Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『スペック 天』

 バイトがかなりしんどくて罵詈雑言を吐きたいほどだったけど夜からお誘いしていただいた楽しみにしていた飲み会に行って帰る頃には朝日が出てて久しぶりに朝まで飲んで家に帰り〜のとはいかずにそのまま代官山にチャリを走らせた。


 朝の7時に開店する代官山蔦屋の朝方のベンチで空くのを待っていた。朝の代官山は人がいない、ランナーと犬の散歩ぐらいな人々。朝日が暴力的に眩しいのに風はそのくせ強いから寒い。


 前日の朝の六時に起きてから寝てないのでレッドブルを二本投入した。七時からはとあるイベントがあった。


覆東方恐怖譚 (小説家・古川日出男×画家・近藤恵介による2人展)
http://tsite.jp/daikanyama/event/000390.html


 4月22日(日)まで開催されています。で展示されている作品の残りの2ピースを古川さんと近藤さんが朝の七時から離れた場所でAとBの作品を作り始める。十分で互いが作っていたのが交換され相手が作ったものに自分が手を入れて行く、そして交換し二作品が同時に創作されていく。二人の作家に二人のお手伝い。お手伝いの人が作品をAからBへBからAと。作品は古川さんと近藤さんの間を行く。お手伝いさんは同じ作品を移動させるので自分が持っていっていない作品の流れはわからない。


 とても変わった空間がそこにはある。あった。古川さんは小説というか文字をその場で、近藤さんは絵というか線や色を塗っていく。離れた場所でアイコンタクトもなく、そう会話は作品のみでなされる。眼前で展開するその光景はとても不思議だった。


 何かが生み出されているがいまいちなにが創作されているのかは時間が経たないとわからないし文字は読めるほどの近さまでは近づけない、書いている二人のそのテリトリーに入れない磁場が、そこにはある。あったね、そこは神聖でとても凶暴な創作の場だ。


 二時間で二作品は終わる。トークではお二人ぐったりと疲れ果てていた。お二人のコラボした創作が載っている『美術手帖』にサインしていただく。
 古川さんと少し話させてもらう。海浜幕張公園から脱走したペンギンの事を言うのを忘れていた・・・。


 今月末に発売される『冬』『疾風怒濤』『二度目の夏に至る』が一冊になった『ドッグマザー』について。代官山蔦屋でも発売したらイベントされるそうなので近いしこちらのに参加しようと思う。前に『フルカワヒデオナイト』をABC六本木店でしていた時にそのイベントをされていた書店員さんがこちらのお店になったみたいのでたぶんここのイベントは当たりだろうなと思う。


 今年書く長い作品の事を聞いてもらう。古川さんからは「それで尽きるな、距離を持て」と言われる。
 ネタが一族を巡るからそれをやってしまうと距離間違えるとこれから書けなくなるぞということも含めてのアドバイス。僕なりのメタフィクションであり距離の取り方を目指す。


 十時前には終わって一旦家路に。お昼からまたチャリで出かけてTOHOシネマズ渋谷にて初日な『スペック 天』を観に行く。
 今週の日曜日にスペシャルドラマ『スペック 翔』を観ていたので期待がたかまるぅ〜な感じで。以下もろもろネタバレしますのであしからず。
 でもどうせこれに続く「起承転結」の「起」=連ドラ、「承」=スペシャルドラマ「翔」、「転」=映画「天」、「結」=「欠」?「決」?映画ですると思いますよ、だって最後まで観てもまだ続くだもの。



監督・堤幸彦
音楽・渋谷慶一郎 、ガブリエル・ロベルト
脚本・西荻弓絵


出演・戸田恵梨香(当麻紗綾)、加瀬亮(瀬文焚流)、伊藤淳史伊藤淳史)、栗山千明(青池里子)、三浦貴大(宮野珠紀)、でんでん(市柳賢蔵)、浅野ゆう子(マダム陽)、福田沙紀(志村美鈴)、神木隆之介(一十一)、麿赤兒(似内晶)、利重剛(福富薫)、有村架純(正汽雅)、岡田浩暉(馬場香)、松澤一之(鹿浜歩)、載寧龍二(猪俣宗次)、椎名桔平(津田助広)、竜雷太(野々村光太郎)他





ストーリー・通常の捜査では解決できない特殊な事件を専門に扱う「警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係」通称「未詳(ミショウ)」の特別捜査官、当麻紗綾(戸田恵梨香)と瀬文焚流(加瀬亮)。型破りなためケンカの絶えない彼らのもとに、海上のクルーザーから大量のミイラ死体が発見されたという知らせが届く。やがて、それは国家を揺るがす大事件へと発展していく。(Yahoo映画)



