『ループ』 - Spiral Fiction Note’s diary

　脳内でグルグルまわる安藤シリーズ、しかし螺旋階段のような、メビウスの輪ともまた違う世界軸。
『記憶の果て』『時の鳥籠』『頭蓋骨の中の楽園』を読むと最新作でありノン・シリーズ作『姫君よ、殺戮の海を渡れ』に通じるものが確かに感じられる。作家性とは長年書き続けても尚匂い立つ部分や細部、描き続けるテーマなのだろうか。
　安藤が最後にこの事件を解く時に明かされるこの小説世界の構造は、著者である浦賀さんが時折自著で出してくるメタ構造と小説家が出てきて小説を書いているということに直結しているようにやはり感じられる。
この世界を作っているのは誰だ？　ここにいる自分という存在は果たしてという問い？
　故に今だからこそ文庫化され読むことで伝わるものがあるのだろうとは思う。これが１９９９年ではやはり速すぎたのではないか。ミステリーを解くということに重きを置いてない。あとこの安藤シリーズ三部作を読んでいると世界観は　『リング』『らせん』『ループ』シリーズを思い出す。
　だって、『頭蓋骨の中の楽園』で語られるこの世界構造って『ループ』で語られる事と近いよね。
　僕はこういうの基本的には好きだし前に書いて応募して全然ダメだった小説で登場人物にこの小説書いているであろう作家（僕）の元に現せて殺させるみたいなこととかやっぱりしたもの。あれは技術ないと無理。