木曜日はテアトル新宿で田中佑和監督『青春群青色の夏』のレイトショーを観に行った。
通りすぎた季節は美化されるか唾棄される。しかし、その渦中にいる人にはそれしかなくいつも真剣でバカバカしく、怒って笑ってる。似たような経験をしていてもいなくても登場人物たちに親しみを感じると思う。
映画のスタッフロールには数年前はよく会っていた人たちの名前も幾人かあって、それも懐かしく彼らの顔が浮かんだりした。だからこの作品と僕はほとんど関係はないのだけど彼らによって僕にも関わってくる部分があったりする。個人的な問題が孕まれると意味合いは違ってくるのは仕方ない。
この作品のいちばんいい部分はやはり登場人物たちがとても普通に生きていると感じられることに尽きるのかもしれない。巻き込まれる主人公に、傍若無人に見える彼も、彼になぜ避けられるかわからない彼も、その彼と付き合ってるギャル化していく彼女も、みんなといつも一緒にいる塾に通ってる彼も、みんなを受け入れちゃう主人公の姉も、援交しているような彼女も。
みんながひと夏の風景の中で混ざり合って反発しあっている。彼らが集う主人公の部屋はどうも暑そうだ。汗が滴る。エアコンがガンガン効いてる快適な空間ではない、汗が垂れてくる、タバコを吸って酒を飲んでいる高校生っていまでもいるんだろうけど昔ほど簡単じゃなくなっているだろう。田中監督や僕らぐらいの頃はゆるかったからそれは当たり前の景色ではあった。だからこれは現在の2015年のリアルタイムな青春ものの感じはない、スマホは出てくるんだけど監督の記憶の景色の中にある近過去を現在で撮ったという感じ。だから、美化されてる部分がかなりあるんだろう。過ぎ去ってしまったものは美しくなるか忘れ去るしかないのだから。映画はそういうものでいいと思う。
田中監督が撮りたかったものは彼らの関係性というよりはあの部屋に集まってグダグダしているあの空気だったりもしたのかもしれない。あの時間はもう手には入らないものだから。でも、映画監督である田中さんは思春期のあの空間とまったく同じものではないがスタッフと一緒に集まって作ったりする同質の空間をこれからも過ごすことになっていくのだと思う。映画にしろ小説にしろなにかを作り続けていくことはたぶんある種の終わらない青春か、あるいは終わらない青春のその後をずっと過ごしていくことなのかもしれない。
田中監督の次作も観てみたいしこの作品がもっと多くのひとに観られたらいいなと思える作品でした。
『職業としての小説家』と並べるなら『小説のデーモンたち』しかない。ともにスイッチ・パブリッシング。
村上春樹著『職業としての小説家』を読んでいる。僕が好きな村上作品って『ダンス・ダンス・ダンス』『アフターダーク』『神の子どもたちはみな踊る』だなっと思った。
『ダンス・ダンス・ダンス』はなんだかとても好きな作品。たぶん、この作品の影響とかで金城一紀は『レヴォリューションNo.3』で「なにがあっても踊り続けるんだ」的な事を書いたんじゃないかなあと思ったり。
25日に『水道橋博士のメルマ旬報』vol.69配信されました。連載「碇のむきだし」は短編『Last Summer』タイトルはDJまほうつかいから、話は『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』から。写真はいつもありがとうな兎丸愛美さんです。
対談構成してる記事の中編公開されました。
「芥川賞作家・又吉直樹」は、文学フリマなくして生まれなかった!?【中編】|スマホ時代の文学と作家たちーー文学フリマ×エブリスタ特別対談 |芹川太郎/望月倫彦|cakes(ケイクス) https://cakes.mu/posts/10693
リバティーンズ復活!!!
カール・バラーは三度入待ちをしてサインしてもらいましたがピート・ドハーティには会ったことありません。
「生まれたときは、ピストルズなんて、もういなかった。でも俺達は、リバティーンズと同じ時代を生きている。」
それから十一年の歳月が流れてリバティーンズの3rdアルバムを聴ける日が来るなんて嬉しすぎる。
GINZAわかってる感あるなって思ったらブックセレクトが豊崎由美さんだったので超納得。これ以外は独文学と中国・台湾文学があってそちらのセレクトも納得。
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