Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『西野亮廣 独演会 2015 in日比谷公会堂』





 去年に引き続いてキングコング西野亮廣さんの独演会を観に日比谷公会堂に行ってきた。二年連続で二千枚のチケットを手売りするという荒業、修行なのかもうすごいの一言では済まされないことをやってのけている。素晴らしく狂っている、僕はそれは最上級の褒め言葉だと思っている。
 大事なのは独演会で自らチケット売って来てくれた人を笑わせるという芸人としての生き様、戦い方を見せつけられるかということ、はっきり言ってしまえば二千人の客をセンターマイク一本の前でひたすら話して笑わせることができるか?


 それをやってのけてしまうのが西野さんという芸人で、それを体験させられてしまうのがこの独演会だ。西野さんの漫談というか当日に話したネタに関してはここでは書かない。それは西野さんのある種ガス抜きとしていろんな人の言えないようなことからいい話まで様々な話をされていてツイッターとかで書かないでくださいと言われたことにあるし、はっきり言えるが西野さんが僕らを爆笑させた話を思い出して文章にしたところで伝わらないからだ。


 話芸というのは場の空気をいかに自分のテリトリーにして持っていくかだ。確かに二千枚のチケットを直に売った人たちだ。アウェイじゃない、かといってホームグランドでもない。僕らはキングコング西野亮廣という人物と会ってチケットを買うという経験を含んで、楽しんで日比谷公会堂に来ていた。 
 多くの人は実際に会って話した印象できらわれ芸人として扱われていることを疑問に思うだろう。もしかしたらそういうキャラだと日本中で思われているのかもしれないけどどうもそうじゃないぞと。
 ネット社会ではあらゆることが可視化されていく、虚栄も欺瞞も嫉妬も羨望も希望も愛情も裏切りもなにもかもが、しかし一方通行ではないし多方に広がってそれぞれの人間は多重人格ではなく、さまざまなレイヤー、多層な世界を行き来して同時に存在してる。そこには人間のあらゆる感情が同時多発的に巻き上がっている。


 西野さんはそういう意味でネガティブな想いや人たちの攻撃を受けやすい、さらされやすい人でもある。なぜならそちらの感情を多分に持っている人たちは自分のことを天才だとかハンサムとか言えてしまう人間にはなれない。故に味方にはならず笑ってマジで天才っすよねとか言えない、なにか小さなプライドがあってそれが反転して陥れようとしたり攻撃を始める。そうでもしないと自分が守れないのだ。だけどその程度の自我を守ったところで最終的には自分が嫌いになるだけだろうと思わなくもないのだけど。
 そういう奴こそが西野さんに直接会いに行ってチケットを買って独演会を観に行くべきだ。そこでも笑わないのか、笑えないのか僕はそれが気になる。
 面白い人がいて、怒涛の攻めのトークは聞いてて気持ちがいいしめっちゃ笑えるのに。そういう体験をしてみればいいのに。



 世界がつまらないのは君のせいだよ。



 というキャッチコピーが数年前のパルコのなにかのイベントであった。ちょっとニュアンス間違えてるかもしれないけど。僕もそうだと思う。僕も君にたいして面白くもない、でも面白い人や事やものは世界中にある。ならば会いに行くしかないのだ。会いにいけるしコンタクトも取れてしまう世界だ。だけど会いに行ったから、自分が好きだからといって相手が受け入れてくれるわけではない。は想いが伝わったからといって幸せになるとは限らない。だが、会いに行ける世界なのだ。君の世界が、君の人生がつまらなくても面白いものと巡り会える可能性だけは残念ながらある、残酷なまでにある。行動したらハッピーな展開になるとは言えない。しかし、動かなければ可能性だけが提示されて、あの時ああしていたらとか年を取って思うのだ。金は儲ければ増えるし失敗すれば大借金をしてマイナスにもなる。増えたり減ったりする。だけど時間は僕たちそれぞれの人生の時間は生まれ落ちた瞬間からカウントダウンが開始されている。残り時間が増えることはない。だったら時間のほうが大切だ。今を大事にできないのならば未来も僕らの味方にはなってはくれないしつまらないままだ。 


 去年は二千人の客さんも少し前のめりで聞いていたような気がした。西野さんのトークも思いついたものを脈絡ないような感じで畳み掛けていた気がする。違うかもしれないけど。今年は西野さんが二回目だし一年目にも観に来た人間も多数いることはわかっていたはずで、その場で構成というかどんどん思いついて話をしていたとしても去年よりも二千人というキャパに対して放つ笑いの速度が速くてキレキレだったように思えた。僕はあきらかに今年の方が面白かったしいい話も含めて人間としての西野亮廣という存在がむきだしになって二千人のひとりひとりにぶつかって弾けた先に笑いがあったと思う。
 来年は東京キネマ倶楽部で七日間連続で十公演で4000人を相手に独演会をすると最後に発表された。これで観に行きたかったんですよ〜とか西野さんに直でツイッターでリプライとかするような奴はまず観に行け、一週間あんだからいつでも行けるだろ、本当に観たいならどこからでも東京に来れるから。ほんと。






 終わった後に来年のチケットを買って観に来ていた友達のイゴッチと恵比寿に移動して書道家の田川悟郎さんの書道教室に行ってお酒飲みながら楽しく書道を。久しぶりに筆を持った。次に書こうと思ってるタイトルとかを書いたりその思っている話を悟郎さんとかそこにいらした人に聞いてもらったりした。悟郎さんはいろんな筆とか用意されていたけど割り箸を割ったもので僕の名字の「碇本」を書いてくださったのだけどめっちゃカッコイイからいただいて帰った。
 楽しすぎる1日だった。来年は東京キネマ倶楽部だ。