Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『西野亮廣の渋谷ゴーストバスターズ』第二回

西野亮廣の渋谷ゴーストバスターズ
 


第二回
 
 
(第一回からの続き)
 
 
<ホームレス小谷さんについて>
碇本 例えばハゲてるおじさんにハゲって言うのは怖いですし、もし言ったとしてもそのあとでなんとかしようみたいな感じだったと思うのですが、今は言った瞬間におじさんを殺すかおじさんに殺されるという心の余裕のなさが出てきてる気がします。
おとぎ町に来ていた人は心の余裕がない感じではなく、いろんなものを受け入れる余裕や度量のある人たちなんだろうと感じました。 

 
西野 確かにそうですよね。小谷のチケットとかを四千円とかで買って笑いながら「最悪やあ(笑)」と言ってる感じとか面白かったです。
 

碇本 もう、あれはズルいです! 僕も買いました。
 

西野 みんなふざけんなとか言いながら買わされているんですけど面白いですよ、やっぱり。
 

碇本 僕は小谷さんとお話をしたいというのもありましたし、奇妙礼太郎さんが好きなんで奇妙さんが出演する日を買ったんです。
別の日におとぎ町に遊びに行ったら小谷さんが誰かを捕まえて二、三十分ぐらいiPadを見せながらこの人はこういう人でって説明しながら結局チケットを買ってもらっているのを見てすげえなって思いました。それ毎回していて、たぶん小谷さんはそれを毎日何人もされていたと思うんです。
 

西野 あれはすげえす。あれはド天才ですよ、小谷は。

 
碇本 あんなことをされたら普通の人はもう拒絶できないですよね。ほんとうにうまいなって思いました。さきほどお名前出てきましたけど岡田斗司夫さんから西野さんに、そして小谷さんにという紹介する流れが『水曜日のダウンタウン』のワンコーナーにありました。
日本で面白い人を紹介してもらっていったら松本人志にたどり着く説みたいなやつで。その時に西野さんがホームレスの小谷さんを紹介した時にスタジオの誰かは覚えていないんですが「西野は」って。あれはお笑いとかでトークが面白い、一発芸があるとかの流れから松本さんにいかせるために必要なファクターだったと思うんですけど西野さんはもはや生き方が面白いとか価値観として小谷さんが面白いってバトンを渡すようなことになってスタジオとかの人とも価値観がわりとズレてるなって思いました。

 
西野 確かにね。(ここから『水曜日のダウンタウン』に関する話が少しありますが来年の独演会でお話されるらしいので割愛します)
 

碇本 この間の下北沢のろくでもない夜でのダイノジの大谷さんと西野さんのトークイベントがあり、近くのB&Bで立川談慶師匠とTBSの角田プロデューサーとのトークイベントもあったので僕も談慶師匠と角田さんとお客さんでいらした原田専門家さんとろくでもない夜に行ってそのまま打ち上げに参加させていただきました。
その時に大谷さんが「西野の一番弟子は小谷だ、お前の一番の発明品は小谷だ」って言われてました。西野さんと小谷さんは本来セットでもないし小谷さんは後輩の芸人さんだったわけですよね。
 

西野 あんまり知らん後輩でした。うちに転がり込んできて家賃払わなくて、面白いからお前ホームレスやってみたらって言ったんです。
 

碇本 西野さんがホームレスになればと言ったらそれに従ってホームレスになるってすごいですよね。普通だったら拒否して芸人でいたいですって言うと思うんです。物語って巻き込まれ型と自分が動いていく型があると思うんですけど小谷さんは巻き込まれて幸せになっていったというか。

 
西野 うまくいってるんですかね?
 

