Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『西野亮廣の渋谷ゴーストバスターズ』第五回

西野亮廣の渋谷ゴーストバスターズ

 


第五回 

 
『渋谷ゴーストバスターズ&ハロウィン トラッシュアート』を終わった後の11月6日にワニスタでニコ生放送前の西野さんにインタビューさせていただきました。
 


<渋谷ゴーストバスターズが終わってみて>
碇本 「TOKYO DESIGN WEEK」と「渋谷ゴーストバスターズ」が終わってからの率直な感想を聞かせてください。

 
西野 すごいいい報告は11月1日の渋谷ゴーストバスターズのあった日が一年間で渋谷が一番キレイな日だったということでした。それがめっちゃいいなって、ハロウィンがあったからそうなったのですごくよかったです。
 

碇本 ラッパーのZeebraさんをはじめ、ほかのいろんな団体のボランティアスタッフさんとかもゴミ清掃されていました。僕も渋谷ゴーストバスターズに参加させていただきましたが、参加していた班の清掃地域がラブホテルやライブハウスやクラブが集中している円山町のエリアだったのですがとてもキレイでした。
本当に大きなゴミがなかったです。Zeebraさんたちクラブ系のボランティアの方々が先に清掃されていたエリアだったのかなって思ったのですがそういう話って西野さんは事前に聞いたりされていましたか?

 
西野 いや、でも去年の段階でバッとゴミ拾いやろうぜってツイートして言ってました。だから、まずゴミ拾いをする人は増えるだろうなと思ってて、それがすごいよかったです。僕が一番いいなと思ったのは僕らのゴミ拾いを邪魔しようとして2ちゃんねらーの人たちがゴミを拾い出したというのが最高でした。

 
碇本 彼らは西野さんたちの「遊び」を潰すためにゴミ拾いをするっていうとてもおもしろい展開になってました。

 
西野 だから、あのタイムボカンとかのアホな悪者みたいなことになっていて。結局目的は果たされたわけです。
 

碇本 ウーマンラッシュアワーの村本さんは西野さんが人間のゴミまでも使ったっていうようなことをラジオで仰ってました。
 

西野 言ってましたね。

 
碇本 今回は西野さんのアンチの一部の方がゴミ拾いを本当にされていました。アンチが西野さんを炎上させたりだとかはありましたけどこういういい結果になったことって今までにあったりしましたか?
 

西野 そうですね、「E.T.チャレンジ」っていうのがあったんです。目白に超デカい坂(豊島区にあるのぞき坂)があるんですけど、そこを上りきったら「E.T.」みたいに飛べるんじゃないかなって遊びでやりました。都内にある一番急な坂を上ろうと思ったらすごい勢いがいるじゃないですか。普通に助走つけても上れないし無理だから大阪から600キロ助走してやろうというのを一週間ぐらい休みとってプライベートでやったんです。
最初はみんなバカにしてたんですけど二日ぐらい前になったらだんだんお客さんが「がんばってください」みたいなことを言い出してきて、だって飛べるわけないじゃないですか。前日ぐらいになったらお客さんが熱くなってきて「見てますから」「見に行きますから飛ぶ瞬間を」とか「見に行けないけどオフィスのベランダから空見てますから」とかみんなだんだんバカになってきてめっちゃおもしろくなってきたんです。
結局フライトの時にバーと行ったんですけど、信号で二千回ぐらい止まってますし勢いなんか全然ないんです。足もパンパンですし坂の途中で上れなくなって地面に足をついたらお客さんが「ああ」ってため息ついて。なんでちょっといける感じを出してるんだろう、期待してたんだろうっていうのがすごくおもしろかった。それがスポーツ新聞に載ったんです。
キングコング西野E.T.チャレンジ失敗!」と出たそのニュースを見た2ちゃんねらーが「西野ざまー」って言い出した。みんなファンタジーに乗ってくれて、2ちゃんねらーの「西野ざまー」は一番素敵だった。

 
碇本 飛べないことが当たり前なのに。

 
西野 失敗しやがったみたいなね(笑)
 