 「翔」がわりと面白かったので谷村美月もよかったし。当麻のスペックが死んだスペックホルダーを呼び出してその能力を使うという『仮面ライダーディケイド』的なデータベース消費的な能力だった。
 なんだか『ジョジョ』『ハンター×ハンター』みたいなものを取り入れながら堤幸彦さんが『金田一少年の事件簿』以降に日本のドラマにマンガ・アニメ的リアリズムと役者の身体性をキャラクター化したものの総決算的に『スペック』の『天』と最終章はなるのだろうなと期待していた。


 当麻は一度封印した自らのスペックが復活する。スペックホルダーの暴走が始まったと彼らを一掃しようとする人々、だが当麻はその当事者でもある。ただ生きたいだけなのに殺すのか!そこに葛藤が起きるが・・・。


 まあ、伊藤淳史のスペックが腕の特殊能力で爪がめっちゃ伸びて飛行機を落としたりなぜか両腕がたこの足みたいになって戦うんだけどなんか特殊能力じゃなくてただのモンスター化してない? まだ浅野ゆう子がやった氷と炎を使う一人二役で交互に敵にそれをするとミイラ化しちゃうんだけど瀬文が立ち向かっていくけどこの氷と炎が交互にみたいな件がなんだか長いしダルいんだよなあ、つうか普通に瀬文ミイラになってるだろぐらい何度もやられるから瀬文なんだかんだ一般人としては最強クラスだなっていう。


 で本物の津田助広が出てくるね、今までのは全員影武者、パブリックドメインたちだった。「翔」の終わりででんでんさんに撃たれたのは裏切った影武者の津田ででんでんさん演じる市柳は実は本物の津田が変装してた。だから市柳に扮してる津田が裏切り者を殺したって言うね、わかりづらいわ。


 で死んだはずの当麻の弟だった一十一がまた現れて伊藤淳史と二人で当麻たちと戦うんだけどこの辺りの設定がね。一十一は当麻の弟のスペックホルダーのクローンだったっていうね、パブリックドメインとさほど変わりがない。しかも思った通りに最後らへんに何人も出てくるよね一十一がっ!


 なんか西島大介さんの『アトモスフィア』の自己増殖する世界みたいな感じがしてゼロ年代の繰り返される同じ日々(『ひぐらしのなく頃に』とか)や並行世界みたいな感じがした。まあクローンの彼らは新キャラの白尽くめのイケメンに一瞬で消されますけどね、まああれは完璧に向井理だわ、顔は出ないけど声と姿が完璧に。
 で一十一たちに人質にされていた栗山千明演じる青池里子の娘の潤(瀬文と里子の子供ではなくしかも里子とも血液型も違う謎の子供)とどうやら白尽くめな向井がまあ最後の「結」で重要な役割というか敵なのかなんなのかで現れますよみたいな終わり方。なんか白尽くめの向井理が『エヴァンゲリオン 新劇場版 破』の最後の月から降りてきたカヲルくんみたいな感じがする。


 つうか最後に一十一と伊藤淳史がいた小屋に攻める時のあの作戦おかしくないか。あと津田はなんであんなとこで自爆してんの? あの小屋爆発させたいだけななんか『トリック』でも見たことあるような感じの建物だけども。なんで自爆したの今まであんだけパブリックドメインを使ってた人が急に熱血漢な感じで戦ったのかもうちょっと頭のいい人で戦い方を知ってると思ったんだけどさ。


 冒頭と最後が有村架純演じる雅ちゃんが野々村からもらった手紙を読んでて2014年とかになっててすべてが終わった後の世界なんだけどあれ回収できるのかなと思う感じですね。
 ぶっちゃけ期待ほど面白みはなかった「天」だったなあ、「翔」は楽しめたのに。だから最終章「結」でどこまで白尽くめの向井と戦うのか、当麻の右手のスペックがどうなるのか。「ファティマ第三の予言」とか回収して決着つけてもらわないとなあ。まあ最終章次第なんだろうけど。



僕は千年の孤独に沈められていたんだ。文字通り、千年の孤独に。僕は運命によって集められている。四十億年に亘ったDNAのかけあわせが、ついにひとつの答えを導き出す。


スペックホルダーだって人間なんだよ。ただ生きたいっつーだけかもしんねーのに、化け物あつかいかよ!


我々が為すべきことは、歴史を正しく導くことだ、と私は思っている。


DNAのかけ合わせのトライアンドエラー


「夢」と呼ばれるもの=細胞に宿る記憶の残滓。


並列する「世界」「次元」。



 僕が前に書いてたSFちっくな作品も右手が失われたり、『AKIRA』オマージュだったけど進化はDNAのトライアンドエラーとか使ってたなあとか思い出した。

ドッグマザー

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