碇本 でも、ホームレスになって結婚もされて幸せそうですし。小谷さん見ているとこういう人がこれから増えるかもしれないなって思ったりもします。
 

西野 増えるかな、どうだろう。
 

 
<常識だと思っていることは本当は実体がないのかもしれない>
碇本 西野さんから直っていうのではなくて小谷さんを見て影響を受ける人とかいそうです。今まで自分が思っていた価値観だけじゃなくていいんだって気付かされるポイントがけっこう西野さんの行動や発言、小谷さんの存在にはあると思うんです。
 
西野 なんかそれが僕好きなんです。みんなちょっと待ってって。
ホンマか? ほんとうにそんなにお金大事かって。でもみんな大事大事っていうから、じゃあ、小谷のこの生き方見てくださいって。あれ、もしかしたらお金ってあんまり大事じゃないのかなって思わせたい。そうやって僕は一回質問を出すのが非常に好きです。
 

碇本 やっぱり大喜利をやりたいのもあるし大喜利の問題を出すとみんながどういう反応になるかっていうのを見たいんですね。

 
西野 好きなんですよ。それはひな壇に出ないのもそうなんです。ひな壇に出なかったら芸人は飯を食っていかれないって芸人全員が言うからそれって本当かって。じゃあ俺出ないって言ってやってみる。どう?っていうのが好きですね。
結論、ひな壇に出なくても飯は食えるっていうのはわかったんです。もう、三、四年出てないんですけど、もっと出てないのかもしれない。

 
碇本 『アメトーーク!』ってひな壇ですよね、あれに出たのが最後ですか?
 

西野 そう、プロデューサーの加地さんが僕のライブにプレゼンに来られてっていう流れで出ました。

 
碇本 西野さんは常識って思われているけど本当は実態がないものにツッコんでるじゃないですか。それってすごく透明でモヤモヤした常識のようなものでたぶん実態のない、みんながそう思っているから共通認識になっているものに対して殴りかかっていく。そうすると実は何にもなくてそのまま通りすぎていく。
そういうことも含めて西野さんの生き方がけっこういい感じでみんなの「これどうなんだろう、変だな?」って思っているボタンをチョコチョコと突いてますよね。おとぎ町に来ていた人たちはもう突かれていたり押されていると思うのでもう一般常識とかちょっと疑うというかズレてもいいわって楽しんでる人が多いのかもしれないと思いました。
 

西野 すげえ好きなんですよね。ゴミもそうなんですよ、ゴミのなくし方ってゴミを出すなって叫ぶことなのか、そうじゃないだろうって。

 
碇本 それは西野さんが言われているイジメの問題と同じでイジメはなくならないからイジメっこはイジメよりももっと楽しいものがあるよって教えてあげるっていう。
 

西野 こういうなくし方ってあるんじゃないのって提案です。
 

碇本 そのなくし方ってツッコミというよりはボケ続けると実はみんなの通底観念みたいな勝手な常識をぶち壊していく感じがします。マキタスポーツさんが『一億総ツッコミ時代』で書かれていたと思いますがみんながツッコミになっているというのと炎上も繋がっているんでしょうね。
 

西野 ああ、そうですね。
 

碇本 西野さんみたいにひたすらボケ続けると周りがどんどんツッコんでくれると余計に存在として確立されますね。西野さんに引っ張られていくとみんなボケざるえないというかホームレスになったりとか壮大な人生のボケになっています。
 

西野 あれ面白いっすねあいつ。
 

碇本 僕はわりとすぐに人にツッコんでしまいやすい方でボケるのは少し恥ずかしいって思ってしまう人間なんですが『一億総ツッコミ時代』読んでみると、ああみんなツッコんでいてボケる人がこんなに少ないんだって。西野さんもそうですけどやっぱりボケ続けている人の方が強いだなって。
 

西野 こんだけツッコミが増えてたらそうなりますよね。
 

 
<疑問に思ったことは答えを自分で求める> 
碇本 でも、ボケにみんないくのは照れもありますし、最初ボケてもみんなウケるわけでもないし効果が出ないとすぐにまたツッコミのほうに楽なので回ると思うんです。
西野さんはゴーストバスターズも含めて壮大なボケだと思うんですが、ゴミが出るならゴミ出しちゃダメっていうんじゃなくてそのゴミを使って遊ぼうみたいなことをされている。モノの見方や考えかたをズラしてみると世界の見え方が変わるよっていうことをされていると思うのですがそれはずっと昔からそうだったんですか?
 