碇本 みんなその企画に乗ってしまったんですね。やはり西野さんがやることが最初のきっかけでみんなおもしろい方向にいってしまいますね。

 
西野 いやあ、あの時みんな素敵だった。今回、聞いたところによるとアンチの人はって言われているけど実際のところは五人とかなんですよ、ゴミ拾いしたの。

 
碇本 本当のところは五、六人ってことなんですね。
 

西野 五、六人でハチ公の前だけなんです。それでもすごく助かりました。あそこは掃除しにくい場所でもあったので。

 
碇本 僕は集合時間より少し早く渋谷の様子を見に行こうと思って五時ぐらいには道玄坂から下りてハチ公前までどんな感じなんだろうかと見てました。大通り沿いのゴミはもう電柱の方に固められていて、スクランブル交差点を渡ったところは西武百貨店だとかのジャンパーを着た方々がかなりキレイに清掃されていました。
西野さんが渋谷ゴーストバスターズでやろうとしたこととほかのボランティアの方々がやろうとしたこととうまい具合に波長が合ったというか、ゴミ拾いやろうぜ!って言ったことがいい流れになっていてそれは本当に素晴らしいなと思いました。
あとはネットとかで出ていましたが、渋谷ゴーストバスターズに参加していた親子連れのお子さんの写真が使われていて、大人が遊んで子供に後片付けをさせるなんて!みたいに現実とは違う曲解した報道もされていましたけど、あの子たちもゴミ拾いというか渋谷ゴーストバスターズとして遊んでいただけなんですよね。
 

西野 そう、むっちゃ楽しかったです。要は僕たちはゴミ拾っているんじゃなくて、着地点はゴミでアートを作ることだった。アートの材料を集めていたんです。

 
碇本 はい。今回は「遊び」というのが大きなテーマでした。西野さんがやる「遊び」にみんな巻き込まれてその遊びに参加しました。

 
西野 だから本当に超楽しかったです。タバコの吸殻が二回とか三回続くともっと大きめのゴミ来いよって感じになってたし。大きな木のボードとか拾ったらめっちゃテンション上がりましたもん。

 

<来年以降のことについて> 
碇本 酒の瓶とかあるとなんかに使えそうだと思いました。それは不思議な光景でした。
班長の方々は14人ぐらいいらしたと思うんですがあの人たちは元々西野さんの周りのスタッフさんとかですよね。あの人たちと参加している人たちはほぼ面識がないのにゴーストバスターズという括りで遊ぼうとした人たちだったのですぐに意気投合してましたね。西野さんはいまツイッターを個人的には辞められていますが、SNS的な繋がりを現実の場に持ちこめていて、西野さんを軸としてそれが広がっているのを強く感じました。
この渋谷ゴーストバスターズ自体は来年どういう風にされるつもりでしょうか?
 

西野 どうしましょうか。

 
碇本 やらなくても誰かがやる感じもあるじゃないですか。

 
西野 そうなんですよ、もう誰かやってくれそうな感じはあるんです。
 
碇本 来年は映画『ゴーストバスターズ』の新作の公開する年だったりもするので宣伝として映画に出てる役者さんがやってもいいでしょうね。その辺りのことはまだ未定な感じなんですか?
 

西野 まだ、何にも考えてないです。

 
碇本 来年ゴーストバスターズをやるかやらないかを別にしても「TOKYO DESIGN WEEK」は理事のままですか?

 
西野 そうですね。「TOKYO DESIGN WEEK」は理事を続けていたらめっちゃ遊べるなってすごくわかりました。

 
碇本 アートってことにしたらいけるんだっていうことですね。ゴーストバスターズは未定ですが「TOKYO DESIGN WEEK」の理事は続けていくってことなんですね。

 
西野 アートってめっちゃいいなって。芸人もそう、いやアートのほうが広いんかな、いろんなものを内包しているから。作品もアートだし運動もアートだしイベントもアートだって言えるんです。だからなにかを仕掛ける時にはあそこに落とし所を持っていきやすい。
 

碇本 なるほど。そう言われると芸人の活動自体もアートと言えます。

 
西野 そう、言えるからめっちゃいいなって、いいおもちゃ見つけたぞって思いますね。

 
碇本 おもちゃと遊びっていうのが大きな原動力になってますね。今回はさきほども言われてましたが渋谷が一年で一番キレイだったといろんな人も言ってました。それ以外で周りの方とかに言われて西野さんが嬉しかったことってありましたか?
 

西野 一番思ったのは、最近すごく興味があるんですけど子供に見つからないものっていうのは浅はかだなと思うんです。子供にすごく興味があって。
 

碇本 ヒロちゃん(参加していた男の子)と一緒に歌ったりとか手をつないで歩いていたりしているのを見て西野さんが子供を好きなのもよくわかりました。西野さん未来の話をよくされますよね、普通に考えたら未来というと十年、二十年とかもっと先のことじゃないですか。その時にそこにいるのは今の子供やこれから生まれてくる子供たちですよね。
西野さんが保育園とかやってみたい、子供のなにかをやりたいと言われるのはずっと未来について考えられているからなんだっていうのをヒロちゃんと西野さんが一緒に楽しく歌を歌っているのを見てわかった気がしました。
福島の原発の問題もそうですけど、僕の好きな作家の古川日出男さんも小説とかでご出身の福島のことを書かれているんですが古川さんは五十歳に近いんです。原発廃炉にするかどうかとか様々な問題があってそれは二十年とか三十年とかもっとかかるかもしれない。そうなると古川さん自身もそれを見届けることができるのかどうかわからないと言われます。これから先、今の子供たちとか生まれてくる子供たちがそれらのことをどうしていくとか見届けるってことになるのでそれを考えると百年先の想像力が必要になってくると言われていました。
 

