはい。
 

碇本 「天才」だって天でしょ。地上の者ではないってことでしょ、もう逸脱している人なんですよ。僕らが常識だと思っていることはそれっておかしいよねって話になる。まずなぜそれを常識だと思い込んでいるのかって西野さんもよく指摘されますよね。クリスマスも子供騙しなことをしたらおかしいんじゃんって思うけど、大抵の場合はおかしいよねって思ってもあまり言わないようにみんなしている。
気にし始めるとどこでなにに躓くかわからなくなるっていうのもあるのかもしれない。これはおかしいよねって言い続けることでそれがボケにもなっていくし人を巻き込む力があるし人たらしでもある。

 
小谷 なるほど、たしかに。

 
碇本 小谷さんもたらせる能力があると思います。そうじゃないといろんな場所に呼ばれないだろうし。運がよかったからいろんな人に呼ばれたりしていた小さな波が連鎖的に続いて大きな波になっている波状効果は生まれてきてます。小谷さんは変わってないかもしれないけど影響を与える範囲はだいぶ広がってる。

 
小谷 そうかな?
 

碇本 ネットもあんまりしなくて情報源もテレビぐらいの人には『水曜日のダウンタウン』で岡田斗司夫さんから西野さんになって小谷さんが面白い人として紹介されて出てくる流れを一般の知らなかった人は「ホームレス!」ってなったと思う。
 
小谷 ビックリしますよね。
 
碇本 岡田さんは西野さんをビジネスマンとして面白いと紹介し西野さんは小谷さんを生き方が面白いと紹介されました。存在がおもしろいという評価のされ方をしている。そうなると芸人さんとかは次元が異なってくる。西野さんが言われている生き方や存在そのものが芸人っていうのとダブって来ていて。そういうものも知らないうちに小谷さんは背負っているのかもしれないですよね。

 
小谷 なるほど。

 
碇本 それって小谷さんやってたじゃんって言われるようなことがこの先あると思うんです。自分を売って生きているけど縁で生かされている。この前『週刊プレイボーイ』にもインタビューされてましたし、今知らない間に先駆者になってるのかもしれない。
 

小谷 そんなんなってるんかなあ、そうならすごいな。

 
碇本 人って自分からやろうと思ってなんとかなることとならないことがあったらたいていならないじゃないですか。

 
小谷 はいはいはいはい
 


<これからのこと>
碇本 良いことも悪いことも巻き込まれてしまって起きることが多い。小谷さんは完全に巻き込まれてしまったけどプラスにそれが働いている。いま何も考えてないからと言われてましたが考えてないにしてもプラス思考ですよね。
 

小谷 ああ、そうっすね。

 
碇本 ネガティブな人だったらホームレスやれってことは芸人として面白くないんだ、向いてないんだって思うでしょう。それなら関西に帰ろうとか思っても不思議ではない。西野さんや家入さんが言うならやってみようって思う人って芸人で多い感じはしないんです。
 

小谷 そうなんですか?

 
碇本 ある意味では否定されたと思わないでもないことでしょうから。

 
小谷 へえ〜。

 
碇本 ってぐらい考えてないんですよ。だからその考えてなさが怖いんですよ。

 
小谷 あっ、そうなんですか。
 

碇本 人間てこうなったらいいなとか多少は考えてるじゃないですか。小谷さんは西野さんのイベントとかフェスがあったら呼ばれてそこで手伝っていたらまた縁やつながりができる。芸人をやってた時よりも明らかに小谷さんを必要としている人たちがたくさんいるし増え続けている。

 
小谷 あの頃は全然いなかったですね。

 
碇本 ファンではないけどなにか家族的な友達のような人が増えている。だから存在感が不思議なんです。芸人時代は売れたいとかいろんな想いがあったと思うんですけど辞めていろんな人に会うようになると急激な川の中の石はとんがっていても次第に丸みを帯びるような感じで小谷さんも変化したのかもしれない、お話をしているとそう思える部分があります。そういう場所に飛び込んで自分がどんどん変わっていくってなかなかできないことだよなって思います。
 

小谷 ほお。

 
碇本 稲や麦みたいに芯があっていろんな方向の風に身を任せている。でも、生き方とかに芯があるから折れないし倒れないしなやかさが小谷さんにはあるのかもしれない。周りに任せている方が幸せだと言わんばかりに。
 

小谷 なんもできないからですよね。

 
碇本 このまま行くと小谷さんは西野さんたちの流れに逆らわずにフワフワとおもしろいことや行こうって言われる所に行って楽しいことをやっていくんだろうなって。
 

小谷 ハイボール飲んでいいですか、あとスープも。スープが美味しいんですよ。

 
碇本 どうぞどうぞ。

 
このあと餃子を食べながらお酒を飲みながら一時間ぐらいは話をしていましたがICボイスレコーダーにきちんと録音できてませんでした。
小谷さんに興味ある方は一度小谷さんを一日買って話をしたりいろんな依頼をしてみたらいいと思います。
依頼はこちらに→http://yugamigachi.thebase.in 月初めに一ヶ月分更新されているみたいです。


↑は『水道橋博士のメルマ旬報』(https://bookstand.webdoku.jp/melma_box/page.php?k=s_hakase)に掲載したものです。