西野 ちっちゃい頃からですね、ホントにちっちゃい時から。

 
碇本 もう昔からなんですか? それはすごく気になっていたんです。ちっちゃい頃からだと例えば戦隊ものでリーダーは赤とかありますけどあれを見てもリーダーが赤っておかしくない?って普通の子供は言わないですよね。
 

西野 そっかそっか。そうですよね。
 

碇本 なんで青じゃないの? とかピンクがリーダーのほうがよくない? ぐらいに思っていたりするとその時点でモノの見方がいわゆる普通の感覚とは違いますよね。小さい頃だと男の子は青で女の子は赤みたいなことは教えられていないですけどなんかそういうことになってるからそうなんだってみんな無意識に思ってます。
でも途中で気付く人もいたりする。青よりも赤のほうがいいって思うけどそれを言えない人とかもいると思うんですよね。西野さんは多角的な視線というかモノをズラして考えられる気がします。
 

西野 ずっとあの時の感じです。ちっちゃい時になんでなんでなんで?って言ってたじゃないですか。なんで空は青いの? なんで電気はつくの?って。

 
碇本 この世界はなんでこうなってんだって。疑問が湧いたことに対しては答えを求めるというか。

 
西野 全部なんで? なんです。ドアの開けかたもなんでこうなの、もっといいやり方があるんじゃないのって。ずっとそういうことを考えていて、ずっとそうだと毎日楽しくてですね。

 
碇本 (棒を押したらという西野さんがFacebookに書かれていたことを身振り手振りで話をしていたのですが文章になりづらいので割愛しその流れの続きから)ミクロなことをやればマクロがくると思うんですね。相対したものの見方があってその中間もあって、西野さんがやっているようなことや常識じゃないよねっていうことをどっちから見るかってデカイじゃないですか。
イジメの問題もマクロの視点から見てイジメってなくならないからというのとミクロから当事者はそうなんですよというのでは違っていて。西野さんはそれをすごく面白がってますよね。

 
西野 面白いですよ。自分があれどうなんかなって思って気になることは自分で実験できることは自分でやっちゃう。
 

碇本 やっぱりやっちゃう人なんですよね。
 

西野 ひな壇出えへんかったらどうなるんかなって思ったら気になるじゃないですか。
 

碇本 やっちゃうということが、やれちゃう人とやれない人がいて。西野さんがすごい面白い才能をどこかで見つけても俺が保証するからやってみろって言ってもやらないやつはいますよね。お前はダメだって言ってもやるやつはやるし。その辺の自信の問題もありますけどやっちゃうっていうのはデカイですよね。
 

西野 やっちゃうんですよ。
 

碇本 今、西野さんの周りにいる面白い人ってやっちゃう人かもしれないですね。だから余計にやれない人たちから妬みや僻みがグワーって来ると思うんです。僕もわりと妬みとか持ってしまうほうであんまり言えないんですけど。
 

西野 人だったらそりゃあ、ありますよね。
 

碇本 僕は小説好きなんでわりと読んでるんですが、自分と同世代とか下の年齢の人だったら周りのみんなが面白いって言っていてもそれはなんとなくわかるんだけど絶対に読みたくない!ってなるんです。わかってるよって!

 
西野 ギャッハッッハ(かなり爆笑を)。
 

碇本 キングコングさんは漫才の新人賞とか何個か取られてますよね。僕は四年前に一回だけ小説の新人賞で最終選考の二人に残ったことがあるんです。僕は取れずに新人賞を取ったのが僕よりも十歳下の男の子で彼がデビューしたんです。僕には落選したあとに連絡が来て一応会ってみたいって言われて出版社に行きました。でその新人賞を取った人の本が出るとこっちとしてはなんにもなんないんですよ。
読んで面白くなかったらムカつく、面白くてもムカつく。売れてもムカつくし売れなくてもムカつくっていう。