西野 はい、そうですね。

 
碇本 それはやはり未来のことですよね。西野さんが言われていることとアートがうまく調和していて未来を感じられました。

 
西野 だから、親子で参加してくれている人が多くて嬉しかったです。あの感じでやったら自分のファン層の若い女の子とかだけになりがちじゃないですか。

 
碇本 けっこういろんな年代層がゴッチャゴッチャな感じでした。

 
西野 あれは嬉しかった。親子連れが多くて、おとぎ町があってずっとゴーストバスターズのことを言ってたからってのもあるんでしょうけどね。
 

碇本 お父さんと子供っていうよりはお母さんと子供って組み合わせが多かったです。親子連れで参加されていた方々はおとぎ町にも来ていた方が大半だったのかもしれないですね。

 
西野 はい。だから来年やるとしたら集合時間ズラすんだと思います。子供はもうちょっと酔っ払いのいない時間に、もっと後の時間にズラして参加してもらう。

 
碇本 今回のことでいうと「TOKYO DESIGN WEEK」でゴミからアートを作るというものですからお子さんが多ければ多いほど教えてあげる人も増やす必要があるかもしれません。もっと簡単なものをとなれば今回のように吊るすようなものではなくて小さなものになってくる可能性もあります。そうなっていくと西野さんは最終的に先生になっていくんですかね?
 

西野 先生おもしろそうっすね。
 

碇本 今だと大学とかクリエイティブ系の専門学校とかに授業というか講義されているのですでに先生みたいです。いろんな学校から講演とかの話は来てますよね。高校生とか大学生も面白いやつがいっぱいると前にも言われてましたが、そのさらに下の年齢に触れ合っていくというか。

 
西野 行きたいんですよね〜。

 
碇本 言葉って難しくなりますよね。伝わる言葉って限度があって。
 

西野 やりたいんです、やりたいなあ。

 
碇本 そういうお話は来てないんですか? 幼稚園とか保育園とか。

 
西野 いや、一個ありました。まだそこには行けてないんですが。

 
碇本 お話はあったんですね。

 
西野 でも、やりたいですね。超興味あります。

 
碇本 ヒロちゃん見た時に本当にいいなって思いました。

 
西野 あいつらが退屈するようなものはダメですね。

 
碇本 そうなると広い意味でのエンターテイメントということになりますよね。
 

西野 超ポップ! 超ポップが好きなんです。

 
碇本 これからのことなんですけど来年だと絵本(四冊目『えんとつ町のプペル』)も出版されると思うんですがおとぎ町を実際に作るという話は進んでいますか?

 
西野 埼玉の土地を借りれそうなんでそこでやるか、もしかしたらあんまり大きな声で言えないですけど「TOKYO DESIGN WEEK」って毎年あるんだったらそこ自分たちのものではないけど、理事だしあそこにサーカスみたいなのものを作ればいいなって思ってます。『天才万博』(次回インタビューで登場のホームレス小谷さんの主催の音楽フェス)のステージや『サーカス』(面白い授業をというテーマの大人の学校)のステージにすることもできるので。
 

碇本 舞台もできますよね。

 
西野 そう舞台もいけるしみたいな。

 
碇本 そうなると西野フェスですね。

 
西野 そうなんですよ、それをバレんようにそっちにしていくっていう。
 

碇本 そうだとすると何年か地ならしをしながら一個二個と進めていく感じになります。そうなると西野さんは理事やめれないですね。

 
西野 理事はやめられないです。今回 『TOKYO DESIGN WEEK』では「渋谷ゴーストバスターズ」で貢献したので意見言いやすくなってるんです。最近は一年目なのにだいぶ偉そうにしてるんです。

 
碇本 今年まだ一年目なんですね! 

 
西野 偉い人がいっぱいいるんです。隈研吾さんとか小林武史さんとか茂木さんとか大御所がね。

 
碇本 今回実績もでき話題にもなって「TOKYO DESIGN WEEK」のことが取っ掛かりになってもっと大きな遊びに繋がっていくかもしれないですね。
 

西野 あっちを自分たちの遊びにしていくかもしれないです。

 
碇本 一年に一週間だけできる村とか町とか。

 
西野 言うても「TOKYO DESIGN WEEK」は来場者が十何万人いますからね。
 

碇本 会場を歩いてましたがけっこう海外の人が多かったです。

 
西野 そう、それがいいと思っていて。

 
碇本 言語とか関係なく参加できるようになればもっと面白いことになっていきそうです。

 
西野 そうですね。

 
碇本 絵本が西野カフェに置かれてました。海外から来ていても絵本には英語も併記されているので多くの方が読める状態ですね。それを引っ張って行ってもらうと本当にディズニーの倒し方というか展開が外に広がっていきますね。
 

西野 「TOKYO DESIGN WEEK」を本当に使っていくかもしれないです。


 
<西野さんがいま会いたい人について> 
碇本 戦略としては考えているんですね。「TOKYO DESIGN WEEK」とは関係がないんですが今一番会いたい人とかいますか?
 

