Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

快快『りんご』

 14日
 大盛堂書店渋谷店にて『ギャルと不思議ちゃん論 女の子たちの三十年戦争』 出版記念トークショー 松谷創一郎宇野常寛 特別対談を観に行く。



 ライター、リサーチャーである松谷創一郎さんの単著である『ギャルと不思議ちゃん論 女の子たちの三十年戦争』の発売イベント。宇野さんが冒頭で言っていたが宇野さんが出るトークショーはほぼ男性なのに今回は本の内容もあるんだろうが女性の方が多くてなんかファン層というか違うんだなって思ったり。

 
 宇野さんがいつもの用に話まくりで松谷さんに話を振って進んでいく感じ。青文字系と赤文字系で赤文字系雑誌が消えていったのは戦後社会の今まで成り立っていたモデルの破綻と共に勝手に消滅していったという話が興味深かった。
 まあ、男性が正社員で定年まで働いて女性が専業主婦でっていうもうそんなモデルは一般的ではないけどそれが大前提であった時代の崩壊がまずある、それが多方面に影響する。今までだったら社内恋愛して結婚して専業主婦になるのならば男受けする格好(ファッション)が求められていたけども・・・。

 
 一種のカウンターとしてのギャルや不思議ちゃんは今どうなっているのか、きゃりーぱみゅぱみゅは個人のキャラでアレンジしていろんなものをきゃりー的にしてしまう。彼女はどちら側にも行けてしまう存在、仮面ライダーディケイド的なもはや最強か? カウンターとして出てくる不思議ちゃん系譜のきゃりーに対してのメインが不在。


 本はこの三十年のギャルと不思議ちゃんを松谷さんが当事者ではない客観的な視点で書かれている。それがまとまっていて今後いろんなものに参照されていくだろう。ファッション関係はもとより、映像系だって読む事でその時代背景を知ることが出来るだろうし、もちろん社会学とか学術的にも応用されていくはずだ。


 ギャルや不思議ちゃんがどんどん一般化していく時代の流れとバブルやバブル崩壊の世界は当たり前だけどリンクしている。街からもはや文化が生まれない時代におけるネットからのコミニティを媒介することでしかもはや文化が生まれない時代にギャルや不思議ちゃんたちの系譜はどうなっていくのだろうか。この五年ぐらいに関してはもう何年か経たないと結論めいたことは言えないと言われていた。予測するには経済や文化の面で不透明すぎる。


 カウンターカルチャーが成立するためのメイン・メジャーがほぼない時代にもしそんな文化が街から何かが生まれるときは経済がさらに破綻して経済格差で住む場所が完全にわかれていく時にしかないだろうってのはそうだと思うし、その時にどんなカルチャーや対抗するものが出てくるのかも何年も何十年にしないと僕たちは実感できないだろう。


 本の中に書かれている松谷さんの美大時代の知り合いの女性達のコラム部分はやはり生々しく面白いし印象に残る。彼女たちはその後どうなってたのだろう。
 大槻ケンヂ著『のほほん雑記帳』を今ちょうど読んでいてオーケンの友人の不思議ちゃんの話で全然知らない海外から来たバンドの車に乗り込んでそのバンドと大阪とかツアー一緒に回ったりしていつもなぜかそういうとこにいるけど危険なことにはあわないで無事で帰ってくる不思議な女の子の話があったけどそういう人って今より昔の方が多かったのだろうか? どうだろう。


 イベントには最近小説『ここは退屈迎えに来て』の山内さんがいらしたようだったけど、今日快快の公演を観た後に観に行った彼女とナナさんと昨日のミッシェルの話をしていて僕の周りの文化系な人ってオザケン好きもミッシェル好きな人が多いなって思っててミッシェルも高学歴だしねって言われて小説の中でストロークスをNYのボンボンじゃねえか(正しくは違うけど)みたいな件を思い出した。
 僕はストロークスよりもリバティーンズ好きだしとか、ああ僕の周りは高学歴な文化系ばっかりじゃないか!だからなのか僕がその辺りが好きじゃないのは学歴コンプレックス・ジャーマン・スープレックス!なのかと納得してみたり、レディオヘッド好きだけどスマパンの方が好きだしなあとか・・・。まあこれはどうでもいいっか。