 
西野 なるほど、なるほどなるほど。

 
碇本 それで僕は自分という人間は思っていたよりも人のことを妬んだり僻んだりするんだなってはじめてわかったんです。それはどんな世界でもあって順位付けがあってグランプリ取ったら一位なんだからそれより下の二位であろうが三位であろうが名前は残らないじゃないですか。
 

西野 はい、そうですね。
 

碇本 毎年今までのグランプリの名前は出てもそれより下は出ない。もちろん二位の人の物語も当然あるじゃないですか。でも、西野さんは一位をずっと取ってきちゃっている人なのでその辺りの、俺やったらできちゃったからさあって笑いながら言える人だと思うんです。それができない人たちからすると「おいっ! できねえんだよ!(怒)」って。
 

西野 そっかキレられんのか。

 
碇本 たぶん、そういうことができるかもしれないよって思えている人は次にまたチャレンジしたりトライしていくはずです。いやいやそういう問題じゃないよってトライができない人だったらそのエネルギーはもう悪意にしか変わらないと思います。そういうものがわりと今あるんじゃないだろうかって思ったりするんです。
 

西野 なるほどね〜。

 
 
ファスト風土化した世界のその先へ>
碇本 少年ジャンプと一緒ですけど、できなかった子がちょっとずつステップを踏んで、「友情」と「努力」があっていろんなことができるようになって「勝利」していくのがみんな好きじゃないですか。

 
西野 はいはいはい。

 
碇本 それなら自分が投影できるから。西野さんにみんな自分を投影できないから理解ができない部分がある。理解不能な部分。
西野さん自身に俺は天才だって言われても、うん天才だもんねすごいよねっていう人と理解できないものは排除ですっていう人にわかれているんだろうなって。その辺りがもう少し自由になったらみんなもっと楽になれるはずなのに。
今回の『渋谷ゴーストバスターズ』も急に当日参加とか人数制限もあったりするのでできないと思うんですが、西野さんが今やっていることはわりと価値観をもう少しフラットに見た方が面白いよってことじゃないですか。なのにみんな勝手にがんじがらめになってフラットになれないよってなっていて、あれって一体なんなんだろうって最近考えるんです。
 

西野 でも、僕は27時間テレビもですけどラジオとか岡村さんの罪は大きいと思います。それをやった時にそんなんやっちゃあダメだよとかみんなはひな壇やってんだから出ろよとかそれを芸人さんが言っちゃったっていうのが。

 
碇本 この間のろくでもない夜の打ち上げでも言われていましたが、岡村さんが病気から復帰されてからファンタジーと現実の部分の境界線がなくなってしまって、リアルな岡村隆史だけがテレビでもラジオでも出てしまっている。
本来あったはずのファンタジーな部分がほぼ消えてしまっている。そのファンタジーだった部分の面白みは薄くなってしまったことが大きいのではないかと。
 

西野 そうだし、やっぱりああいうことを芸人さんが言っちゃうようになったんだってことの罪は重い。

 
碇本 『めちゃ×2イケてるッ!』をずっと見ているんですけど急に見ていてノレなくなった時があってそれってなんだろうなって思って、思い浮かべたのは岡村さんがEXILEと接近し始めてダンスは元々されていてSMAPのライブに出たりとかされてましたけどEXILEと仲良くなっていってリア充化しようとしていった時でした。
僕がEXILE好きか嫌いかって言ったら好きではないですけど今って地方都市にあるものって基本的に同じで、ショッピングモールとかそうですけど地方の国道沿いにはだいたいツタヤがあって洋服の青山があってブックオフマクドナルドやビッグカメラドン・キホーテがあってと国道沿いにはファスト風土化って言われている風景があります。それでみんながどんな場所や地方にいても同じものを享受できる。
ゼロ年代浜崎あゆみさんとかコブクロがヒットした要因を分析した本を読んだんですけど、昔だったら六本木や銀座とか憧れる固有名詞があったのにゼロ年代にはそういう固有名詞が出てこない。ショッピングモールとかだったらある。プリクラ取ってマックでダベってブックオフで立ち読みしてというのが地方にいる女子高生の、人たちのリアリティだった。となると浜崎やコブクロの歌う歌詞には固有名詞を入れられない。
 

