家に帰ってから松尾スズキ著「老人賭博」を読む。やっとのことで終わった七連チャンだったが、さすがに心身共に疲労が。右の肩甲骨が異様に痛いのはひたすらレジを打ったからだと思われるのだが、最後の方は目が霞んでた。見えてはいけないようなものが見えた気がしたけど、かすみ目だからということにしておきたい。
内容紹介/映画撮影の舞台となった北九州の町が、史上最高に心ない賭博のワンダーランドと化す。爆笑がやがて感動に変わるハイパーノベル! 北九州のシャッター商店街に映画の撮影隊がやってきた。俳優たちの退屈しのぎの思いつきから、街は最高に心ない賭けのワンダーランドに。人の心の黒さと気高さを描きつくす、奇才4年ぶりの小説。というのがamazonにあった。
前作は映画化もされた「クワイエットルームにようこそ」だった。
「クワイエットルームにようこそ」の映画観に行ったときのmixi日記。
朝寝る前に日記を書いて7時に寝たら10時ぐらいにマイミクのたい(有頂天なテンション)の電話で起こされ、起こされたために寝不足です。
給料日で家賃を振り込もうと家を出て、駅に向かって歩いていたんだけど急に「クワイエットルームにようこそ」を観に行こうと思って逆に歩き始めて渋谷まで歩いていった。
二回目に間に合った。年に何回来てんだかシネマライズに。
劇場内に貼られているポスターで観たくなったのはハーモニー・コリン監督の新作「ミスター・ロンリー」だった。
予告を観て凄く観たくなったの来年の正月観る。
↓公式サイト(でもまだ準備中)
http://misterlonely.gyao.jp/
マイケル・ジャクソンとして生きてる少年(格好や仕草)とマリリン・モンローとして生きてる少女(彼女もまた格好や仕草)が出会う。
「かりものの僕らの、ほんものの愛」
ハーモニー・コリン復活か! 響いて欲しい映画だなあ。これはファンタジーなのかもしれない。 で、松尾スズキ映画第二作「クワイエットルームにようこそ」が始まる。
作品あらすじ
「決めたの。私がどうしてここにいるか
分からないって言わせてやる。それが目標!」
佐倉明日香は28歳のフリーライター。ようやく手にしたコラム執筆の仕事にも行き詰まり、同棲相手ともすれ違いが続く微妙な状態。
そんなある日、目が醒めたら?“クワイエットルーム”と呼ばれる白い部屋にいた! 記憶の欠如、見知らぬ場所、見知らぬ人たち。
しかし、非日常な空間に隔離され、様々な問題を抱えた人たちと出会ううちに、明日香の中の何かが変わり始める。やがて、すべての記憶が甦り、ここに来た本当の理由が突きつけられるが・・・
まず冒頭辺りで出てくる「エヴァ」の監督・庵野さんが第一作「恋の門」に続き出てるけど非常においしい役どころ。
主演の内田有紀は完全復活というかなんか昔より好きです。こんなに凛とした表情してたっけみたいな。松尾ワールドで一皮むけてる。
「17歳」の時よりも好き、というか内田有紀は僕らより少し上の人のアイドルであって、4つ上の兄ぐらいの人の。僕らの近い年齢は広末がアイドルであった。
服装もオシャレな感じだな、彼氏役のクドカンからもらうコート?みたいなミリタリーもののやつは欲しくなったよ、カッコイイ。
あと、昨今の流行なのかタイツが多く、オーバードーズで倒れてるシーンとかスカートがめくれてタイツのラインが見えてるとエロいということに気付きました。タイツって見えない部分が見えたらエロいね。
彼氏役・鉄ちゃんのクドカンは放送作家の役だが、自身も「笑う犬の生活」とかで放送作家でもあったのでハマってる。なんだかこんな業界人いそうな雰囲気で演技も久しぶりに観たけどいいんだよなあ。
クドカンの後輩役の妻夫木君は少しおいしいバカキャラといったところ。
物語でいうと明日香と鉄ちゃんを繋ぐ人物。
蒼井優は入院患者役の1人で明日香と友達になる、彼女にももちろんバッググランドがあるわけだが。なんか狐目みたいな感じだったな。
隔離室から出た明日香と同室でもうすぐ退院する患者が中村優子。
彼女もキーマン、シーマンは2出るみたいですけど。
冷徹な規則を守らす看護婦にりょう。いい味です。ステンレス星から来た女って感じでね。
松尾さんと組ませたらさらにタチの悪い演技の大竹しのぶさん。この人はなんだかやっぱり凄すぎるのだ。松尾さんとの二人コント舞台「蛇よ!」で生で観た時はやばすぎたけど、今回もすんごーーーーくおいしい役。
大竹さんの演技はぜひ舞台で一度は観てみましょう、タチが悪いから。
脇役やチョイ役で、平田満さん。といえば「GO」における大竹さん扮する杉原の母がパート先の焼き肉屋で平田満に会うといって「ヤス、ヤスでしょ(蒲田行進曲)」エピソードがあってそれが意外と好き。
塚本晋也さんや俵万智とかしりあがり寿とか徳井優さんやなぜかハリセンボン。
芥川賞候補にもなった小説よりもエピソードもあるし、映像化するとダークな感じが出てる、映像化でよかったと思う。
松尾スズキの世界観。笑ってしまうけど実際のところ真実を知れば笑えないというロジック。
小ネタのような笑いとそれって実際には笑えないって現実。笑えるか引くかの微妙なラインを綱渡りしてる感じ。
精神的な問題を抱えて精神科に入院してる患者の中に放り込まれた明日香だけど、こういうふうになる可能性は誰だってあって。今だって少しでも何かが崩れたら転がり落ちてしまう。
松尾スズキは一歩間違えたらありえるかもっていう世界観の中でそこに放り出された主人公と周りの人々と異なる環境で人間の本質を描く。 だから戸惑う主人公や特異な人を見ると笑えるけど、実際自分がそこにいたら間違いなく笑えない。
毒であるということ、笑いは毒と表裏一体だ。
その武器を使いこなすから彼の作品を観たらぐったりとする。 毒だから、しびれてくる。
狂気にも似た才能だろうなあ、毒だけどまた抜け始めたらそこに触れたくなる。 そういう表現者だと改めて思う。
と二年前とかに書いてるけど今作「老人賭博」では「松尾スズキは一歩間違えたらありえるかもっていう世界観の中でそこに放り出された主人公と周りの人々と異なる環境で人間の本質を描く。 だから戸惑う主人公や特異な人を見ると笑えるけど、実際自分がそこにいたら間違いなく笑えない。」からそこにいても笑ってしまうだろうなってシチュエーションになっている。読みながら何度も吹いた。
でも、かなり毒な感じがしてる。だって「最高に心ない賭けのワンダーランド」の中で金をかけている人たちだから。松尾さんワールドというか不条理に巻き込まれながらもその不条理をそのうち楽しんでしまうような感じの世界観。これは面白い、声を出して笑える小説。でもこれが芥川賞取ったらある意味でビビる。
「女教師は二度抱かれた」のブログ。
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