 終わった後は吉本∞ホールに行って『RGのヘルタースケルター』をハシゴ。



鬼奴がHGに「1回漫才なめたくらいで調子にのってんじゃねえよ!」
http://natalie.mu/owarai/news/75506


 ↑正直このナタリーの記事が面白かったのでチケット取っちゃいました。観客の中にはあんまり映画『ヘルタースケルター』観た人が少なくてモノマネが伝わってなかったりオマージュが・・・、僕は観てたので面白かったです。
 レイザーラモンが漫才しようとするとHGが亀甲縛りされてイスに縛られてRGがいろんな相方とネタをやっていくという構成でした。ほぼ歌ってるやん!って思いつつも、椿鬼奴さんが桃井かおりさんや寺島しのぶさんや沢尻エリカさんのモノマネがしたかったから『ヘルタースケルター』っていうRGも窪塚さんのモノマネしてましたけどw
 椿鬼奴×RGの『目を閉じておいでよ』は前のあるあるのライブでも観たけどもう完成されすぎて面白い。あととくこの西田ひかるはズルい、あれは面白すぎる。ゲストとネタをやって最後はレイザーラモンで漫才して終り。漫才はハイテンションなRGにつっこんでいくHGっていうHG仮面とかしてないけどふつうにイケメンっていうね、ムキムキやし。次は『アベンジャーズ』でやりたいって言ってた。


 今日は神奈川芸術劇場にて快快の新作『りんご』を観賞。

未来は想像するに、大変だろうと思う、みたいな事しか言えないんだけど、子どもが笑ってられる未来とかってやっぱ考えると、ごめんねってたくさん言われながら死なれるより、なんか笑えるようにしてあったら子ども喜ぶってか救われるだろうな。わたしの死=ちょっと笑える事思い出しちゃう、ってゆう未来。それけっこう流行ったらいい世の中かもしんない。



「りんご」に向けての声明文↓
http://faifaijapan.blogspot.jp/2012/08/blog-post_19.html


 脚本家であるよんちゃんのお母さんが亡くなった時の吐血、りんごみたいな血を・・・・。この作品はもうパワーがとんでもなくて太陽を目指すためにはバカまるだし(非常に褒め言葉です)の勢いと役者たちの動きと台詞、それを俯瞰するようなメタな視線が入り交じっていく。僕たち観客は決して演じてはいないのか?それぞれの役割を立場を、問いかけてくる。



 物語の必要性を、その理由を、なぜ『りんご』が作られたのか最後のあのシーンはそれまでの流れが集約しているからこそストレートな言葉なのに僕らの中に入り込んできて気持ちいい。僕も物語というものが必要な理由は言っている通りだと思っているし、世界を理解するための装置である物語が想像力を膨らませて色彩を心理の中に芽生えていく。正しいことばかりじゃない、間違っていることだって僕らの世界には、いや僕はしていくし、それでもここに、今生きている世界にいるために物語というものによって練習に似た疑似体験やそこから感じたことや想いが今いる世界に流れ込んで僕らを進ませていく。


 すべてのことにはやはりプラスとマイナスの要因がコインの裏表で存在しているからなんらかの物語や創造が人を間違った方に、スター・ウォーズ的に言えばダークサイドに落とす事はある、交通事故のようにそれは起きる。しかし物語を含んだ想像であり創造を具現化し誰かに提示するのはそういうことが起きるんだ。責任の取り方はたぶん、それでも続けて行くことしかない。時にはライナスの毛布のように一時の心の支えになり、やがて捨てられていくかもしれないし、ずっと側に置いておくのかもしれないがそれは受け手の問題だ。


 旧世紀最後に人類を守れと言われた少年の件もやはりエヴァ世代だなって思ったりする。僕の学年がアニメ放映時にシンジ達と同学年でリアルシンジ世代だったけどもうミサトたちの年齢を越したのに未だにシンジは世界を守るために使徒とまた戦わされているってのも変なことではあるんだけどね。
 そういう部分もきちんとぶっ込んでくれて面白かった。


 快快はダンスであり演劇であり、それらを含んだパフォーマーでありいろんな人達が集まったカンパニーであり、それらが一つの事を成すために集まり物語を作り上げていく、しかしそれは物語という丸いものから各自が飛び出てなんだか統一感がありそうでない、カラフルでそれぞれが自己主張をしていてなんだかパワフルだ、その裏側には哀しいこともあるだろうし、あっただろうし、抱えているかもだけどそれらをなんだか抱えながらでも跳んでいる、一瞬でも重力を無効にしちゃって永遠を掴もうとする。その瞬間に爆笑があって、哀しみも感じられて観ている僕のなかでは感情がごちゃ混ぜになってくる。でも昨日言った事と今日言う事は違うのが人間でそういうごちゃ混ぜな気分が僕をなんだか落ち着かせて力をくれる。


 今回でずっとやっていたメンバーのうち四人が離れていく、だからこれがひとつの集大成なのだろう、だけど変わり続けていくことを受入れていくことのほうが快快が快快であるためには必要なのかもって外部の人間だから思ったりするけども、それも吞み込んでさらに進化していってほしいしやっぱり次も観たいなって思う。


 観に行ってホントによかった。

ギャルと不思議ちゃん論―女の子たちの三十年戦争

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