西野 なるほど、おもしろ。なるほど。

 
碇本 固有名詞のない歌だからこれはわたしの歌だってなる。固有名詞と場所性が失われるとみんなが同じような場所で高校生の時にデートとかしているからリアリティがある。それを満たしているようなリア充的なEXILEを好きそうな人たちが地方に残っているんです。それが耐えきれない人は東京や大阪とか都市部に出たりそこから離れて新しい関係性を作るんです。
残った人たちはその高校生とかの頃のカーストのまま、ずっと就職しても結婚して子供が生まれてもフェイスブックでいきなり先輩に飲んでるから来いとか呼ばれたりして高校時代とかの関係性が地方では幸か不幸か二、三十年と永遠と続いていくんです。
 

西野 辛いなあ。

 
碇本 下手したら子供もその流れに。

 
西野 うわあ、やだな。
 

碇本 って言うぐらい今偏っていてそこにEXILE的なマイルドヤンキー文化というか、そういうものと密着していっている。岡村さんはそうなれなかったことを今そこに託している気がします。リア充になれなかった自分がそこに関わる。
普通に考えたら文化人的な枠とかサブカルチャー的な考えからするとそこに行くと一番おもしろくねえって思うけどそこが一番視聴率取れる可能性もある。EXILEが好きな人が日本中にたくさんいてそういう人たちがどんどん増えているわけだから。
岡村さんが今やっていることはEXILEと同じようなことで、そこには努力とか仲間とか家族とか友情とか彼らが好きなものがある。でも、それだけじゃあ乗り越えられないことがいっぱいあるし現実問題として起きている。そういう理性的なことを失っているからそこに入らない人はそれやらない人は、西野くんはそれやらないなら吉本にいる意味なくないっていうことを言うご意見番みたいな人になってしまっているのではないでしょうか。
 

西野 はあ、なるほど。

 
碇本 今の西野さんの状況と岡村さんの状況はインターネットを含めて、やっていることやジャンルや仲間だったり、おもしろいと思っている価値観の違いがそのまま出ていると思うんですね、この辺は書いていいんですかね?
 

西野 いいです。

 
碇本 僕はごっつチルドレンで松本さんにすごく影響されてたので『はねるのトびら』を見てもこれは違うんじゃないとかキングコングの漫才見たらおもしろいのに、他の誰かがキングコングはさあって言ってるとそれに乗っちゃうような奴だったんです。
めちゃイケだってずっと十何年とかやっていてはねるは続かないで終わってしまっただけで岡村さんそこにいてずっと続けているから何か感覚が鈍くなってしまったということもあるんじゃないでしょうか。
独演会のチケットの手売りとかで実際に会いに行けるということを西野さんがやってそっちに舵を切り、TOKYO DESIGN WEEKとかで『渋谷ゴーストバスターズ』をやることのほうがみんながワクワクするし楽しいだろうなって思います。
 

 
<風向きが変わってきたこととこの先にことについて> 
西野 ほんとありがたいです。最近本当にありがたいのが25ぐらいからこういう風にザーとやってきてるんですけど友達周りだけでおもしろいことやってるねって言われていた。でも世間の方にはあいつイタいなって散々言われてんです。
ここ一、二年であれ? 風向きが変わってきたぞってなっていて。
 

碇本 絶対変わってきてますよね。

 
西野 それでなんでだろうと思ったんですが僕が一個しつこく続けているというのもあるかもしれないけど、単純に僕の友達周りやおもしろいなって言ってくれる人がみんな出世したっていうのがデカイと思います。
彼らの発信力が広く強くなっていて、例えばダイノジの大谷さんとかは昔から西野はおもしろいなと言ってくださっていたんですよ。
大谷さんも売れてラジオのレギュラーも持たれてそこでもバーと僕のこととか言ってくださる。ありがたいです、もう超ラッキーすわ。
 

