Spiral Fiction Note’s diary

ライター&Webサイト編集スタッフ。「水道橋博士のメルマ旬報」で「碇のむきだし」、「週刊ポスト」で「予告編妄想かわら版」、「PLANETS」で「ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春」を連載中です。

『RESTLESS』

 ガス・ヴァン・サントの新作『RESTLESS』 葬式通いが趣味の男の子に恋する、不治の病にかかっている女の子の物語。
 彼はなぜか第二次世界大戦で死んだ日本兵の幽霊が見える、その日本兵を演じているのは加瀬亮加瀬亮は幼少期をアメリカで過ごしているので英語ペラペラだし今後海外での活躍が増えていくと思う。


 彼の父の加瀬豊は、双日株式会社の代表取締役社長兼CEO。実際は超エリートな家系なので『アウトレイジ』のエリートヤクザはあながち違わない。


Restless Movie Trailer Official (HD)


 ガス・ヴァン・サント作品は比較的苦手というかダメな方ですが、ボーイミーツガールでプラスゴーストなんて好きなラインだし映像はキレイだし観に行こうかなって思う。 


 土曜日は仕事の後に渋谷のいつものルノアールでHD読書会。いつもの四人で開催。今回は阿部和重インディヴィジュアル・プロジェクション』(1997年)&『プラスティック・ソウル』(2006年)の二冊。


 阿部和重は今年発売された『神町三部作』の第二部『ピストルズ』で谷崎潤一郎賞、第一部『シンセミア』は文庫で四冊あるけど重厚で読み応えがすごい。だけど長い、だけど濃厚。登場人物が五十人ぐらいいるしね、一つの町での歴史。


 『インディヴィジュアル・プロジェクション』で世間的に注目を集め、三島賞候補、のちに『グランド・フィナーレ』で芥川賞受賞。『インディヴィジュアル・プロジェクション』&『プラスティック・ソウル』は渋谷が舞台という事もあり、僕らはいつも渋谷のルノワールで読書会をしている。


 いわゆる「渋谷系」と言える小説。かつては「J文学」として語られていたらしい。この二作品は後者は発表が遅いが連載時は98年からでありインターネットが普及していく過程での作品だがネットが普及して現実の自分、ネットの自分、視点の違う自分など自己が拡散するような「多重人格」的な、「分裂症」的な性質を持つ。語り手が入れ子になったりするような感じがする。


 四人でいろんな事を言ったり聴いたりしている極めて文化系な集まり。途中から郊外化した渋谷の話になり、速水さんの書いた『ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち』関連の事などから膨らみエ○○イルがこんだけ売れて受け入れられているのか?問題に発展する。僕らは基本的に聞かないし、周りにもほぼ聴いてる人がいないのに世間的に売れているという文化的断絶。


 再ヤンキー化とか東京に憧れない・地元から出ない人が増えたとか、諸々の要素が絡んでいるのだろうと。ケータイ小説に固有名が出ないのは浜崎もなんでそういう流れは前の十年代から、月刊○○ザイルの定期購読だけで十万部とか、おいおいおいいいいいいいっていう四人。
 十万最低売れてる雑誌って、かなりの影響力がある。これだけ売れなくて出版社が潰れているこのご時世。小説で十万部売れたら大ヒットですよ。


 小説を読むというのも特定のマイノリティー的なクラスタにもはやなっているのだろう。様々なジャンルが細分化して、しかもジャンルのクロスオーバーがなくなればもはや架け橋どころか理解は不可能になる。ネットで同じジャンル同士で見つけあってコミュニケーションを取るだけで狭い所に収まって行く。


 インターネットは光速的に人々を仕分けするように、無限の検索があっても、各自が各自の知りたいものだけにアクセスするので(間違いや寄り道の可能性が比較的に減る)狭く深い繋がりを浸透させてるのかもしれないなって思う。


Girls - Lust For Life

↑のボーカル・クリストファーは家族でカルト教団に入信しそこから逃げ出した辺りが『1Q84』の主人公の一人の青豆と符合する。
 妹沢奈美さんのツイートから<ガールズのクリストファーに取材した際、僕は普通のままだとネガティヴでダークな方向に引きずられすぎるから、意識して、自分も、皆も、幸福になれる音楽を作りたい、と言うので感銘を受けた>。 なんかわかるんだよねえ、その感じ。ライブで観てもそう感じたし。


 だから本当に村上春樹1Q84』の大ヒットは謎だ。三部買って読んだけど、一部で百万売れるような小説じゃない、そんなに売れるのはやはりおかしい。昔だったら百万売れてたものが、今は例えば十万が十とか、五万が二十とか、そういう風に分かれていってるのに、損をしたくないからか売れるものは集中的に大ヒットするという光景がよくある。


 『1Q84』は読んだ感想としてはセカイ系だしラノベの延長線にあるような書かれ方なのに、これがこんなに売れるならあれもこれももっと売れるだろうって思うような作品はかなりある。


 エ○○○ルはそういえば○皇の即位の記念の時に歌ってたしなあとか、バックに右○系でもいるのか? とかあるいはアメリカが実は政策、陰謀論で日本人をそういう音楽がヒットして考える事を辞めさせていってどんどん頭をバカにしていって完全に隷属にしようとしてる策略の一つなんじゃないか? とか四人で話してた。それを阿部さんが書いたらかなり面白いんだけどなあって。まあ、「神町三部作あるいはサーガ」で描かれているのは実はアメリカと日本の関係だったりする。


 戦後進駐軍との関わりで町での影響力や経済を牛耳ってきた田宮家から始まった物語はトークイベントでの阿部さんの話ではやはりアメリカの事を描くさらに壮大な物語になり、何年かかるのかわからないらしいが、物語の青写真というかだいたいの流れはあるらしいが書くのにすごく時間がかかるらしい。


 来月は新刊が出た村上龍『歌うクジラ』上下巻が課題書になり、再来月は『ノルウェイの森』をみんなで観てから読者会、小説ももちろん読んでという流れになった。
 阿部和重村上龍村上春樹と三ヶ月連続で講談社群像新人賞」出身作家。僕は古川日出男さん好きなのだが、他のみんなはわりと否定派、阿部ガールに、龍マスター、ハルキストと揃っているのでこんなラインナップ。こう見ると講談社ってすごい作家を出してるなあとか思ったり。


【LIVE】Syrup16g 汚れたいだけ


 いやあ、Syrup16g聴くと落ちつくなあ。