西野 いま興味ある人か〜。

 
碇本 次のことをいろいろと考えられているとは思うんですが、その人に会ってみたいみたい、この人の言っていることおもしろいとか。最近だと現代の魔法使いと呼ばれている落合陽一さんと九州でトークイベントに出られてました。

 
西野 落合さんおもしろいですね。
 

碇本 批評家・宇野常寛さんの『PLANETS』から落合さんの単行本『魔法の世紀』(11月28日発売)が発売になったりします。はじめて落合さんのトークを見た時にこの人おもしろいから本とか出たら絶対に買おうと思いました。ああいう方々はアートでもあるし、次のシステムを作ろうとしている人たちでもあります。西野さんはそういう方々と会うことがあると思うんですがこの人となにか、会ってみたいとかいう人います?
 

西野 この間、チームラボの猪子寿之さんがデザインウィークの西野カフェに来てくださって、お互い次の予定があったのに五分だけのつもりで話して飲み出したら結局、お互い次の仕事一時間ぐらい遅刻してしまうぐらい超話が楽しかったんです。久しぶりにこんなに楽しい人だって思いました。

 
碇本 猪子さんとはその時はじめてですか。

 
西野 初です。ずっとニアミスしてて。
 

碇本 チームラボのやっていることと西野さんのやろうとしていることがコラボというか組み合わさっていくと子供がもっと楽しめるものがたくさん出てきそうです。チームラボも子供が遊べる要素がたくさんあるものを作っているイメージです。

 
西野 だから、もう一回ちゃんとお話ししたい。

 
碇本 そうなると『サーカス』とかでも猪子さん呼ぶこともできますね。その辺って皆さん繋がっていきますよね。
 

西野 なんかね、そうですね。

 
碇本 宇野さんとか様々な方々が。アートでもあり新しい社会実現の要素を持っている、意識して動いている人たちが。

 
西野 猪子さんおもしろいですね。

 
碇本 外国で会いたい人や話をしてみたい人いますか?

 
西野 誰だろうなあ、けっこう会えるんですよ。僕の家に来てくださったりだとか会いたい人はだいたい会えてますね。

 
碇本 では、猪子さんは今回はじめて会えたけど会いたくてそのまま会えてしまったという。
 

西野 なんかみんなが猪子さんと会ったら絶対に話が合うって言ってたんです。ああ、そうなんやって。だからどっかで会いたいなって思ってました。

 
碇本 それでお会いできたってことなんですね。
 

西野 めっちゃ楽しかったです。

 
碇本 完全に次に繋がる一手というか。

 
西野 そうですよね。あと興味あるのは金持ちですね。

 
碇本 パトロンですか?

 
西野 はい、そうですね。

 
碇本 富豪とかアラブのみたいな。でもその人たちがお金を出してくれたらいろいろ叶っちゃいますね。

 
西野 富豪に会いたい。

 
碇本 富豪に会いたいっていう終わり方、やだな(笑)

 
西野 富豪やっぱいいですよ。

 
碇本 これから渋谷ゴーストバスターズだと五百人、クリエイティブスタッフが百人で合わせて六百人、今年の独演会が二千人で来年は四千人です。この上の数字はなんかありますか?

 
西野 一万です。コンスタントに一万人呼べる、動かせれるのが目標ですね。
 

碇本 一万人を動かせられる人間というか影響力のある人に。

 
西野 一万人を動かせたらいい。ゴーストバスターズだって五百人集まってもニュースになるからやっぱり人数って強いんだなって。今は娯楽がいっぱいあるから一箇所に集めにくくなっているのもあって、人数を集められるってことが昔よりももっともっと強くなっているなって思います。

 
ニコ生スタッフ まもなく本番です!

 
碇本 ありがとうございました!
 

西野 こちらこそありがとうございました!

 
西野さんはニコ生の放送が始まるのでブースに移動されていき生放送が始まりました。


第六回(番外編 ホームレス小谷さん)に続く
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20151228


↑は『水道橋博士のメルマ旬報』(https://bookstand.webdoku.jp/melma_box/page.php?k=s_hakase)に掲載したものです。