碇本 僕が西野さんに興味持ったのはメルマ旬報の編集長である水道橋博士さんが西野さんはおもしろいと言われていて、西野さんはメルマ旬報での連載でもニューヨーク個展について書かれていましたしちゃんと独演会を観ておこうと思ったのがきっかけでした。

 
西野 超ありがたいっすわ。

 
碇本 そういう部分で信用できる誰かが言ってくれるとか大きいですよね。
 

西野 ありがたいです、ほんとうにそこに助けられてます。

 
碇本 西野さんは同年代より上の人にフックアップされていて、その人たちがさらに売れることでいい流れが、波状効果が起きているように見えます。
 

西野 そういえばみんな売れたんですよね。マキタスポーツさんとか。こう言っちゃあダメだけど大谷さんもマキタさんもほんとうに売れてなくてですね。
でも、その時からほんとうんお前はおもしろいなって言ってくださっていてその人たちが売れて発信力を持って言ってくださっていて、これほんとうに風向きが変わったなって。
 

碇本 その風向きが変わった時に西野さんがきちんとそこにいたっていう。

 
西野 でも、ここからですよ。
 

碇本 これから西野さんは上の世代になっていくわけじゃないですか。大谷さんやマキタさんの世代に。
ろくでもない夜の打ち上げの時に大谷さんが言われてましたが四十代になったら変わる。四十代になると今までのことがリセットはされないけど変わって新しくなるよと西野さんに。

 
西野 はい、言われてましたね。

 
碇本 あと五年ぐらいですよね。その間に西野さんの後輩みたいな、西野さんと関わっている人たちの下の世代の人たちとも関わるようになっていってポジションも変わると思うんです。教える側とか小谷さんにホームレスやれって言ったようなことが増えてくる可能性もあります。誰かになにかを教えたりアドバイスをしたりとかその辺うまいと思いますか?
 

西野 うまいのかなあ、どうなんだろう。でも、多いですよこの家。
昨日、一昨日も人が順繰り順繰りで来るんですけど高校生もいれば大学生に成り立ての子とも話しますね。なんか意見を求められたらお前こうしたらいいんじゃないって言ってます。うまいかどうかはわからないですけど。

 
碇本 ろくでもない夜の打ち上げの最後の方で西野さんすごく酔っ払われていて。
 

西野 なに言ってました?
 

碇本 なにをってことではないんですが、西野さんが小谷さんに抱きついていて、お二人を見て僕はこの人たちは『エヴァンゲリオン』で言う所の「A.T.フィールド」がない人だって思ったんです。
 

西野 はは、はっはっはっは。
 

碇本 心の壁がないからどんどん来る人拒まずに受け入れちゃって味方にしちゃう人なんだって。だから西野さんは高校生とかでも年齢に関係なく話をしてこういう話があるよとか言える人なんでしょうね。

 
西野 あいつらめっちゃおもしろいんですよ、最近高校生とか大学生たちは。超おもしろいからめっちゃ焦るんですよ。焦りますね、めちゃくちゃおもしろいです、あいつらが考えていること。

 
碇本 ふつうのってあんまり言いたくないんですけどふつう、おっさんとか年齢が上がっていくと最近の若い奴らとか言っちゃうじゃないですか。
あいつらおもしろいから負けたくないって言ってる人ってその世代とも関わっていくから幅が広がるのってとんでもなくデカいことですよね。
 

西野 あいつらめっちゃおもしろいんです。

 
碇本 そういうところが本当に心の壁がないんだなって思います。
 

西野 あいつら超おもしろいからまず僕のスタッフになってほしい。すごい才能もあって。

 
碇本 その辺はフックアップしたいと思ってるんですね。
 

西野 はい、したいですね。本当にディズニー倒したいって思っているからこいつらの才能が、こいつらいないと無理だと思ってます。超おもしろいっすよあいつら。
 


第五回に続く
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20151224

 
↑は『水道橋博士のメルマ旬報』(https://bookstand.webdoku.jp/melma_box/page.php?k=s_hakase)に掲載したものです。